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2. 悪女と友達になろう

はらり、


 桜の花びらが舞う。


 門を通る真新しい制服に身を包んだ生徒たちの顔は、嬉しさと緊張が交わっており、すこしぎこちない。


 聖マリア学園高等学校──。


 中高一貫のこの学園の高等部に私は今日、入学する。今までの道のりを振り返ると、涙が出そうになる。あぁ、本当に長かった………!!中学での生活はまさに暗黒時代だったのだ。


  まず、友達がいない。


 これだけ美少女だったら友達ができやすいだろうと思ったのだが、本当にいない。ぼっちだ。最初は不思議に思ったのだが、後に理解した。なぜなら………


「あんた、マキコの彼氏に色目つかったんだって?」

「サイテー信じらんない」

「ちょっと顔がかわいいからってマジむかつく」


 女子からの呼び出しが多かった。男に色目なんか使うわけないじゃないか!むしろ君たちに色目使いたい!!そう言いたかったのだが……


「あ………」


 鈴を転がしたような声しか出なかった。なぜ!?そんな子に関わると自分たちにも被害が及ぶのではないかと、他の女子からも遠巻きにされていた。


 次に。


 体育以外で百歩以上走ると転ぶ。


 私は運動神経抜群で、バスケ部だった。だから今回も部活に入って運動のできるお姉様として君臨しようと企んだのだ。ところが。


 

 こいつ、予想以上に……トロい。


 動きも鈍くさいしスポーツ関連がまるでだめだった。しかもよく転ぶ。あまりにもよく転ぶので何歩で転ぶか計算した。百歩以上走れたためしがなかった。



 ねぇこれなんの縛りプレイなわけ?百歩以上走ってはいけないとかいうゲームなの??泣いていいかな。



「………きゃっ」

「!!大丈夫?」


 転ぶとそこは美少女。近くにいた男子が声をかける。そしてどこかから聞こえる舌打ちの音。……悪循環だった。



 そして最後に


「ママね、本当は聖マリア学園に入りたかったのよ。でも落ちちゃって。娘ができたら絶対入学させようと思ってたのぉ」


 外見も頭の中もお花畑な母親だ。


 『僕の中には君ひとり』は高校入学後からの物語だ。だったら回避できるんじゃね?と思った私は、別の高校を受験しようと思ったのだ。しかし、そんな私に母親という壁が立ちふさがった。聖マリア学園は偏差値もそこそこ高い学校だった。でも私はそれ以上に頭がよかったし、勉強ができた。


 だって勉強できると女の子がもてはやしてくれるから!!


「きゃぁぁぁ!しのさま勉強もできるなんてすてき!!」

「しのさまぁ~ここ、分かんないの。教えて?」

「しのさまかっこいい!!!」


 みたいにね。


 聖マリア学園を受験することを条件に、この学園よりはるかに偏差値の高い学校を受験した。はるかだけ……いや、なんでもないです。もちろん合格圏内だった。A判定でもおつりがでるくらいの成績で、合格間違いなしとまで言われていた。


 だが、


(なんで当日インフルエンザにかかるんだよ………!!!)


 39度の熱がでて、保健室受験。頭ぼーとしてて問題解くどころではない。結果は言わずもがな。落ちてしまった。……こいつ、ゲーム始まる以前から毒でももってんの?バカなの?おこだよ?


 落ちたのに母親は嬉しそうだった。………マジ腹立つ。



 もうどうなったってこの学園へ入学する運命なんだ。私は諦めて腹をくくった。勉強はできるけど残念な頭で、私は考えた。



 最初はヒロインらしく振舞おう。


 おそらく主人公だから、勝手にあっちから寄ってくるはず。攻略対象と適当に仲良くなろう。たしか好感度が一定以上あがったら、悪役ポジションから呼び出しがある。


 そこで悪役の子ど友達になって、片っ端からヤンデレ攻略者に紹介していくのだ。………これ、絶対にいけるはずだぜ!!


「きゃっ」


 走っていないが百歩の法則が働いたのだろうか、私は転んだ。もうなんなのこいつ。呪われてね?悪態をつこうかしたときだった。



「……………大丈夫?」


 まるで王子さまのような男子が、私に手を差し伸べてくれた。周りで歓声が聞こえる。


(…………攻略対象の西條 彰人)


 たしか親友が『ハーフ設定で金髪なの!!王道だけどステキ!!!』とか言っていたな。今ならわかる。お前は王子だ。主人公補正なのか、攻略対象の周りがやたら輝いているように見える。


「……ありがとうございます」


 私は微笑みながら、その手を取った。……ヤンデレ回避と女子ハーレムへの道のために。こうして、私は学園生活で接触してきた攻略対象とあたりさわりなく過ごしていった。そして———



「春風さん、ちょっといいかしら」

「………」


 きた。待望の呼び出しタイムが──。

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