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アンケート

思い付きで書いたので、不定期更新になると思います。メインの長編もあるので、そっちに力を注いでいるので。

「これも面白かったな」


 ベットから起き上がり、部屋の隅にある本棚に本を戻す。

 本棚にあるのは今時の子供らしからぬ本ばかり。漫画も数冊ぐらいならあるが、本棚のほとんどを埋めてるのは字が嫌いな子が開いた瞬間に閉じてしまいそうな物ばかりだ。


「『危機的状況に置かれた場合の心理状態』か」


 俺は別にアニメや漫画を否定してる訳ではない。それどころか、友人に漫画を借りたりだってしている。

 ただ、親が許してくれないだけだ。保育園に通ってる時はまだよかった。


「って、そんな小さな時の事なんてうろ覚えだっつーの」


 自分でツッコむとゆう虚しいことをしながら、読書に戻る。


『郵便でーす』


 本の目次を眺めてると、玄関先から威勢の良い声が聞こえた。


「誰か出るだろ」


 俺は特に気にせずページをめくる。


『すみませーん』

「……」

『あのー』

「しつけーよ‼」


 本を閉じ部屋を出る。そして思い出す。


「母さん達……映画観に行くとか言ってたな」


 しょうがなく、階段を降り玄関に向かう。


「はいはい、今開けますよ」


 これじゃ、俺が居留守をしてたみたいじゃないか。

 鍵を開けドアを開ける。


「あー良かった。居留守かと思いましたよ」


 ドアの前には、当たり前と言えば当たり前だが郵便物を持った男が。ただ、顔の表情は被っている帽子でよく分からなかった。


「すみません、トイレに入ってたもので」


 何故だろう。この男と関わっては良くない事が起きる気しかしてならない。


「トイレ、ですか。ふむ……嘘と言うのは何故こんなにも悲しいのでしょう」

「なっ……‼」


 見てた?……いや、俺は何を言ってるんだ。このご時世にそうそう人の生活を覗かれてたまるものか。


「おっと、仕事仕事。えーと、相坂あいさか 瑠偉るいさんで間違いありませんね?」

「あ、あぁ……」


 この男はなんなんだ……気味が悪い。安全が取柄だけみたいなこの日本でこんな感じになるなんて。

 まるで、俺の中を覗かれてるみたいな気分だ。


「では、ここにサインをお願いしますね」

「あ、はい」


 提示された紙にサインをし、怪しげな男から郵便物を受け取る。段ボール箱だったから重いかと思ったらそうでもなかった。


「はい、確かに渡しましたからね……相坂さん」


 最後の最後までよく掴めない男だ。


「では私は…………ご武運を」

「今なんて——」


 俺の言葉を最後まで聞かず、男はドアを閉めてしまった。


「なんなんだよ……」


 手元の郵便物を見つめながら、訳の分からない不安を感じた。



「宛名は……俺であってるか」


 部屋に戻り郵便物を色々な角度から眺めてみても特に変なとこは無いし、大丈夫……なのだろうか。


「なんかの賞品か?」


 クロスワードとか思い付くのはあるけど、応募した記憶だけどうしても思い出せない。


「まぁ、郵便物まで怪しいってことはない……か」


 ただ、開けてビックリとはまさにこれのことだろう。


「紙?」


 段ボール箱だったから、どんな中身かと思ったら中にあったのは紙が2枚だけ。


「なんだよ、これ」


 一方の紙には一言『アンケートにご協力を』とだけ書いてある。そしてもう1枚の紙はアンケート用紙になっていた。


「あなたは異世界に飛ばされてしまいました……って、馬鹿にしてるのか?」


 アンケートと言うからどんなものかと思ったら、人を馬鹿にしてるような内容だった。


「あなたはどんな力を望みますか……か」


 これの他にも質問は幾つかあった。どんな世界を望むか、平和な世界なのか戦争中の世界か、男か女か……俺は何を思ったかペンを取る。

 何故書いたのか、と問われれば俺はこう言うだろう。


『暇だったから』


 そんな、残念な理由のもとアンケート欄を埋めていく。


「こんなもんかな」


 我ながら真剣に書いてしまった。日頃、親にそのジャンルのものを抑制されているからかもしれない。


「つかこれ、どこに出せばいいんだ?」


 アンケートなのだから、どこかの会社とかがやっている物だとは思うんだけど。


「段ボールには特に何も書いてなかったんだよな」


 こうなってはお手上げだ。最悪、これを持ってきた郵便屋に問い合わせばよいのだけれど。


「流石にめんどくさいしな」


 せっかく書いたが、どうしようもないのでアンケート用紙は机に置いておく。


「って、なんか眠くなってきたな……」


 時計を見てもまだ午後3時。いつもならこんな時間に眠くなる事などないのだが。


「眠気に逆らっても意味ないしな」


 こんな時間に寝たって、家に誰もいない現在誰かに咎められる事もないし。


「ふぁ~……やべ、本格的に眠くなってきた」


 ベットに倒れこみ布団もかけずに、俺は眠ってしまった。





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