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剣戟の幻想物語 とある少年の冒険記   作者: やきたらこ
終章~三人の英雄たち~
46/50

7.

 眼前のスケルトンナイトを屠り周辺の状況を確認する。


 スレイ・リャッカは無我夢中で得物を振るう。

 生き残る為、周りの仲間を守る為。

「危ない!!」

 騒乱の中、凛とした女性の声が響く。スレイは咄嗟に後ろを確認した。

 リザードマンの持つ蛮刀が迫る。

 しかしその刃がスレイを切り刻む事は無かった。

 リザードマンはその脳天から青い血を吹き出し倒れ、無数の粒子マナとなって消えた。そこに残ったのは一本の矢。

「気をつけて」

 声の方を見ると、一人の女性がしゃがんでボウガンを構えていた。

 女性はウィンクをすると、迫るゴブリンの刃をナイフでいなす。

 服装からしてフリーの傭兵のようだった。


「ありがとう」

 聞いていないかもしれないが感謝の言葉を口にし、新たな敵に刃を向ける。



「ハァ・・・ハァ・・・ハァ―――――」

 隣で聞こえている息遣いが途絶え、ドサリと倒れる音が聞こえた。

 見るとローブ姿の男が疲労に色を出し、力無く倒れている。

「そろそろ限界が近いな」

 男が運ばれた方へ視線を移すと、同様に倒れた者たちが十数余名。

 周りでは詠唱の声が響き渡る。

 コット・ルーチンは視線を戦場へ戻す。

(速く争いを終わらせてくれ、マグナ、モウ)

 心中で願いを叫ぶ。その思いは両者に伝わらない。




 単眼のサイクロプスは巨大な棍棒を振るう。集まった兵が吹き飛ばされる。

 数多のなかまの悲鳴、絶叫、雄叫び、咆哮がマグナの耳に入る。

 マグナは大剣を振るい、キュクロプスの足を斬り飛ばす。

 キュクロプスは左に倒れた。すぐさま兵が迫り頭部を叩く。

 キュクロプスは消えた。しかし新たに巨大蜘蛛が出現する。

(敵の魔法力マナは文字通り無尽蔵か!?)

 内心嘆き、巨大蜘蛛へ駆ける。




 リーフ・トロンベは黄土色の岩石戦士の鉄槌を横に転がる事で避け、術式をぶつける。

 ゴーレムは風の切断魔法術を受け、上半身を落とす。

「あと、一体!!」

 振り向くと、そこには迫ってくる岩の拳。

「ッ!?」

 反射的に両腕を交差し守る体勢を作るが、そんなもの気休めにもならない。

 その拳がリーフの腕にぶつかる寸前、けたたましい金属音が響く。

「ギリギリじゃねぇか、危ねえ」

 兜で顔を覆っていた為顔は伺えなかったが、その声音は中年の男のものだった。

 男は剣で拳を受け止め、拮抗しあっている。

「小僧!!速く、術式を組み立てろ!!おやっさんにはもう、何かを撃てる程の魔法力マナは残っちゃいない」

 リーフは杖をクルクルと回し円を描いている。男の声に応え、詠唱を開始した。

「風を司る天使よ、今、全てを切断する風の刃を形成する力を僕にあたえてください」

 杖が描く円の中心に緑の光点が生まれる。リーフは構わず詠唱を続ける。

「今僕が扱える量の天使の力(テレズマ)を術式に注入。更に威力を上げる為残りの魔法力マナを術式に注入」

 緑の光点は更に輝きを増す。

 岩石兵が左の拳を使い、名も知らない兵士を殴り飛ばす。

「っがぁ」

 大きく飛ばされ、男は転がる。その男は痛みに悶絶し、地面を転がる。

「速く!!撃てぇ!!」

 視線をゴーレムに戻す。

 ゴーレムは顔をリーフに向け姿勢を戻す。

 リーフは構わず詠唱を続ける。

「風の刃を形成、力の内包を確認。大地を駆ける大いなる風よ全てを貫き、全てを壊せ!!」

 叫んだ。杖を振るい、緑の光球は風の刃となりゴーレムに迫る。

 ゴーレムは両腕を交差する。しかし風の刃は軽々と腕を切断し、ゴーレムの上半身を吹き飛ばす。

 残された岩石兵の下半身は力無く倒れる。



 力が入らない。倒れた頭の視線の先で、中年の兵士がサムズアップのサインを決めている。

 リーフは笑った。そして、意識が遠のく。

(リアン、頼んだよ。こんな争いを止めてくれ)

 リーフの意識はプツリと切れた。




 目が覚めた。そこは争いの跡が残る、静かな所だった。

「ここ・・・・は?」

 シエルは体を起こし、周辺を確認する。

 眼前に広がっていたのは少なくない量の血。どうやら密剣は去ったようだ。

(死んでないといいな)

 未だ朦朧とする意識を奮い立たせ、立ち上がる。

「リアンは?みんなは?」

 周囲を確認するが、物音一つしなかった。


 巨樹に向けて歩を進める。

 すると、倒れている人が。

 見紛う筈も無かった。

「アイゼン!?」

 駆け寄り、生死を確認する。

(生きてる)

 気絶しただけのようだが、腕の損傷が酷い。

 ホッとしたが、すぐに意識を切り替えた。

「海の力を利用する。命を生み出した母なる海。色は青、属性は水。命を生み出す原理を用いて傷を癒せ!!」

 シエルは両腕をアイゼンの右腕にかざす。

 少しの時間を経てアイゼンの右腕の治癒が終わり、彼が目を覚ます。

「あ、れぇ?腕が・・痛く・・・・無い?」

 アイゼンは薄く笑い、シエルを見上げた。

「お前さんか、サンキュな」

 アイゼンは左手で剣を鞘に戻し、右拳を強く握る。

「行こうか、アイツの元へ、アイツの戦場へ」

 シエルはコクリと小さく頷いた。

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