神のみぞ知る神の部屋
目が覚めると俺は見覚えのない部屋にいた。
その部屋は壁一面が白く塗られており、床には書類のような紙の束が乱雑に散らばっていた。
「起きた〜?」
胡散臭そうな声が聞こえたため振り返るとそこには1人の男がいた。
「じゃあ、そこの椅子にでも座って」
俺は言われた通り玉座のような椅子に腰をかけた。
なんでこの椅子だけこんな豪華なんだ?
「その椅子は人の能力を測るための椅子なんだ。」
俺の疑問に応えるかのように男が語り出した。
「それは魔法椅子。君がいた世界では馴染みがないものかもしれないけどね。」
「どういうことだ?」
「すぐにわかるよ」
「さて。では、悠真くん。君には、いや、君たちには異世界に行ってもらいます!」
「準備は僕の方でしておいたから。」
「悠真くんにはどのスキルが合うのかなっ〜と」
「やっぱ転移するなら街に近い方がいいよね。」
俺の動揺を無視して話しを進める男。
「悠真くんはどう思う?」
やっと我に返った俺は、
「そうですね。冒険者が多い街の近くに転移させてください。」
せっかくの異世界転移だもん!楽しまなくちゃ!!
そうだ。異世界に行こう。
というか、さっきからスルーしてたけどコイツだれだ?
俺の名前も知っているし。
「僕は君たちがいうところの神さまさ!」
なるほど、神さまか。さすが異世界転移だ。
神さまってもっと威厳のあるやつだと思ってたけどな。
こいつが街にいてもただのチャラ男にしか見えん。
「それでは悠真くん、きみにひとつだけスキルをプレゼントします。」
なんだと…… チャラ男、もう一度言ってみろ!!
「きみにひとつだけスキルをプレゼントします。」
おぉ。本当に言ってくれたぜ。コイツは人の心でも読めてんのか?
というかスキルだと!
異世界転移と言ったらスキル! スキルと言ったら
異世界とまで言われるスキルを俺にくれるって言うのか!
「うん。そうだよ。」
キタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!
1人だけ神さまからもらったチートな能力で襲ってくる魔王を倒し、滅亡寸前の国を守り、お姫様と結婚そしてハーレムをつくる!!
こんなラノベでしか見たことがないようなウキウキライフを俺がやってもいいのか!?
いいんです!!!
「あーテンション上がってるとこごめん。」
「異世界転移するのは悠真くんだけじゃないよ。」
おい。なんて言った。
「悠真くんといっしょに事故にあった子は全員転移するから」
ウソだろ!? 俺のクラス全員で異世界に行くって言うのか!?
「悠真くん。そこは、良かった。みんな無事だったのかっていうところでしょ。」
「ていうか言ったでしょ。最初に、君たちには異世界に行ってもらいますって。」
そういえばそうだった。じゃあオレだけがスキルをもらえるってわけじゃないんだな。
「そういうことになるね。」
神は言った。
「まぁいいや。とりあえずスキルをくれ。」
「どんなスキルがあるんだ?」
「んー、悠真くんに合うのはこの3つかな」
そう言って神は床から紙の束を拾い上げ、俺に渡した。
おい。もっとちゃんと保管しとけよ。
なになに。
ー嘘が真実になるスキルー
一日に3回ついた嘘が真実になる。
〜例〜
このスキルを持っているただの村人が
「俺、実は勇者なんだよね」と嘘をつく
後日、本当に勇者になる。
この際、気をつけることは職業が村人から勇者になるだけでステータスなどは変化しないということ。しかしスキルを使えばこの問題を対処できる。
へー。便利なスキルだな。これだったらハーレムが作り放題かもしれないな。
次のスキルはっと
ー炎を操るスキルー
どんな炎でも自分の意思で操ることができる。
これだけか?なんかしょぼそうだな。
自分で火を出せるわけじゃないんだろ?
これはないな。
最後のスキルはーー
「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
神の叫びが部屋中に木霊した。
「おい!なんだ!頭がおかしくなったのか!?」
「おかしくはなってないよ!」
「そんなことより、ごめん! 悠真くん。君にはスキルは渡せない!」
やっぱ頭おかしくなってんじゃねぇか。