Epilogue
結界が消え、踏み込んだそこに居たのは主犯と思しき少年だけだった。
他にいた者は全員自害というなんとも胸糞悪い展開だった。
マグナは三人の英雄を探すがどこにも居なかった。
(三武将の連中も行方不明で死体の確認も出来ない。なんとも収まらねぇ結果だな)
マグナは明後日の方向を見ながら思う。
(カッコつけやがって。国家勲章物なんだぞ。まったく)
苦笑混じりに考え、色々と作業に戻った。
ゼノは渓谷を見下ろせる位置に居た。彼は終わった戦場を見つめた。
そこに広がる死体の山に自陣の者は居ない。全て敵の者だ。
「なんか、空っぽだな」
独り言ちたが、それで心の穴を埋められるワケも無く。虚しく流れるだけ。
「お前はどうする?」
後ろから声をかけられ、振り向く。そこには瞬剣と呼ばれていたユシウス・アールターが居た。
「さぁな」
ぶっきらぼうに答え、視線を元戦場に戻す。
「お前は?」
ユシウスは密剣と呼ばれていたローグル・レイに話を振る。ゼノもローグルに視線を移す。
ローグルは僅かに俯き、小さい声で言った。
「私は、ゼノに付いて行く」
ぁあ?と怪訝な反応を見せるゼノだったが、
「別にどうでもいいけどよ」
とすぐに肩をすくめる。
ユシウスは笑みを残し、踵を返した。
「それじゃな。また会うかもだし、二度と会わないかもな」
ひらひらと手の平を振り、密林の奥へと消えていった。
(最後までくえねえ奴だったな)
思ったが口にせず、ゼノも踵を返す。
「おら、行くぞ」
ゼノはローグルを見て急かす。
ローグルはコクリと頷いてゼノの後を追い、ユシウスとは別方向の密林の奥へと消えていった。
(また置いて行かれたな)
心中で苦笑し、戦後作業を手伝う。
(僕は今出来る事を頑張るだけだ)
死んだ兵士の身元確認と運搬の作業を手伝う。
「力が入らねぇな」
俺は苦笑混じりに呟くと、シエルは微笑をたたえつつ濡れたタオルを俺の額に置く。
「風邪引いたみたいだな」
「ほんと、そんな感じだね。でも仕方ないよ、すごい量の魔法力を使ったんだから」
俺もシエルも笑う。
聖剣は最後の一撃の後、黄金の輝きも力も失って、鈍色のロングソードに戻った。
俺たちは渓谷を見渡せる位置に聖剣の器を突き刺した。
「沢山の人が死んだんだよな」
俺は真剣な表情で言った。
「うん」
シエルも真剣な面持ちで頷く。
「だが、これで沢山の人が救われたんだ」
アイゼンもいつもの笑顔が無い。
「俺たちは沢山のモノを失ったけど、それでも生きてるんだ。だから生きていかなきゃならないんだって思った」
シエルもアイゼンも頷いてくれた。
俺は体を起こす。もうそろそろ大丈夫のようだった。
「行こうか」
俺たちは次の地へと歩を進めた。
これで『剣戟の幻想物語』完結です!!
今まで本当にありがとうございました。
純正ファンタジーを書いてみたく始まったこの作品ですが、投稿ペースが定まらずご迷惑をおかけいたしました事にお詫び申し上げます。
次回作も投稿しておりますのでまだまだよろしくお願いします。




