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隣の席の幼馴染がつめたくない?大丈夫そう?そんなにつめたいと浮気するからね?

作者: 猫の集会
掲載日:2026/08/12

 オレには、紗智さちという幼馴染がいる。


 そんな紗智は、とにかく他の人とは違うオーラが漂っている。


 泉の精霊かのような美しさは、いつどこでどのようにうまれたのか?ずっと幼い頃から一緒にいるのに、なぜ…なぜいつのまにか、こんなに美しくなってしまったのだろうと、真剣に考えてしまうほど、美しい。


 そんな美しい幼馴染がいるなんて、オレは自慢して歩きたいくらいだ。


 しかし…


 実のところ、オレたちが幼馴染だということを、だれ一人として知らない。


 うん、言ってないからね。


 紗智も、おそらくだれにも言っていないのだろう。


 別に秘密にしているわけでは、ない。


 ただ…とくにいうことでもないし、タイミングがないだけだ。


 言ったところで…ね?っていうのもある。


 高校生のオレたちは、クラスが一緒だ。


 なんなら、席も隣同士だったりする。


 クラスメイトの男子からは、羨ましいと何度も言われた。


 なんなら、睨まれる…


 でも、こればっかりは運命だから仕方ありません。


 席替えの運命で、これからの人生がかわるといってもいいほどである。


 席替えってさ、ある意味お見合いパーティなんじゃね⁉︎


 なんなら、合コンかもしれない。


 素敵な儀式をありがとうございます。


 校長先生をはじめとする、保護者代表及び皆さま、また、先生がた皆さま。


 そして、地域の皆さまの理解があるからこそ、今ぼくたちは安全にこうして暮らしております。


 と、席替えバンザイを一人で黙々とかみしめる。


「ねえ、賀名斗かなと

 オレを…オレの名前を優しく包み込むような声で呼ぶのは、もちろん隣の席の紗智だ。


「なに?もう全身で包み込んでもいいんだぞ?」

「え、なに言ってるのかわからないけど、さっきから先生が呼んでるよ?」


 ⁉︎


 先ほど感謝したばかりの先生が呼んでるだと⁉︎


 すっかり自分の部屋へ心が閉じこもっていたせいで、先生がかやのそとになるところでした。



「あ、先生…いたんですね。傷んでるかと思って心配してたんですよ」

 クスクスと笑いが起きる。

「なに言ってるの!先生は、傷んでいません!なんなら、ぴちぴちなのよ!」

「あー、たしかに…」

 服がぴちぴちだ。

 皆、大爆笑だった。


「もう…いいから、ここの問題解いてみて」

「あ、そういうことですね。了解です」


 オレは、サラサラと問題を解いて席へ戻った。


 そして、紗智に言った。


「またせてごめんな。さみしかっただろ?もうひとりにはさせないよ」

 って。


 そしたら、普通に

「そんなわけないから、大丈夫だよ。なんなら静かでよかったわ」

 と、かえされた。


 ええ、ですよね。


「なぁ、紗智」

「なに?」

「そんなにつめたいと、オレ浮気するからな?」

「えっ?それは、理不尽すぎるよ。だって、わたしたち…付き合ってないのに…浮気なんて…ひどいよ…妄想がね」

「ですね。」

「うん、てか、授業中だから集中して?」

「紗智にだろ?もう全集中してるぞ?」

「勉強に」

「はい。」


 こうして、楽しい時間が過ぎつつある。


 でも、席替えって…先生の突然の気分でやってきてしまうんですよ。



 明日席替えしまーす。っていうんです…



 皆は、チンパンジーなのかってくらい、手をぱんぱんさせて喜んできゃっきゃしていた。


 何人が先生へ、笑顔で前歯のお披露目会をしたことか…


 しかし、オレは絶望感半端なかった。


「えっ、席替えだってよ⁉︎紗智…オレたち…別居婚だぞ?いいのかよ、このままで‼︎オレ、さみしくて浮気したらどうすんだよ⁉︎一緒についてきてくれるか?」

「それはよくないよ。虚言すぎるって…そもそも結婚してないからね?浮気もついてくるも、ないのよ」

「あ、そうっすね。なら、とりあえず結婚するか」

「そんなこと、あっさり言わないでよ。しかも、こんなところで」

「だな。ちゃんとオレの布団の中で言わなきゃだな。抱きしめながら、今夜ちゃんというよ。ベッドメイキングもバッチリしとくからな」

「いらない、ベッドメイキングとか、いらないから。時間の無駄すぎるよ」

「そうだな。そんな時間あったら、紗智を抱きしめるほうが優先だな」

「違うから。とりあえず、わたしは静かになるから、よかったわ」

「強がりだなぁ。後でひとりで泣くんだろ?大丈夫だ。ひとりには、させない。泣かせたりしないよ。紗智」

「うん、大丈夫。泣かないし、ひとりじゃないから安心して。このクラス、何人いると思ってるのよ」

「あー、言われてみればたくさんいるね。でも、言われるまで気づかなかったよ。オレには、紗智しかみえない」

「眼科いきな」


 …


 もう、つめたいやつめ。


 つめたいなら、あたためたらいいのか。


「紗智、抱きしめていい?」

「意味わからない。てか、そんなこと今、ぜったいやめて」

「今…ぜったい?」

「ぜったい。」

「絶交?」

「そこまでは…」

「じゃあ、絶好調?」

「それは、賀名斗だけね」

「なら、結婚しよ?」

「しない…てか、今は…だから、そもそもこんなところで言わないでってさっき言ったよ?」

「あ、そうだったな。てか、今夜も徹夜でアレする?」

「もちろんだよ」

「じゃあ、席替えしても安心だ。オレたちは、毎晩つながってるもんな」

「うん、もちろんだよ。ゲーム仲間なんだから」

「そのチーム名、かえない?」

「チーム名だったの?てか、なんてかえるの?」

「ゲーム夫婦とか、夜な夜なこっそりイチャつく幼馴染とかにさ」

「べつにイチャついてないじゃない」

「じゃあ、イチャつこう?今夜から」

「やだよ…まだ…」

「まだ?なら、あとでこっそりな♡」

「ばか…っ」


 …


 てか、あなたたち…今まさにめっちゃイチャついてない⁇って、席の近くのクラスのほとんどが思っているのでありました。




 おしまい♡

 

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