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宣伝活動!!

 大学の講義4限後。

 オレと神崎は、昨日入る事にしたサークル‘コネクト’のメンバーと待ち合わせの場所に来ていた。暇だからという理由で佳奈もその場にいる。


 待つこと5分。璃花といちごを連れてお嬢様がやってきた。


「遅くなっちゃったわね。ごめんなさい」


 既に待ってたオレ達に気づき、謝るお嬢様。


「いやいや、さっき来たばっかだから全然問題ないよ。な」


 オレは神崎に同意を求め、神崎を見る。

 さすがは神崎で、うんうんと頷く。


「そーだよ。謝る必要なんてないよ!」


 神崎がニコッと微笑む。


「そうですか、ありがとうございます」


 お嬢様も微笑む。

 前も思ったけど、やっぱ笑うと可愛いな。


「んで、今日は何をするんだ?」


 サークルの活動ってか、サークルに入ってなかったから何をやるのか楽しみだったりする。けど、できたてのサークルだから依頼はまだきてないと思うんだよな。


「今日はサークル‘コネクト’の宣伝をしてもらう」


 璃花がいちごの持っていた紙束を受け取って、オレと神崎に渡す。

 あぁ、やっぱりかぁ…。紙にはでっかくサークル名のコネクトが書かれ、活動内容が軽くのっていて依頼募集中と大きく書いてある。彩りもカラフルで目につきやすい。しかも女の子らしく可愛い絵が描かれてる。女の子も来やすいように、ちゃんと考えて作ってあるみたいだ。


「これを配ったり貼ればいいと?」


「その通り。貼るなら人目の付く場所に貼ってよ。あと、何かあった時のために2人はペアで動いて。事件とか困った人を助ける時に宣伝は大事!」


 と、璃花。


「はぁ」


 オレと神崎は戸惑いつつも頷く。


「じゃあ、頼んだよ」


 璃花はそう言って1人で何処かへ歩いていってしまった。あの人どこ行くんだ? まさか自分だけ宣伝逃げるのか?


「璃花は部室に行って、宣伝を見て来た人から依頼の受付をするの。彼女にデスクワークは任せてあるの。だから私達は宣伝。」


 どうやら顔に想ってた事が出てたようで、お嬢様がフォローをいれる。オレは思わず苦笑い。


「なるほど」


 もうっ、と神崎はオレの背中を軽く小突く。


「あ、そうだ。オレ昨日聞き忘れたんだけど、君たちの名前知らないんだよ。だから、名前を教えてほしいんだけど」


 今ごろ聞くのも何だけど、これから一緒に活動するのに名前知らないってのはダメだしな。


「…。私は東郷美鈴。魔術大学2年生よ」


 一瞬間を開けて美鈴が名乗る。


「私は東郷いちご。同じく2年生です」


 いちごがお辞儀をする。


「2人とも東郷? 姉妹にしては似てないような…」


「家は孤児院なの。だから、苗字が一緒」


「あー…、そっか。そのごめん」


 オレは失敗した、と頭をかく。まさか孤児院の出だとは思ってなかったから、変なこと聞いちゃったな。


「気にしないで。私たち自信が孤児院出身だということを気にしてないから、鳴上も気にしないで」


 オレに気を使わせたと、美鈴は苦笑い。いちごも申し訳なさそうにしている。どうやら、本当に気にしてはいないようだ。


「…そろそろ宣伝活動しようか! 皆が帰り始めちゃうよ」


 空気が重くなり始めた時に、神崎が言う。


「そうね、行きましょう」


 そう言った美鈴に頷き、いちごと共に2人は宣伝をしに向かっていった。


「オレ達も行こう」


 うん、と頷く神崎と佳奈と共に一緒に宣伝をしに歩き出した。


******************************


 オレ達は正門の方の分担のようで、帰路につこうとしてる学生達にビラを配る。4割の人な受け取ってくれて、思ったよりもビラの減りが早い。

 だが、時間か経つにつれて人が少なくなり始めてビラの消費率も悪くなり始めた。


「うーん、とりあえず人にある程度は配布できたけど、まだ足りないな。掲示板に貼ってくるか」


 オレはまだ手元に残ったビラを、掲示板に貼ろうと歩き出す。


 掲示板は正門の近くにあり、屋根付きのわりと広いスペースにある。

 サークル関係の掲示板にビラを1枚貼り付ける。他のサークルのビラもあるが、やはり奇抜なせいかとても目につく。強い印象は与えれそうだ。


「よし、次はどうしようかな」


 オレはまだ残ってるビラを見て考える。


 人も少なくなってるし、ビラを貼り付けれるスペースも限られてる。学校のサークル関係の宣伝をするために、一般の掲示板を使うのはダメだろうなぁ。


「とりあえず、校内の掲示できる場所に貼り付けまくるか」


 神崎に連絡をしようと、携帯電話を取り出して電話をする。


「も、もしもし?」


 2コールほどで神崎が電話にでた。


「神崎、オレ今から校舎に」


「は、早く戻ってきて!」


「え?」


 ブツン、と電話が急に切れた。神崎の話し方はいつもより焦り気味だった。


「…とりあえず行くか」


 なんかに巻き込まれたのか?

 オレは走り出して、神崎と達の元へ向かう。


 幸いにも正門付近のおかげで、すぐついた。


 神崎達の方を見ると、4人の男達に囲まれている。あぁ、またナンパか。オレはすぐに理解して、やれやれと神崎達の元へ向かう。


 集団に近づくと声が聞こえ始めた。


「ねぇねぇ、こんなもん配ってないで俺達と行こうよ」


「こんなもんって、私達には大事な物なんですけど」


 よく見ると佳奈がいない。運が良いのか悪いのか、神崎は1人になったところで声をかけられたようだ。


「ちょっとすいません」


 オレはビラを片手に、男2人をかき分けて神崎の前に到達する。オレに気づき、嬉しそうな顔をする神崎。


「お前誰だよ?」


 邪魔に入ったオレを睨み付ける男達の1人。


「オレ? いやいや、あんたらこそ姫華に何の用? 悪いけど、あんたらほどオレ達暇じゃないんだよね」


 そう言って神崎の手を取り歩き始める。

 神崎は小さな声でわっと声を漏らしたが、そのままオレに引っ張られて歩く。


「おい、待てよ」


 1人がオレ達を呼び止める。


「何です? 忙しいって言ってるでしょ?」


 オレは神崎を背に隠して、男達を見る。


「お、おい、こいつ鳴上じゃね?」


 別の1人がオレを見てボソッと声を漏らす。


「鳴上? 鳴上ってあの西門路を潰したやつか?」


「あれ? そういう話って本人は知らない間に結構広まってるんだな」


 まさか、学園全土には広がってないよな、と苦笑い。


「じゃ、じゃあ俺たちはここで」


 と、男達はそそくさと走っていってしまった。


「何だあれ…」


 オレは呆然とそれを見る。何か、予想外に名前が知れ渡っちゃってるな。


「あ、ありがとね! 鳴上くん」


 神崎は、あははと苦笑いする。いや、照れてるのか?


「んー、気にすんな。またナンパか?」


「うん、まだサークル中だからって断ってたのに聞いてくれなくて」


 サークル終わったら良いよ、みたいな感じに勘違いしたのだろうか。


「神崎、そこははっきり行かないって言わないとダメだぞ?」


「うん、わかった」


 素直に頷く神崎。


 そこへ、何処かから戻ってきた佳奈がオレと神崎を見て止まる。


「何処行くの? 手を繋いで」


「何処って、学校内の掲示板にビラを貼ろうかなぁ、と思って」


 うん、と頷く神崎。

 オレ達が頭上にクエスチョンマークを浮かべて首をかしげるのを、やれやれと呆れる佳奈。


「仲良いのねぇ」


 フフフ、と笑う佳奈。笑ってはいるが、表情が笑ってない。

 それに恐怖し、後ずさるオレと神崎。


 そこでやっと、手を握ってた事に気づくオレ達。慌てて手を離し、あははと苦笑いし、頬をかく同じ反応をする。


「…ちっ。帰る」


 それを見て舌打ちし、佳奈は正門へと歩いていった。

 舌打ちされた…。佳奈さん、こわつ…。


 我が幼馴染みは知らない間に、舌打ちをするようになってしまったようだ。


「鳴上くん! 追いかけないと!!」


 神崎はオレとは対称的に、真剣な顔で追いかけろと催促してきた。


「なんで?」


 その真剣な顔に疑問を持つ。


「佳奈ちゃんは、鳴上くんの幼馴染みでしょ!」


「そ、そうだけどそれが?」


「じゃあ、早く行かないと!」


 そう言って、オレの後ろに回り込み一生懸命押して、佳奈を追わせようとする。オレはそれに訳がわからない、と思いながらも仕方ないのでしぶしぶ了承する。


「わ、わかった、行くよ」


 そう言うと、神崎は押すのをやめてオレからビラを引ったくり笑顔で手を振る。


「そのまま帰っちゃってもいいからね。ビラは私がやっとくから」


「…わかった。行ってくる」


 オレは神崎にそう答えて、佳奈を追いかけて走る。


 それを笑顔で見送る神崎。

 だが、オレの姿が見えなくなってからゆっくりと手を降ろし、笑顔もしょんぼり顔に変わっていった。


「これで良いはずなのに、何でかな。胸がズキズキする」


 神崎は胸に手を当てる。何だろう、この気持ちは。あの2人はずっと一緒で仲が良い。だから、今さら私が入り込もうとしても無駄なのかな。


「? 何で2人の間に入り込もうとするんだろう? 鳴上くんも普通に接してくれるし不満はないはずなのになぁ…」


 と、自分の心に現れたよくわからないモヤモヤ感に首をかしげる。


「…ビラ貼っちゃおっと」


 手にかかる重みに気づき、私は校舎内に入っていった。



 一方、オレはすぐに佳奈に追い付いた。相変わらず歩くペースの遅いやつめ。


「おい、佳奈!」


 オレの声にピクッと反応して、ゆっくり振り返る。

 その嫌そうな顔を見て、オレは思わず口の端を引くつかせる。


「なによ…、何か用なわけ?」


「何でそんな顔してんだ。何か気に入らないことでもあったのか?」


「別に、何もないわよ」


 はぁ、とため息をつきオレの方を向く佳奈。何もないのに舌打ちはしないだろ、と思うが怒られるので言わない。


「…ねぇ、あんた好きな人とかいないの?」


 不意に、佳奈が質問してきた。今までの流れを完全に無視してんな、この幼馴染みは、とオレは佳奈の本心に気づかない。


「それと何の関係が」


「いいから!」


 むぅ、一喝されてしまった。何か答えないといけない雰囲気だな。適当にはぶらかしたら殴られそうだし。


「んーとな、正直に言うと」


 うん、と今までにないくらいの食い付きで頷く佳奈。


「わからん」


「…は?」


 オレの答えに唖然とする佳奈。


「気になる子って事ならいるけど、好きかどうかは正直よくわからん。」


「何それ…」


 はぁ、とまた深いため息をつく佳奈。


「でもさ、よくわからんけど好きに一番近い感じだったら佳奈かもな」


「んなっ!?」


 オレの言葉にみるみる真っ赤になり、視線があちこちさ迷い始める。オレと視線が全く合わない。


「な、何をいきなり言ってんのよ! バッカじゃないの!!」


 と、顔をそらして言う佳奈。


「おいおい、あくまで可能性の話だよ。オレの佳奈に対する感情が好きかどうかってのはわからんし、でも佳奈だったら良いかって思える」


(こ、コイツはいきなり何でこんなことを…)


 佳奈がプルプルと震えながら、オレを見る。


「ま、よくわからんけどな」


 ハッハッハー、と笑うオレ。


「笑い事じゃない!」


「ぶくしゅ」


 オレは顔を殴られる。


「全く、15年は一緒にいるけどあんたはホントに何考えてるかわかんないわ」


「でも、オレの勘間違ってはないかもよ」


「信じらんないわよ」


 佳奈は呆れながらも笑ってくれた。



*********************


 校舎の3階で1人ビラを貼る神崎。


 ただ黙々と掲示板にビラを貼り続け、やっと3階まで上がってきた。でも後2階ある。


「よいしょっと」


 私はビラを両手で持ち、次の掲示板へと向かう。鳴上くん、佳奈ちゃんに追い付けたかな。ちゃんと話するかな。


 そう思いながら、私はビラを貼る場所を探しながら歩く。


 ふと、後ろから誰かの走ってくる音がした。


 それはだんだん私に近づいてきたため、振り返る。


「おー、もう3階まで貼ったんか。早いな」


「な、鳴上くん!?」


 そこには私に微笑んでくれる鳴上くんがいた。それに気づいた瞬間に、私の胸はドキッと高鳴る。


「よーし、さっさと終わらせちゃおう」


 そう言って、鳴上くんは私からビラをすべて取り上げ、歩き出した。

 私は唖然としてたが、我に返り慌てて鳴上くんの横に並ぶ。


「ど、どうして戻ってきたの? 佳奈ちゃんは?」


「佳奈なら話は終わったよ。ノエルに付いてもらってるから大丈夫。んで、オレはサークル活動するために戻ってきた」


 そのまま4階へと上がっていく。


「帰っていいよって言ったのに…」


 と、顔では不満そうにしているが、心中は喜びを感じてる私。


「こんな大量に残ってるビラを1人で捌くのはキツいよ。だから、戻ってきた」


 そう言って、4階の掲示板に着く。

 鳴上くんは両手が塞がってるため、私が1枚ビラを取って貼り付ける。


「もっと人を頼りなよ。何でも自分だけでやろうとしなくてもいいんだ」


 ニッと微笑む鳴上くん。その笑顔にドキッとする。


「う、うん」


 私は自分の感情に戸惑いながらも頷く。


 そして、2人はビラを校舎に貼り付けていく。


どうも。

遂に、サークルコネクトの始動です。正直、話をどう進めようかと思ってたんですが、高校の学園物はあっても大学の学園物はそんな聞かないなー(僕のなかではなので、結構あったら申し訳ないです)、と思って大学の日常的な物を主にして物語を進めていこうと思ってます。

僕のなかでは、第三部までの構成は終わっていて後は書いていくだけなのですが、いかんせん前のペースが取り戻せずに遅れてます。

ですが、書けるときに書いて更新するのでよろしくお願いします。

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