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恋文

作者: 飴甘 海果

ずっとずっと前から一緒にいたのに。


あなたは私の知らない間に遠くに行ってしまっていた。


遠くに行ってから、こんな想いに気がつくなんて。


遠くに行ってから、あなたが私を想っていたことを悟るなんて。


あなたがあの子の隣で笑う度、私の胸は焼けるように痛くなる。


今更後悔しても、もう遅い。


だってあなたはもうあの子のものなんだもの。


『ヒトのものだと余計に欲しくなる』


その言葉はまるで真実のように、私の心の中で何度も何度もリピート再生される。


あなたが欲しい。私はあなたのものになりたい。


だけど、


あの子もあなたも傷つけなくなんかない。


あの子と争いたくなんかない。


だけどそれ以上にあなたが欲しいの。


あなたの目にもう一度、映りたい。


私だけであなたを独占したい。


だけど、


だけど、


この想いがあなたに知られれば、私はどうしようもなく悪人に成り下がってしまう。


ただのあの子に嫉妬して、あなたを横取りした悪者になってしまう。


私が幸せになろうとすれば、あの子が不幸になる。


あの子を傷つけないようにすれば、私の心は荒んだままになる。


どうすれば、この想いは満たされるのだろうか。


でもとりあえず、明日あなたに会えたら思いきってこの胸の内をぶつけてみようかな。


あなたは今想っている相手を裏切るような人ではないと、信じているから。


あなたが笑えているのなら、私はこの命も惜しくない。


あなたが幸せなのなら、私は今のこの幸せな日常も惜しくない。


もしも私の世界が暗く歪んでしまっても、あなたの世界が光り輝いているのなら私はそれでいい。



ああ、悲しきかな。



ああ。私は今日も、あなたへの届かないこの想いを、雨の降る夜にまた涙に変えて流します。



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