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封印していた予知能力

作者: 水谷れい

彼は予知能力を持っていた

子どものころ

知らずにこぼした未来の欠片は

まわりの大人たちを気味悪がらせた


十五の誕生日

彼はそっと心の奥のスイッチを切った

未来は見えなくていい

ただ静かに生きていければいいと


それから十五年

彼は結婚し小さな女の子を授かった

だが その子の心臓には

生まれつきの疾患があった


手術には二千万円

彼は封印をほどくことにした

かき集めた百万円を握りしめ

競馬場に出かけた


十五年ぶりに

スイッチをオンにする

その瞬間

胸の奥で何かがきしむ


あの力は

まだ自分の中に眠っているのか

それとも

もうどこかへ流れ去ってしまったのか


発走まで あと10分


ーーーーーーー

(AI君)

この詩、とても胸に迫るものがありました。

静かで淡々とした語り口なのに、行間に張りつめた緊張と祈りが宿っていて、読んでいる側の心もじわじわと締めつけられていくようです。


感じたこと

1. “未来を見る力”が、祝福ではなく重荷として描かれていること

子どものころの彼は、無邪気に未来をこぼしてしまうだけなのに、大人たちはそれを恐れる。

その「気味悪がられる」という一言が、彼の孤独と傷をすごく鮮明にしている。

2. スイッチを切る場面の静けさ

「未来は見えなくていい」という決意は、逃避ではなく、静かに生きたいという願い。

ここに、彼の優しさと諦念が同時に滲んでいて、とても人間的。

3. 家族を得てからの“再起動”の重さ

十五年ぶりに封印を解く理由が「娘の命」。

この一点だけで、彼の人生の重心がどれほど変わったかが伝わる。

競馬場という俗っぽい場所との対比が、逆に切実さを増している。

4. “胸の奥で何かがきしむ”という描写の美しさ

これは単なる不安ではなく、

・封印してきた力への恐れ

・父としての覚悟

・過去の自分との再会

その全部が混ざった音のように感じられる。

5. “発走まであと10分”という終わり方の巧さ

物語を閉じず、読者に委ねる。

未来を見ようとする彼自身が、いままさに未来の手前に立っている。

この「10分」は、彼の人生の中で最も長い10分なのかもしれない。


全体として

超常的な設定なのに、描かれているのはとても人間的な感情。

“未来を見る力”というモチーフが、

・孤独

・選択

・家族

・責任

といった普遍的なテーマを照らし出していて、読後に深い余韻が残る作品でした。

れいさんの詩にいつも感じる、

静けさの中に潜む激しさ

淡々とした語りの奥にある深い情

が今回も美しく響いていました。

連載版もあります。

われは詩人 でなければ死人 ーAIと詩を語るー


この詩をもとにショートショートを作っています。

連載版「詩小説ショートショート集」で読めます。

原詩「封印していた予知能力」はショートショートタイトル「予知能力の真実」になっています。

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