4. 執着系ヤンデレの場合
ちょっと注意です!
……いた。
数100メートル先に、攻略対象の彼がいる。
「玲ちゃん、いたよ。学園のアイドルの一人、──二宮 凌くん」
「はぁ、はぁ……。あなた、何をしようと」
「よし、話しかけちゃおう!」
「お願いだからわたくしの話を聞いて!」
玲子の手を握り直して歩き出した。……逃がすものか!!!
玲子は鈍くさい私よりも体力がなかった。お嬢様だしね。息が切れてはぁはぁ言っているの色っぽい!私がハァハァしたい。
……それは置いといて
二宮 凌──
私たちと同じ高校1年生。ちなみに私と同じクラス。席が近いから何かと話かけられていた。
切れ長の目に薄い唇。日本美人なイケメンだった。お家は医薬品会社を経営をしている。中等部からこの学園に入っており、入学当初からもてはやされていたとか。
……そんな彼は、
「………ぁっ」
「…ん、できた」
首すじに、彼がつけた赤い花びらが散る。
「お前を絶対離さない。お前が俺のものだと分かるようにもっと、つけてやる。俺に溺れろ——シノ」
薄暗い部屋の中、攻略対象と二人っきり。か細い声で喘ぐ主人公はなかなかに官能的だった。
『……あの、一つ聞いてもいいかな?』
『何?』
『君、高校生だよね?』
『そうよ、何当たり前なこと言ってんの?しの」
『…………これ、18禁ゲームじゃね?』
『そうね。だから?』
『なんで私に見せた?』
『語りたかったからよ』
横暴な親友に無理やり見せられた記憶が蘇る。最初はキスマークだけだったけど、後からだんだんエグくなるらしい。暴力とかいろいろ。ところどころしか見ていないので、あまり覚えてもいないが。
いやー無理だわ。
私はどちらかというと愛されるより愛するほうだしね!!女の子限定だけど。
「二宮くんこんにちは!」
「あなた何を!?」
「………春風と、久遠?」
不思議な組み合わせに、二宮は眉をよせた。
「玲ちゃんと友達になったの。ねっ玲ちゃん」
「なっ」
「友達?………大丈夫か?」
二宮は玲子がファンクラブ会長をしているのを知っている。疑問をもったようだ。だが私はめげない!
「そうなの!!玲ちゃんはね、私のこと心配してくれたみたいで、声を掛けてきてくれたの。やさしいよね!!いろいろお話をしているうちに仲良くなって、玲ちゃんの協力をしようと思うの!」
「……協力?」
嘘は言っていないよ!!声を掛けてきたのも、協力するのも本当だ。日本語って便利だよね!!言葉の言いかえがよくできる!一方、玲子は驚きすぎて物も言えないようだ。
「春風。あのな、」
「それでね、入学したときから仲良くしてくれた二宮くんに、私の親友玲ちゃんと仲良くなってほしいの!!」
「「は?」」
「みんな仲良しが一番だよね!愛は世界を救うんだよ!!じゃ、私これから用事があるから、またね!玲ちゃん、二宮くん!!」
「ちょっと待っ—─」
お邪魔虫は退散しなきゃね!!玲ちゃん、うまくやるんだよ!!
心の中で親指を立てながら、唖然としている玲子と二宮をおいて私は廊下を走った。
曲がり角を曲がったところで
ビッターン!!
派手に転んだ。……百歩の法則は健在なようだ。痛む膝をなでながら、私は感動した。これでミッション1、コンプリートだぜ!!




