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インド大陸の衝突で誕生した2種類の淡水フグ

これは、インド大陸という巨大な舞台で起きた、アベニーパファーとエメラルドパファーが二つの道へ分かれていった物語(仮説)。


1.【起源】ひとつの家族だった時代

インドがユーラシア大陸に衝突するはるか昔、海と川を行き来するフグがいました。それが、現在インドに生息する淡水フグたちの「共通の祖先」です。

その姿は、おそらく「ブロンズパファー(Chonerhinos属)」に近い仲間であったと考えられています。彼らこそが、現在のアベニーパファーとエメラルドパファーの祖先なのです。


2.【激変】運命を分けた「風」と「壁」


物語が大きく動くのは、インド大陸がユーラシア大陸に衝突し、ヒマラヤ山脈が隆起し始めた約3,000万年前のことです。 この大陸の衝突は、インドの気候システムを劇的に変えました。海からの強い季節風モンスーンが吹き始めたのです。


第一の試練:大陸への閉じ込め 大陸の衝突によって海への道が閉ざされ、それまで海と川を行き来していたフグたちは内陸に閉じ込められました。 強制的に淡水への適応を余儀なくされたこの時、広大な水系に残ったグループが、後の「エメラルドパファー」への道を歩み始めます。


第二の試練:運命の分断 そして、吹き始めたモンスーンに対し、古くから存在していた「西ガーツ山脈」が立ちはだかります。 この「山」と「風」の衝突が、インドの環境を真っ二つに引き裂きました。


西側(海側): 山が雨雲を受け止め、湿潤な熱帯雨林ジャングルが守られた。


東側(内陸): 雨が山に遮られ、乾燥化と砂漠化が急速に進んだ。


この過酷な環境変化により、水が干上がった中間の乾燥地帯にいた淡水フグたちは絶滅してしまいます。 インドの東側内陸部に淡水フグが生息していないのは、この「乾燥の壁」が原因なのです。


しかし、多くの命を奪ったその壁は、西側においては「潤いの壁」となりました。 壁の内側、ごく一部の守られたジャングルで生き残ったのが、アベニーパファーの仲間たちなのです。


3.【分岐】生き残った二つの命

大絶滅の果てに生き残ったのは、対照的な環境にいた二つのグループだけでした。


北東の大河へ逃れた者たちは、広大な水域に適応し「エメラルドパファー」へ。


西の山脈(西ガーツ)に陸封された者たちは、閉鎖環境に適応し「アベニーパファー」へ。


挿絵(By みてみん)

エメラルドパファー稚魚


挿絵(By みてみん)

アベニーパファー稚魚


彼らが辿った道は異なりますが、その絆を示す証拠は今も残されています。 それは、「稚魚の姿」です。 エメラルドパファーとアベニーパファーの稚魚が瓜二つであること。それこそが、彼らが元々は同じ姿で生まれ、同じ家族であったという、何よりの証拠なのです。

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