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コスプレ?

「どうだ起きたか?」

「いえ……まだです」


 誰だ?


「そうか。まぁ、目を覚ましたら呼んでくれ」

「かしこまりました」


 聞いたことない声だな……。


「布を変えますね」


 その言葉と共に、額からひんやりしていた物が消える。そして、少ししてまた額にひんやりした物が。


「メルカー。ちょっといいー?」

「あ、はい」


 部屋を出たのか、扉が開く音と閉まる音が聞こえた。


「……」


 俺は不安半分興味半分で目を開ける。


「…………」


 そしてそのまま、目を閉じる。そしてまた目を開ける。


「夢か」


 現実逃避である。


「古来から人間は夢かどうか判断するために原始的な方法をとっていた……と、いうことでちょっくら頬を」


 痛かった。夢だと思って強くつねったからとても痛かった。


「浮遊病?」


 寝ながら移動しちゃうあれである。


「寝ながら歩いてるところを保護された?……ん?」


 起き上がって今の状況を考えてると、視線を感じた。

 俺はゆっくり……というか、これが映像ならカクカクと音がしそうな感じで扉の方を確認する。


「……あ」


 そこにはやはり人が。例え頭に猫耳があって服装がメイド服を着ていようが猫耳のカチューシャが好きで、さらにメイド服というコスプレが好きな人だと勝手に理解し俺は優しい目で見てあげるさ。


「目が覚めたんですね!よかったです」


 猫耳メイド服の少女……いや、さっきメルカと呼ばれていたな。メルカさんは何が嬉しいのか大はしゃぎである。


「あ、ご主人様に言ってこないと!少し待ってて下さい!」


 そして部屋はまた静寂に……って!


「ここはどこなんだよ!」




「目が覚めて良かった良かった」

「はぁ……」

「おや、まだ体の調子が?」

「い、いえ!大丈夫です」


 誰だこのおっさん……いや、助けてくれたであろう相手に言う言葉でないのは分かってる……分かってるけど……。

 だって、ライオンみたいなタテガミがあるし……隣にいるメイドのメルカさんみたいに、頭に猫耳ついてるし……。


「今朝起きて、日課の散歩に出ようとしたらお主が家の前に倒れててな」


 日課って……朝から餌でも求め歩いてるんですか?


「ここら辺で人間を見るのは久しぶりでな。つい、助けてしまった」


 ……完全に、俺餌だよな?


「それに、見かけぬ服装で興味も湧いたしな」


 身包みを剥がす気かっ⁉︎


「ご主人様、そろそろ……」

「あぁ、そうだった。人間の子よ、私は少し席を外させてもらう。用がある時は、このメルカに言ってくれ」

「わ、分かりました……」


 そして、ライオン姿のおっさんは部屋を出て行ってしまつた。

 残ったのは、俺とコスプレ猫耳のメルカさんだけ。


「あ、あの。よろしくお願いしますね」

「は、はぁ……」


 どうしよう……いやもう、餌確定なのは分かってるけど。


「あの……私、メルカって言います」

「あぁ……俺は相坂 瑠衣」

「変な名前ですね」


 いえ、あなたが変なんです。

 何メルカって。カタカナやん。横文字やん。


「人間は皆さん、そのような名前なんですか?」


 人間はって……なに?身も心も私は猫ですって事?

 そんなに猫耳が気に入ってるの?


「俺の国ではそうですね」

「ルイさんの国……髪の毛も目も黒いし……あぁ!東洋の方の国ですね!聞いたことがあります!」


 なんか、物凄くはしゃいでるんだけど……あなたも、日本人でしょ。日本語話してるんだから。


「それにしても……獣人語がお上手なんですね」

「……」


 もう、驚きだよ。

 私の話してるのは日本語じゃなくて、獣人語ってか。私が変なんじゃなくて、俺がおかしいってか。


「ははは……本を読むのは好きなんで」

「凄い!文字が読めるんですか⁉︎あ……でも、人間は普通読めるのかな?」


 うん……そうね、動物は普通読めないよね。


「宜しければ教えましょうか?」

「え!良いんですか⁉︎」


 白熱の演技とは、まさにこの事だよ。

 もうアカデミー賞ものだよ……。


「じゃあ、少し待ってて下さい!本を持ってくるので!」


 そう言い、メルカさんは部屋を……って、ちょっと待て!


「ちょ、ちょっと待って……」

「はい?」


 気のせいか?見間違いか?

 なんか……尻尾があったんだけど。


「あの……ちょっとこっちに来てもらっていい?」

「あ、はい」


 そう言えば、メルカさんって可愛い子だな……。年は俺よりちょっと下ぐらいかな?明るい茶色のショートヘアに活発そうな雰囲気。

 学校にいたら、モテるだろうな……猫耳とコスプレ趣味がなければ。


「なんですか?」

「えっと……後ろを向いてもらっていいですか?」

「後ろですか?」


 疑問を持ちながら、メルカさんは後ろを向いてくれた。


「……」


 尻尾……あったよ。

 え?なに?どうやって付いてるの?


「あ、あの……何か付いてますか?」


 いや、何かつか……尻尾が付いてますよ。猫の尻尾が……流石に気付くでしょ?


「あ、あのー……ルイさん?」


 いや、これもコスプレの一つなのか?

 だとしても、どうやって付いてるんだ?


「そんなにじっと見られると、恥ずかしいんですけど……」

「あぁ、ごめん」


 ここは、意を決して触ってみるか。

 俺は猫の尻尾にゆっくりと触った。


「ひゃっ!」


 ふむ……触り心地がいいな。

 お手製なのか?


「ちょ……ルイさ……あっ」


 メルカさん……なんで、そんなに色っぽい声を出すの……。

 それでも、この尻尾の触り心地が良すぎてさらに触り続けるけど。


「ああっ!本当う……に、ルイさ……ん」

「大丈夫ですか?」


 これも演技なのかな?

 たどしたら、本当にアカデミー賞だよ。


「尻尾……繋がって……るから……」

「繋がってる?どこに?」


 いやまぁ、服になんだろうけど。


「から……だに。尻尾……だめだから……」


 なんか、本当に色っぽい……。

 見た目は、俺より下なんだけどな。


「ふむ……」


 とりあえず、尻尾から手を離す。


「はぁ…はぁ………」

「大丈夫ですか?」

「ルイさん!」

「あ、はい!」


 顔を赤くしながら、メルカさんはこちらを見た。目元には涙が浮かんでいた。

 本物の女優は目薬使わなくても、涙出るんだな。


「女の人の尻尾触るなんて最低ですよ!」

「ごめんなさい……」


 あ、つい謝ってしまった……メルカさんの演技力に俺も呑まれたという証拠なのか?

 舞台などを見に行くと、舞台に呑み込まれると聞いた事があるが、それがそうか。


「せめて……触る前に一言欲しかったです……」


 言ったら、触っていいのか。


「なら、触らせて下さい」

「嫌です!」


 即答……あの触り心地がなかなかハマるのに……。


「じゃあさ、文字を教えて上げるお礼にさ」

「うっ……で、でも……い、いや本は読みたいし……」


 なんか、やけに葛藤してるな。

 そんなに触られたくないのかな?壊さないように気を付けるから、触りたいんだけどな。


「で、でも……本も……」


 触りたいなぁ……ん?あれ?

 今、猫耳が動かなかった?


「ねぇ、メルカさん。その猫耳……動くの?」

「何を言ってるんですか。動くに決まってるじゃないですか」


 決まってるのか……機械仕掛けなのかな?


「じゃあさ……尻尾じゃなくて、猫耳触らせて」

「耳……ですか?」


 メルカさんは、自分の猫耳を触りながら考え始めた。


「そう……ですね。耳なら」


 多分、機械仕掛けだから触り心地は良くないと思うけど、仕掛けを知りたい。


「なら、勉強しよっか」

「はい!」

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