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骸欠血損する食品群に関する一連の報告書  作者: 初枝れんげ(『追放嬉しい』7巻3/12発売)


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12/33

★現地調査報告

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タイトル

「骸欠血損する食品群に関する一連の報告書」


キャッチコピー

「 関係者はメニュー表にない料理を絶対に出さないでください 」


ジャンル

「ホラー(モキュメンタリー)」


作品リンク

https://kakuyomu.jp/works/822139836343947661

読者の皆様へ


こんにちは。佐倉さくら 山羽やまはです。

さて、本日は前回ブログでご紹介しておりました通り、D子さんの日記を頼りに、滋賀県某所へとやってきました。

特定を避けるために住所は書きませんが、比較的京都に近い、いわゆる県境というやつです。


そこにある綺麗な市街地を調査してきました。


今回のブログはその調査結果の報告となります。


前回の記事でもご紹介した、婚約者の三輪みわ 遠矢とおやさんと同行しての調査となりました。


ブログの作成にあたり三輪さんからは直々に実名を出しても構わない、との許可を頂いていますので、その点あらかじめご了承ください。


『実名を出した方が臨場感もあって、ブログの閲覧数も伸びるんじゃないか?』


とのことで、お言葉に甘えた形になります。


もちろん、個人の特定はお控え下さい。


さて、前置きが長くなりましたが、今回の調査結果について報告していきたいと思います。


現地へは私鉄の近畿鉄道やJR西日本鉄道の電車を乗り継ぎ、ちょうどお昼ごろに到着することができました。


何だか微妙に肌寒い場所で、開けた市街地なのですが、人がやけに少ないのが気になりました。


街並みは美しいのですが、その割に活気がないというか、なぜか落ち着かないのです。


実際、到着した街を歩いているのは私たちだけでした。


時折車が通過しますが、他はシンとしていて、何だか奇妙な感じでした。


まぁ、もちろん、慣れない街というのはこういうものなのかもしれません。


三輪さんにも、せっかく来たんだから楽しんでいこうと言われました。


まったくその通りですね。


近くには結構大きな湖もあるので、飲食店の調査の後は、ボート遊びや釣りなどに興じようといった話をしながら、目的のカフェへと向かいました。


そうこうしているうちに、すぐに目的地である例のカフェが発見できました。


D子さんが入ったという、例のお店です。


ただ、入ろうとする前に、少し三輪さんが突然妙なことを言いました。


『声が聞こえる。呼んでいる。行かないと』


そんなことをどこか遠くを見ながら言うのです。


とはいえ、それは一瞬でした。


私がびっくりして三輪さんに呼びかけると、彼はキョトンとして、『え、俺、何か言ってた?』と首を傾げていました。


『仕事を忙しいから疲れてるんだろうな。まぁ、だからこそ、こうやって息抜きにきたんだけど』


照れくさそうに言いました。


どうやら、白昼夢、とまではいかないですが、突然睡魔が襲って来て、寝言を言ってしまったみたいですね。


『もう大丈夫!』


といつもの元気を取り戻したので、私たちは気を取り直して、そのカフェへと入って行ったのでした。


まずはD子さんが座った座席を探して、できれば同じ場所に座って食事を注文したいと思っていました。


扉を開けて中へと入ります。




インターネットで調べた時、美味ログには内装がきれいで、ケーキのおいしいデートにも使えるお店、と紹介されていました。


実際、コメント欄への書き込みもそういった声が書かれていたのです。


写真にもおいしそうなイチゴのショートケーキやデコレートを盛りに盛ったドーナツなどが掲載されていました。


ただ、私はなんだかまた最初に街に電車から下りた際の違和感を覚えました。


確かに中は写真に掲載された通りの内装でお洒落なのですが、お昼時だというのにお客さんが全くいないのです。


店内のBGMはなぜか風がビュービューと吹くような雑音のようなものが流れ、空気も空調がきいているわけでもないのに、どこかじめじめとして、肌にはりつくような、陰気でうすら寒いものでした。


ただ、彼の言った『せっかく来た』のだからというのもありますし、何よりこれは調査ですので、出来るだけ前向きに捉えることにしました。


しばらく待ちましたが、店員さんは出てきません。


どうやら空いている席に勝手に着席して、タッチパネルで注文する形式のようです。


そのことがまた、お店の寒々しさに拍車をかけました。


私は気を取り直して調査に集中することにします。


D子さんの日記によれば、外の景色が見える席であり、看板もそこから見えるはずです。古いタイプのお店とのことでした。


そこで、私は店内を歩いて様々な角度から外の風景を眺めてみました。


お店は周囲に家屋のない形でぽつんとたっているタイプのお店でしたので、四方すべてがひらけており、外の風景を見ることができます。


西側、南側、東側と順番に眺めます。


しかし、そちらには特に飲食店らしきものはありませんでした。


それで最後に北側に視線を転じます。


確かにそちらには古い飲食店がありました。


ですが、期待していたものではなかったのです。


そのお店は既に閉店していて、看板も取り外されていました。扉や窓には板が打ち付けられていて、長年放置されていることは明らかです。ショーケースの中のサンプル食品も老朽化し色あせていました。


『このお店じゃなかったのかな?』

『というかガセネタだったんじゃないか? そもそも日記の内容が荒唐無稽すぎるよ。愉快犯……にしては手がこんでるけど、からかい半分で変な資料を送り付けて来たんじゃ?』

『やっぱりそうかな』


私はがっかりしながら彼の言葉に頷きました。


しかしお腹は空いていましたので、その古ぼけたお店がよく見える席に座ります。


向かいの席には三輪さんが座りました。


タッチパネルで注文を入れます。昼食もかねて、2人ともスパゲティを頼むことにしました。食後にはデザートと飲み物も頼むことにします。


私が先に入力しましたので、また先ほどのお店を何気なく顔を上げてみました。


すると、妙な違和感があることに気づきました。


何だろう。


そう思って凝視します。


すると、おかしなものが視界に入っていることに気づきました。


ショーケースの中に並んだ、食品サンプルたち。


長年放置されたそれらは、先ほどまで薄汚れ、変色していたはずでした。


ところが、今見たそれらは美しく、まさに作りたての料理のように、涎を誘うような異様な魅力を放っていたのです。


私は目が離せませんでした。


それに、先ほどは気づきませんでしたがおかしいのです。


どうして遠くにあるお店のショーケースの中が、これほど鮮明に分かるのでしょうか?


|見てはいけないものを見ている《・・・・・・・・・・・・・・》。


そう思った瞬間、その食品サンプルたちが。


『モゾ』


と少し動いた気がしました。


『ひっ』


そう声を上げようとしましたが、なぜか息が漏れるばかりで、声になりました。


そうこうしているうちに、オムレツの食品サンプルがネチョリと粘着質な音を立てて割れました。なぜそんな音が聞こえるのか分かりません。


見たくない。


そう思っているのに、動くこともできません。声も出せません。聞こえるのは私の荒い息遣いのみです。


そうこうしているうちに、食品サンプルの割れ目から、何かが這い出して来るのが見えました。


それは『頭髪』のように見えました。


それがモゾモゾ、モゾモゾとうごめきながら、割れ目から這い出るように出て来るのです。


しかし、ことはそれだけではありませんでした。


頭髪のその根本。


つまり、頭としか思えない丸みを帯びたナニカ。


それが這い出ようとしていたのです。


割れ目が小さく、大きな頭部がつかえているのか、うごめきながらなんとか這い出ようとします。


まるで出産のように。生まれようとするかのように。


そうしてメリメリと音を立てながら頭が半分這い出ると、そこには閉じた目がありました。


そして。


その目が。


開いて。


きょろきょろと周囲を見ました。


そして、こちらを見つけると、眼だけでニコリと笑って、さらに激しく割れ目か残りの部分も這い出ようともがきはじめたのでした。


『ヒイ‼』


私はその瞬間、何とか視線をそこから外すことができました。


汗で背中がぐっしょりと濡れていて、口の中はカラカラです。


こんな場所にもういられません。


一刻も早く脱出しないとっ……!


そう思って三輪さんの方を見ます。


『三輪さん、逃げましょう!』


なりふりかまわず、そう叫びました。


しかし。


私は目の前の光景が理解できませんでした。


三輪さんは自分の首に、テーブルにすえつけられたナイフをあてがい、ギコギコと、まるで首を落とそうとするかのように切断していたのです。


『やめて! 早く来て! でないと!』


私は彼の手を叩くようにして、必死にナイフを離させます。


幸い、抵抗はなく、私が彼を立ち上がらせて手を引くと、素直について来ました。


『はぁ、はぁ、はぁ、はぁ』


私は急いで出口の扉へと向かいます。


そうして、無事に扉を開いて外に飛び出たのでした。


彼の傷は、幸いながら大したものではありません。もちろん、病院には行った方がいいでしょうが。


そんなことを考えつつ、お店から急いで離れようとしている時でした。


『マタノゴライテンヲオマチシテイマス』


そんな声が後ろから聞こえて来たのでした。


まるで、すぐ背後にいるかのように近くで。


私はもはや一刻も早くその場から離れるために、彼の手を引いて速足でその場を歩き去ったのでした。




すみません、今日はここまでにしたいと思います。読んで頂きありがとうございました。

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 ぜひ読んでね!


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