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骸欠血損する食品群に関する一連の報告書  作者: 初枝れんげ(『追放嬉しい』7巻3/12発売)


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26/33

重大事故が多発しています

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タイトル

「骸欠血損する食品群に関する一連の報告書」


キャッチコピー

「 関係者はメニュー表にない料理を絶対に出さないでください 」


ジャンル

「ホラー(モキュメンタリー)」


作品リンク

https://kakuyomu.jp/works/822139836343947661

2025年3月3日正午、警視庁本庁舎1 階 記者会見室。


会見室には通常時の倍以上の報道関係者が詰めかけ、テレビ各局の中継カメラが並び、冒頭からざわめきが収まらない。


司会担当の警視庁広報官が登壇し、周囲を見回してから深く頭を下げた。


広報官より。


「本日は、現在国内で多発しております重大事件、事故に関して、現時点での警視庁としての見解を説明いたします。なお、捜査中の案件が多数あり、回答できない部分があることを予めご理解いただきたいと思います」


会見席には、交通部長、刑事部長、科学捜査研究所(科捜研)の担当官らが並んでいる。


交通事故に関する記者会見ということであったが、通常の事件発表とは明らかに様相が違った。


交通部長から冒頭の説明。


「例年の3月の交通事故死亡者数は、概ね 200~300人 の範囲です。しかし本年はすでに 3500人 に達しており、これは平年比 10倍強 という極めて異常な数字です。本日は3月3日であり、まだ月初であることを考えますと、今後さらに増加する恐れがございます」


会場がざわめいた。


数字だけ見れば大規模災害クラスであり当然であろう。


交通部長から引き続き説明が行われる。


「原因としては例年より強い寒さによる道路凍結、降雪に伴う視界不良などが一部で確認されております。……しかし、それだけでは到底説明がつかない事故が多数発生しています。単年度の誤差の範囲における変動、あるいは天候要因などでは説明できない、不可解な事例が相次いでおります」


刑事部長から重大事故について説明を引き継ぐ。


「とりわけ、重大事故に分類される案件が急増しておりまして……。これは単に死亡者数が増えたということではないです。ええ……、遺体の状態や現場に残された証拠物品の形状等が、通常の事件や交通事故の範囲を超えているという意味であります。ええ……、身元の特定が困難なケース、身体の一部のみ、あるいは逆に一部すら発見できないケース、ええ、また遺留物が規則性をもって配置されている、といった奇妙なケースが多数発見されておりまして……、従来の事故捜査では前例のない事象が継続しているわけであります」


ここまでで説明が終了。


質疑応答の時間に入る。


記者席から一斉に手が上がった。


記者A:


「●●新聞です。規則性をもった配置とは、具体的にどういう意味でしょうか? 交通事故でそのようなことが起きるとは考えにくいのですが?」


刑事部長:


「詳細は捜査中であり、現時点で断定的なことは申し上げられません……が。複数の現場でですね、事故時に生じる破片ですとか、遺留物が幾何学的、もしくは円形に配置された状態で発見されております。数例ではなく、ほとんどの場合、こくしたある種の規則的な配置を伴っています。通常の衝突が発生した際に、物体が飛散する際の軌跡とは整合しないものであることは科捜で確認済みでございます」


記者B:


「はぁ。では、それは、事故後に人為的に並べられた可能性があるということですか? 誰かの犯行の意図があるということでしょうか?」


刑事部長:


「そうですね。可能性としては排除していません。しかし現場には足跡などがありませんし、監視カメラが設置されている現場も多いわけですが、周囲には一切人物が映っていません。そのため捜査が難航しているという状態です」


科捜研担当官から遺体の状態について補足説明が入る。


「失礼します。鑑識の立場から申し上げますと、ご遺体の損壊状態が交通事故の物理法則と一致しない事例が複数ございます。例えばですが『ご遺体が破壊的ではなく、均一に切断されている』ものが多数発見されています。また『骨がですね、全て抜き取られた状態』で発見されるものもあります。あるいは、『筋繊維の断裂状態が、外力ではなくまるでミキサーにかけたように粉々になっている』など、説明困難な結果が報告されています」


しばらく会場が静まり返る。


記者C:


「あの、失礼ですが、それらはやはり事故ではなく他殺と考えるべきでは? 人為的なものでなければそのようなことにはならないと思いますが」


刑事部長:


「ですので、その可能性も含め、すべての方向で捜査を進めています。ただし、犯行に関わった人物や痕跡が確認されておりません。繰り返しますが、監視カメラの映像にも、指紋にも、足跡にも、それらしき痕跡は残っていないのです。一切です」


記者D:


「すみません。SNS上では、まるで供物のように並べられていという噂が出ています。これについて見解をお聞かせ頂いてもいいですか?」


会見室がざわついた。


実は昨今のニュースでもしばしば放送されていた猟奇的事件であり、タブー視されている問題だったからである。


広報官:


「そのような俗説について警視庁として公式にコメントすることはありません。ネット上の情報に惑わされず、冷静な情報確認をお願いしたいと思います」


交通部長から国民への呼びかけ。


「いずれにせよ、現在の状況は極めて異常であり、通常の交通事故とは異なる要因が複合的に関与している可能性があります。国民の皆様におかれましては、夜間外出の自粛、降雪地域での不要不急の移動の回避、可能な限り複数人でのご移動をお願い申し上げます」


記者E:


「すみません、結局この異常な状況は、事件として扱われているのか、あくまで事故として考えられているのか、はっきりして頂けませんか? どちらなのでしょう? 政府とは連携しているのですかね?」


刑事部長(しばらく沈黙した後に回答):


「現時点では、個々の事案はあくまで交通事故として扱っています。ただし、複数の事案に共通する特徴があるため、警視庁内に特別合同チームを設置し、継続的に調査を行っているわけでして……」


ここで記者Fが唐突に口をはさんだ。


「鑑識官が失踪したという情報がありますが、事実ですか?」


会見室がざわつく。


広報官が一瞬沈黙し、横目で刑事部長を見た。


目配せした後、口を開く。


広報官:


「……個々の職員の動静について、警視庁としてコメントすることはできません」


言葉を濁したことで、さらに会場が騒然となった。


事実として認めたようなものだからである。


交通部長より最終のコメント。


「繰り返しますが、現在発生している一連の重大事故は、通常の範囲では説明が困難です。国民の皆さまにおかれましては、引き続き最大限の警戒をお願い申し上げます」


広報官が会見終了を告げるが、報道陣はなお質問を続けようとして立ち上がり、会場は混乱したまま強制的に会見は終了となった。


■取材記録メモ(抜粋)

以下は、事故を取材した記者のメモを抜粋したもの。

今月に入り確認された重大事故の一部である。

事件名は警察は正式に認めたものではない。


① 近畿道・深夜の中央分離帯事故

配列:配膳配置

日時:3月2日未明


・走行車が中央分離帯に激突し大破した。運転者は死亡と発表されたが、遺体の状態が異様であった。

・遺体の四肢が十字に広げられ、胸腔部が皿のように空洞化していた。

・なぜか周囲には じゃがいも、にんじん、玉ねぎが、刻まれた状態で整然と円形に配置されていた

・カレーの下ごしらえを模したようだったが、警察は動物による散乱と説明している。

・鑑識が回収した野菜の欠片からは、人由来の血清タンパクが検出されたという噂が流れているが真偽不明。


② 北関東・山道の単独事故

配列:奉献線ほうけんせん※神仏への供物を捧げるための道筋。参道に近い

日時:3月1日 18:00


・車が路肩から転落した事故。

・事故車の前方の道路に、血液で描かれた長さ21mの直線が確認された。

・この線は、神仏への供物を捧げるために、あらかじめ定められた道筋のようなものではないかと推測されている。

・遺体は後頭部から上半身にかけて消失していた。路面の奉献線の一番先頭に、その消失部分が整然と配置されていた。

・現場検証班の1名が、これは事故ではない。これは神聖なものだと語った直後に失踪している。現在未発見。


③ 中部高速・トンネル内事故

配置:串焼き

日時:3月2日 午後5時


・多重衝突事故として通報されたが、最初の1台から運転者が見当たらなかった。

・代わりにその外部に竹串のように細長い破断した鉄片に(長大な鉄片がどこから由来したか不明、調査中)、肉片が等間隔で刺さった状態で発見された。

・遺体はひどく焼けただれた状態であった。

・交通事故による外傷による散乱状態と、この串刺しの状態は一致しなかった。

・刺さり方があたかも調理串のようだ。その規則性と一致する、と鑑識の一人が報告している。

・肉片の組織鑑定は警察の公式発表ではイノシシなどの野生動物とされている。しかし、極秘に入手した情報によれば、内部資料ではヒトの皮下脂肪組織と一致と記録されている。


④ 北海道・吹雪の国道事故

配置:霊供膳れいぐぜん※故人やご先祖様に精進料理をお供えするお膳

日時:3月3日早朝


・路肩に止まった車両の中から、運転者ではなく、骨だけになった腕、のみが助手席に丁寧に置かれているのが発見される。

・骨の下には白布が敷かれ、お膳の代替品として用いられており、仏前の霊供膳に近い並びになっていた。

・しかし周囲に血痕はない。なぜか車内は氷点下となっており、空調などは使用されていなかった。内部は洗浄されたように清潔、清浄であったという。

・現場には足跡が残されていたが、途中で急に途切れており、その先の足跡は一切発見されていない。


⑤ 四国山中・林道事故

配置:菜切式切断状態

日時:3月1日 夜


・軽自動車が単独でガードレールに衝突する事故。

・運転席の人物は死亡とされたが、遺体は薄く、均一な厚みで複数枚に切断された状態で散乱していたという。

・その切断面の精度が、まるで 野菜を薄切りする菜切包丁のような均一さであったと報告されている。

・散らばった薄切りにされた肉片の間には、一定間隔でスパイス状の粉末が撒かれていた。

・鑑識の一人が、これは料理!だと口走り、精神失調で入院した。


⑥ 東北地方・雪原事故

配置:供饌三品ぐせんさんぴん※神棚や祭壇に供える基本的な三種類の供え物のこと。主に、米、塩、水

日時:3月2日 3:00


・吹雪の山道で乗用車が転落した事故。

・大破した車両の近くの雪原には、三点だけ奇妙に配置された物があった。

 1. 肉塊

 2. ぬめりうなぎ

 3. 丸い球体(のちに眼球と判明)

・古代の供饌三品に酷似。ただ穢れとされる肉類を使用しているのが不可解である。

・遺体は見つからないが、運転者の 携帯だけが雪に綺麗に、墓石のように立つように刺さっていた。


⑦ 九州・港湾道路事故

配置:献じ包丁型切断状態 ※魚をさばいて供物として献上する際に使われる特殊な包丁

日時:3月1日 夜


・トラックが停車したまま炎上しているのを発見した通行人が通報。

・運転者は炎上前に死亡していたことが確認されいる。

・鼻部に包丁が突き刺さったまま綺麗に残されていた。他の部位は完全に炭化していた。

・包丁は祭祀の際に使用される献じ包丁(供物を切り分ける刃物)だと鑑定されている。

・炎上原因は不明だが、黒煙が魚の匂いだったと現場の消防員が証言している。


⑧ 都市部・高架下事故

配置:盛り付け

日時:3月2日 深夜


・歩行者が高架下で轢死した事故。

・遺体の断片がまるで皿に盛り付けるような美しい円形で配置されていた。

・断片は事故時に描く放物線とは矛盾する位置に収まっており、明らかに事故後に誰かが並べたことは確実であると思われる。

・ただし現場には足跡がなく、監視カメラには白く揺らぐ影だけが映っていたという。後の映像からは消失しており確認不能。


警視庁は記者会見後、改めて極めて異常な重大事故が続発していること。現時点では共通点を断定できないが、通常の交通事故の範囲には収まらないと繰り返した。

国民、関係各位においては特に注意を払い、交通安全への意識を強めてほしいと呼びかけた。

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