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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

見つめてくれるために。

作者: 空音悠都

少し怖さがイマイチです・・・

ヤンデレだとは思います。


私は初めて人を好きになりました。


他人のことに全く興味の無かった私にとって、その感情は不思議なものでした。


遠くで眺めているだけで楽しかった。


笑顔を見れれば今日はHAPPY DAYでした。


学校というものを初めて好きになったのもこの時です。


しかし、人というものは貪欲です。


私はあの人を見るたびに思うようになりました。


《どうすればあの人は私を見てくれるのでしょう?》


《私以外にあの笑顔を向けないでほしい》


《ねぇねぇねぇ・・・アナタと一緒にいるためにはどうしたらいい?》


悩んで悩んで・・・家族のいない私は一人で悩んでやっとの思いで答えを出しました。


「そうか・・・あの人が私だけを見るようにすればいいんだ」


あの人の家に行きました。


もちろん場所は知りません。


でも、私にはわかるのです。


だって、目の前にあの人が歩いているのですから。


あの人が家に中に入るまでずっと見ていました。


途中で気付かれそうになりましたが、なんとか大丈夫でした。


時間になるまで家の前で待っていました。


深夜0時になってあの人の家に入りました。


もちろん玄関からです。


目の前の障害はすべて壊します。


私の右手で握っている長い包丁はいつの間にか赤くなっていました。


障害物を壊しただけなのに・・・どうしてでしょうか?


階段を上がってあの人の部屋の前に立ちます。


そして、私が来たことを知らせるためにノックをしました。


眠そうな表情で、愛しのあの人が出てきました。


「おはようございます」


あの人は私の顔を見たとたん悲鳴をあげました。


人の顔を見て悲鳴を上げるなんてなんて酷い方なんでしょう?


でも、大好きなんです。


目の前のあの人は腰が抜けているようで、無様に自分の部屋を這いまわっています。


そんな彼を追い詰めて、抱きしめました。


「好きです」


彼のお腹に赤い薔薇が咲き誇りました。


とても綺麗です。


彼の悲鳴さえ、心地よいメロディ。


私はその薔薇に手を伸ばして、散らせます。


私の手はとても美しい赤で飾られています。


薔薇を掻き乱すその音と一緒に彼の体が痙攣します。


「綺麗です。大好きです。愛しています」


徐々に冷たくなる彼の唇にキスをしました。


こんなにドキドキしたのは初めてです。


いつの間にか彼は動かなくなってしまいました。


                    †


ある日のニュース。


『☓☓☓町で殺人事件が発生しました。家族全員を殺害され、犯人は見つかっておりません。その中の長男である川森隆士くん17歳は頭部が切断され、犯人が持ち去ったとされています。なお―――』


誰もいない部屋のテレビが点いています。


私は昨日帰ってきて点けっぱなしだったようです。


微かに音声が聞こえるのです。


でも、何を言っているのか理解できません。


私は冷蔵庫を開けてほほ笑みます。


「学校、行ってきますね。待っていてください」


彼がずっと私を見てくれた。


その眼には私しか映りません。


今度は家にいることが楽しくてしょうがありません。


学校では隆士君という方が首を切られて死んでいたため、テレビの取材が殺到しています。


その隆士君という方は誰なんでしょうか?


そういえば、あの人と顔がそっくりなのです。


兄弟でしょうか?


今日も学校が終わり、急いで家に帰ります。


だって、大好きなあの人が待っているのですから。


彼は冷蔵庫の中で、私だけを見つめてくれるので楽しみです。


やっとで私だけを見てくれるようになったのです。


走って、笑顔で家に帰ります。


名前の知らないあの人の元へ。

ありがとうございました。

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