大切な従魔ができました。
1話目と比べると短いですが、読みやすいように2話目以降の量は減らしてあります。
時には少し長めな時もあるかもしれませんが…
俺はブラックロンディネのエンを仲間にして白狼の牙と共に国境を目指していた。
2日目の野営も終わり日が真上に差し掛かる前に国境の砦に着いた。
ギルドカードを提示して問題なくパスできた。
ちなみにエンは一緒にいると騒ぎになるかもということで上空で俺たちが国境を越えるのを待ってもらっていた。
『エーンっ!』
「ピィー」
俺が一言呼ぶと見えそうで見えない上空から一瞬にして俺の肩へと降りてきた。
「相変わらず速いね〜ブラックロンディネは!」
ウーさんや他のメンバーも驚いていた。
「あんな勢いで来てるが、アオには何も衝撃とかないのか?」
バンさんが気になったようで質問してきた。
『それが全くないんですよね!多分こいつはスピードの緩急が0か100しかないんだと思います。だから余分に進んだりすることなく止まるので衝撃がないのかと』
「空では普通に飛んでいるようにも見えたけどな?」
『それは100で飛んで空で0になって風に乗ってるだけだと思います』
「なるほどねぇ〜」
始めは白狼の牙の面々はエンのことを警戒していたが一晩過ぎてしまえば受け入れていた。
もう少しでケータルの町に着きそうという時にお約束の魔獣が出てきた
今回はオークだ。
「オーク一頭だからって気を抜くなよ!」
ガチェットの声で皆んな気合いが入り戦闘の構えになっていた。
『エン、お前あいつ倒せるか?』
「ピピィー!」
エンに問うと元気に返事をして一瞬でオークに突撃し頭を吹っ飛ばしてしまい、皆んなの出る幕はなく秒で倒してしまった。
「おいおい…」
「マジかよ…」
「一撃でしたね…」
「.....」
『ナイスぅエン!』
俺とエンだけが喜びに浸り白狼の牙は唖然としていた。
オークは頭だけない状態で体は無傷なので良質的価値がついて通常より高値で買い取ってもらえるとのことでアイテムボックスに解体せずにそのまま収納っと。
そして日が暮れてもう少しで陽が沈むところで国境を超えて最初の町、ケータルに到着。
〜ケータルの町〜
ケータルの町は国境から一番近い町なので宿泊施設は多く比較的賑やかな町だった。
俺たちは先に泊まる場所を見つけてから冒険者ギルドへと足を運んだ
ギルドは酒場併設になっているので依頼を終えた冒険者が酒を飲んで賑やかだった。
俺は受付に行ってギルドカードにエンの従魔登録をした。
登録には従魔も一緒でなければいけないため肩にエンを乗せ受付へと向かったのだが、周りがヒソヒソと話しているのが聞こえてしまった。
「おい、見ろよ。あれってブラックロンディネじゃねぇか?」
「冗談はよせって。A級の魔物を連れてるやつなんていねぇぞ…
マジかっ!?ホンモノか?」
などと聞こえてきた。
『すみません、従魔の登録をお願いします』
「はい、かしこまりました。登録される従魔は…ぶっ、ブラックロンディネ!?で、ですか?」
『そうです』
受付嬢もエンを見て驚いていた。
「あっ、し、失礼しました。ブラックロンディネを従魔にするなんてすごいですね。えっと…ん?アオさん?あなた、Hランクですよね」
コクリと頷く。
「いやいやいや、、Hランクの方がA級のブラックロンディネを使役するなんて聞いたことありませんよ?ホンモノですか?」
俺はエンにその場で飛ぶようにお願いして動いてもらった。
「いやぁ実は怪我をしていたこいつを回復魔法で治療したら懐かれちゃって、そのまま契約したんです」
ことの流れを説明すると受付嬢も納得した感じになり、登録してもらった。
「登録完了しました。これで問題はありませんが従魔の管理には十分気をつけてくださいね」
話によると、
従魔が主人の命令に従わず暴れたり無害な人に怪我を負わせると主人が罰せられるようだ。
気をつけないとな、でもエンは賢いから大丈夫だろう。
俺と白狼の牙は買取窓口へと移動し、エンが倒したオークを出して白狼の牙はボアの素材を出した。
「おいおい、頭だけないオークってコレ兄ちゃんがやったのか?」
『いえ、やったのは俺の相棒でして』
肩に乗っているエンを見せた。
「なるほどな。ブラックロンディネなら納得だわハハハ」
ははは、俺はにはこんな芸当できませんよ〜。
「んでボアのほうが、白狼の牙か!久しいな」
買取のおっさんと白狼の牙は知り合いのようでバンさんとおっさんが話し込んでいた。
「よし、買取と精算は明日の昼以降にまた来てくれ」
俺と白狼の牙は了承し宿泊先の宿へと移動しようとした時、
「おいっ、あんちゃんヒックっいい従魔連れてんなぁ。俺にくれよっうぃぃ」
酔っ払いが絡んできてエンを寄越せと言ってきた。
「なぁ小鳥さん?そんな弱っちいガキよりも俺の物になれよ?使ってやるからよ?げふぅ」
『物?使ってやる?』
俺はエンに対しての扱いに腹が立ってしまった。
『エンはな!物でもなけれりゃこき使う道具でもねぇぞっ!』
「はんっ、従魔なんてこき使ってダメになりゃ捨てるだけの物だぜ?ガキぃ」
『違うっ!!俺にとって従魔は仲間だ!そしてエンは俺の相棒だ!』
「低ランクのガキが高ランクの魔獣を使役したからって調子こきやがって!」
酔っ払いが俺の胸ぐらを掴み拳を振り上げた。
白狼の牙のメンバーが止めようとしたが間に合いそうにもないと思い、頭の中でエンのためならと殴られる覚悟で目を閉じると、
スパパンッッ
「ぎゃあぁぁぁ」
男の悲鳴とともに俺は床に放られ尻餅を着き目を開けると俺を殴ろうとしていた酔っ払いの腹部と肩に切られた跡があり血が出ていた。
俺の肩にエンがとまり、ことを察した。
『お前が守ってくれたのか?』
「ピィ!」
ありがとうの気持ちを乗せてエンの顔に頬擦りした。
「うぐぐぐ、おいっ!こんなことしてタダで済むと思ってんのか?!従魔が命令もなしに攻撃したんだぞ?」
『違うよ。エンは俺を守るために行動したんだ。それにエンがその気になればあんたの首を刎ねることだってえ容易いけど?』
「はぁはぁ、ざ、ざけんなよ?どのみちコレだけの傷だ大量出血で死ぬかもだぜ?これでお前も終わりだろ?」
『終わり?終わらないね!ヒール!』
回復魔法を酔っ払いに施し少し傷を残して回復を辞めた。
「か、回復魔法だと…」
『これであんたは死ぬことはないから俺は終わらない』
「回復魔法ならっ、きちんと治せよっ!!」
回復魔法が使えると知った途端に怒りの矛先を変えてきた。
『悪いねぇ、俺は弱っちぃガキなんでね回復魔法もまだ未熟なんだ』
少し悪い笑みを浮かべ酔っ払いに手を振ってギルドを出た。
外に出ると白狼の牙のメンバーも出てきて俺のことを気にかけてくれた。
『あぁーーーー怖かったよぉぉーーー』
俺はその場に膝から崩れてしまいその光景を見た白狼の牙のメンバーは笑い出した。
「「「「あはははっははははっっっ」」」」
「そかそか、怖かったかハハハ」
バンさんが俺の頭を撫でながら頑張ったなと褒めてくれた。
「エンさんのために胸を張るアオさんかっこよかったですよ!」
クルルさんは俺の横にしゃがみ慰めてくれた。
ガチェットさんもウーさんも褒めてくれた。
〜翌日〜
翌朝、白狼の牙メンバーと一緒に朝食をとり、昼過ぎにギルドで買取精算を済ます約束をして俺は町を見て回ることに。
朝の市場は賑わっており色んな露店が出ていた。
お金があまりなかったので見るだけでになってしまったが、オークの精算でお金は多少入ると思うからまた来たらいいかな。
屋台で売っていた串肉で昼食を済ましてギルドへと向かった。
ギルドに入り目の前に映ったのはゴツいオヤジが立っており、その足元には土下座をした昨日の酔っ払いかな?がいた。
『えっと…これは?』
「昨日は申し訳なかった。酔った勢いで迷惑かけちまった…」
「すまんな、うちの冒険者が迷惑かけた」
立っていたのはこの町のギルドマスターでグレイさんというらしい。
グレイさんの話によると、酔っ払いは酒癖が悪く(分かってた)短気になるみたいだ(直に経験したからね)
俺たちが帰ったあとにギルドマスターが来て周りの人が状況を説明してお昼に来ると分かっていたので、こうして待機していたみたいだ。
『いや、別にもう気にしていないのでいいですよ。それにエンが守ってくれたから俺は無傷だしね』
「そう言ってもらえると助かる。こいつはしばらくの間は禁酒にさせたし反省するだろう」
まぁ、土下座させられてたし顔を上げてもらった時は驚いたけどね…
だって昨日と違って顔がボコボコになってたんだもん…
ギルドマスターが説教したんだろうね。
可哀想になったから昨日の残り傷と一緒に顔も回復魔法で治してあげたら泣いて喜んでくれたよ。
「これで昨日のことは終いだ!いいな?」
始めから気にしていなかったからもちろん頷き、酔っ払いもぶんぶん頷いていた。
「で、アオだったか?買取の精算できたんだったな。待たせて悪かった準備してあるから受け取ってきな。そのあとで少しだけ話がしたいんだがいいか?」
『えっと〜、大丈夫です』
なんとなく聞かれることは分かる気がする。
窓口のおっさんからお金をもらいギルドマスターのところへ行き、別室へと案内された。
「まぁ気楽に腰掛けてくれや」
ちょっと高そうなソファに腰掛けて、ギルドマスターが腰掛けるほうへと顔を向けた。
「話ってのは、まぁそいつ、ブラックロンディネのことだな」
予想通りですと心の中で思った。
受付嬢にも話したが、契約に至るまでの話をギルドマスターにもした。
「はぁ〜、魔獣から契約の魔法陣を出すことがあるだな、初めて聞いたぜ」
俺はこの世界に来たばかりだから何が当たり前かまったくわからないが、一応俺もですって共感しておく
「次にだが、Hランクのお前さんがAランクの魔獣と契約してるってのも問題があってな。世間的な信用問題なんだ。そこで、お前さんにはEランクになってもらうと思う。」
えっ?Eランク?まだHランクで依頼すら受けていないのに…
「えっと…それはいいんですか?」
「いいもなにもそうするしかないんだよ。ただ俺から指名依頼を出すからそれを達成してもらう必要があるけどな」
1つ依頼を達成することで飛び級のEランクになるみたいだ。
まぁ願ったり叶ったりなので受けることにした。
いざ初クエスト!
2話目も読んでくださりありがとうございます。
3話目も楽しんでもらえたらと思います。