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剣戟の幻想物語 とある少年の冒険記   作者: やきたらこ
第二章~王の懇願~
14/50

8.

「竜ねぇ。畑が全滅よ困ってんの。どうにかして欲しいものねぇ」

 俺たちは宿に荷物を置いてきた後、村の人々――今は農家のおばちゃんに話を聞いていた。

「そうですか。分かりました、ありがとうございます」


 おばちゃんが手を振る。俺たちも手を振り返し、全壊した家屋へと歩を進めた。

「それにしても、なんでドラゴンは村を襲うんだ?」

 アイゼンが口を開く。シエルは顎に右人差し指を当てて考える。

「ん〜お腹が空いた……から?」

「じゃあなんで家を壊す? 腹減ってるんなら、畑襲って十分だろうに」

 確かにアイゼンの意見ももっともだ。

「何か、別の力が働いていた?」

 俺の口から考えが漏れる。

「さすがに考えすぎか」

 俺は笑って誤魔化した。

「ま、俺たちの目的は竜さんの討伐だろ? 目撃情報とかの聞き込みが先だな」

 アイゼンが勝手に話を振ってきて、勝手に結論を出した。


「そうだなぁ。確か蒼い鱗に覆われていて……他には…………悪い!! 遠くだったからあんま見えなかった」

 続く、青年はある程度有益な情報を提供してくれた。

「ありがとう」

 俺はお礼を言って立ち去る。その時、後ろから声が投げかけられた。

「長老んとこの息子に行ってみ、あいつドラゴンに襲われたから」

「分かった!! ありがとう!!」

 俺も叫び返し長老邸に向かう。



 ラヴェンヌ村の村長邸に着いた。あまり豪奢といった印象は無く、どこか質素で、他の家々とさほど変わらない感じがした。

 俺は扉をノックする。心地よい木の音が響く。

「はぁ〜い」

 女性の声が聞こえた。その声は中年女性を感じさせた響きだ。案の定扉を開けたのは中年で白髪の女性だった。口元にシワがあり、年齢を感じさせる。


「ささ、お上がりになりなさいな」

 女性は笑顔で出迎えてくれた。それから後ろの階段に向かって叫ぶ

「あなた〜お客さんよ〜」

 それを聞いたシエルは慌てて止めた。

「あ、いえ。村長ではなく、お子さんにお話を伺いに」

「あら、そうだったの? エルクに客人でしたわ〜」

 女性――恐らく村長の妻は再び階段に向かって叫ぶ。

「息子を呼んできますので、そこに掛けてお待ちくださいな」

 妻は赤いソファを薦めてきたので座らせてもらう事にした。

「ではお言葉に甘えて」

 俺たちはふかふかのソファに腰掛けて待つ。数分もしないうちにヤンチャしてそうな息子さん―エルクが母に促される形で応接室の扉を開けた。



「で、俺になんの用?」

 金髪の間から覗くギラリと光る眼にやや気圧されながら俺は答える。

「あなたを襲った竜について聞きたくて来ました」

「何? 逃げ帰ってきた俺を笑おうってクチ? 帰った帰った」

 やや自重的な微笑を浮かべ、エルクは手で払う動きをした。

「違う。あなたを襲った竜をあたしたちが倒すから、できるだけ情報が欲しくて……」

 説明は全てシエルに取られた。俺は真剣そのものの目でエルクの双眸を見つめた。しばらく膠着状態が続いたがエルクが負け、やれやれといった動作をして微笑をこぼす。

「分かった。消し炭になりたいなら教えてやるよ」

「助かる、ありがとな」

 アイゼンも礼を言った。



 竜は全長七、八メト。高さ五メトの体の大部分は堅牢な鱗に覆われ、蒼やカーキ色で鮮やかに彩られている。牙はとても強烈な威力を誇るらしかったが毒は確認出来なかったそうだ。竜が大きく口を開けるとブレス攻撃が来るらしい、彼は横に避けてなんとか回避したのだった。尾も太さは一メトを越えており、強靭な筋肉がそれを操っているのだという。

 爪も牙同様に鋭く、傷を負った彼は肉のえぐられた肩部を包帯を解いて見せてくれた。シエルはその後、得意の水属性術式で傷を癒していた。


「情報ありがとうございました」

「おう、こっちも肩治してくれてサンキュな」

 俺とエルクが礼を交わす。隣でシエルがペコリをお辞儀をした。


「よし、大分情報が集まったな。宿に戻ろう」

 アイゼンに促され俺たちは一旦の準備のため宿に戻った。

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