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勇者召喚されたけど冒険者になります。

初の小説です。

素人作品なので誤字脱字や表現の曖昧さなどあるかと思いますが、読んでもらえたら嬉しいです。


満開だった桜が散り始め終わりを迎えようとしている4月の頭

俺は親の仕事の都合で田舎から都会の高校へと転校

俺は燕昇司(エンショウジ) (アオイ)16歳 今日から高校2年生。


今日は始業式だが、その始業式には参加せずに終わってみんなが戻ってきたところで転校生の俺を紹介するって予定だ。

あまり人付き合いは得意ではない、前の学校でも仲のいい友達はおらず1人で過ごしていることの方が多かった。

この学校でも友達を作るつもりはなかった。


始業式が終わり生徒が教室へと戻りHRが始まった。

「さて、今日から2年生がスタートするわけだが、早速転校生がいるから紹介するぞ。入れ〜。」


廊下で待っていた俺は教室へと入り教卓の横に立ち自己紹介をおこなった。

「初めまして、燕昇司蒼って言います。親の仕事都合で越してきました、よろしくお願いします。」

軽く挨拶をして会釈をすると、まばらば拍手で出迎えてくれた。

「ということで今日からこの31名が1年間の仲間になるからな、なかよくやってくれよ。先生、ちょっとプリント持ってくるから待っとけ。燕昇司の席は窓際後ろの空いている席な。」


先生がプリントを取りに行き、俺は言われた席に着くと前の席に座っていた生徒が話しかけてきた。

「よろしくなっ!転校生!俺は元一樹はじめかずき、かずきって呼んでくれっ!」

「あっ、ああ、よろしく…」


一方的な紹介が終わったと思ったら突然どこからともなく鐘の音が響き渡った。

カーン、カラーン…カラーン

「なんだ?チャイムの鐘変わったか?」

「つか、めっちゃ響いてね?」

「HRの時間が終わるには早いんじゃ?」

生徒たちが次々に鐘の音に対して違和感を訴えていると教室の床が白く光り出した。


「ちょっと!何よ?これ?」

「おいっ!どうなってんだ?」

「きゃーっ!!先生ぃ助けてーっ」

「どんどん眩しくっ…」

光が大きくなり教室を飲み込んでいった。


光が薄れていき目を開けれるようになると、先ほどまで教室にいたはずがよく分からない所に生徒全員がいた。

「なっ…なんだここは?」

そこは薄暗いどこかの古い建物の中にも感じた。

「おいおい!どこだよここは?学校じゃねーのかよ?」

「うそっ…ドッキリとかじゃないよね?」

「はんっ、どんだけ手の込んだドッキリだ…」

状況がわからず混乱する生徒がでできた時、コツンコツンと高い足音が聞こえてきた。


「ようこそ勇者の皆様。」

女性らしき声が聞こえた方へと皆んなが顔を向ける。

「突然のことで驚かれているとは思います。わたくしが説明いたしましょう。わたくしはエリザベス、この国の女王です。」

女王と名乗る女性が出迎えた。

「皆さんは我が国の神級魔法である勇者召喚にてお呼びいたしました。」


女王が話していることはいまいち理解が追いつかないが、俺たちはラノベとかにある異世界転生の勇者召喚に巻き込まれたようだ。


「おいっ!俺たちはどうやったら帰れんだよ!勝手に呼ばれて迷惑なんだよ!」

「そうよそうよ!」

他の生徒が文句を言うと

「申し訳ありません。皆さんを元の世界に戻すためには魔王の心臓が必要となるのです。」


魔王の心臓…

それは今この国を危機的状況に追いやっている元凶である魔族の長

その魔王を討つべく勇者召喚が行われたようだ。


「勇者召喚で召喚されたみなさんは特別な力を持っております。

ステータスをご自身でも確認できますので見てみてください。」

俺たち勇者は異世界からの召喚でその時に特別な力が付与されているとのこと。

なんでも判る鑑定能力、収納制限のないアイテムボックスは皆んな共通で付与され職や固有スキル、魔法は個人の能力によって変わるようだ

生徒の何にかは職が勇者で固有スキルや魔法もチートみたいだ。

他の生徒も賢者だったり聖騎士だったりとチート軍団であった。


そして俺のステータスは…

燕昇司 蒼 Lv1

職:なし 巻き込まれた異世界人

固有スキル:カタログ

魔法:回復魔法、属性付与


と良いのか悪いのか分からない内容だった。

というかなぜ俺だけ巻き込まれた異世界人なんだ?

転校生で元々人数としてカウントされてなかったってことか?

黙っておいた方がよさそうかな。


「さて皆さんにはこれから国王に謁見してもらいます。それと今回の勇者召喚で召喚される人数は30名のはずでしたが31名いますね。まぁ、勇者様が多いことに越したことはありませんので構いませんが。」

女王の言葉に冷や汗を掻いたがなんとか大丈夫のようだった。



〜王の間〜

俺たちは王との謁見のために王の間へと移動した。

広々とした空間の奥に階段があり、その上に王が鎮座していた。

周りには鎧を身につけた兵士達がおり、俺たちを逃さないようにでもと囲んでいた。


「よくぞ参られた勇者達よ。我はこのラフパー国の王グラディウス・ロベルト・ラフパー 勇者召喚を行ったのには理由があってのことだ。」

グラディウス国王の話によると、現在この国は魔王軍率いる魔族との抗争が続いているとのこと。

そこで抗争の終止符を打つために勇者召喚を行ったと言うことだが

ラノベとかを読んだせいか国王の話が胡散臭く感じてならない。

国が危機的状況にも関わらず国王や女王の身なりがあまりにも裕福過ぎないか?

俺はこの時点でこいつらの話を信じることはしなかったが、クラスの一部はその話を信じ込んだようだ。


「ふんっ王様、俺達勇者に任せてくれればこの国を平和にしてやんぜ」

「よっ!さすが勇者!」

不良風なクラスメイトとその取り巻きが調子に乗って変なことを言い始めた。


『すみません王様、俺たちは戦闘経験も魔法の使い方も分からない学生です。なのになぜ我々が勇者になるのですか?』

俺は疑問思っていたことを尋ねてしまった。

もし俺が勇者召喚をするなら、人材を選ぶことができるのなら軍人など戦闘経験がある大人を選ぶはずだ。なのに成長途中である学生を召喚した理由は?


「うむ、そのことだが勇者召喚は神級魔法でかなりの魔力を要する。力のある者を呼ぼうとすればそれだけ魔力も多大な量となり、わずかな人数しか呼べぬ。そこで成長が早く柔軟な対応が可能な若いものを多く召喚して鍛えることで我が戦力にできると踏んだ。」


俺は王の言葉に少し引っ掛かったが筋は通っていたので礼を述べた

「おいおい転校生、あんま出しゃばるなよ?」

1人の生徒の言葉で女王は反応した

「転校生とはなんです?」

「えっ?ああ、こついは今日俺達のクラスに入ってきた奴で多分30名の召喚が31名だったのはこいつがいたからじゃねぇかな。」


女王は俺のことを見ると歩み寄ってきた。

「転校生さんと呼ばれし方、あなたのステータスを見せてもらってもよろしいかな?」

この状況で断るのは難しいと判断した俺はステータスを女王に見せることにした。


「・・・ふぅ…勇者でもなければ上級職といった者でもなく巻き込まれた異世界人と。魔法も一般的で大した力はなさそうですね…

どうしますか?国王」

「むぅ…力なき者に用はない捨ておけ」

え?捨ておけ?

「かしこまりました。ということですのであなたは不要ですので」

ちょっと待てよ…なんでそうなる?

「手切金をお渡しします。これで自由に生きなさい」

はぁ?元の世界には…

「待ってくれよ、元の世界には俺も、」

「魔王討伐後にあなたがここにいれば考えましょう」

なんだよそれ…俺は邪魔者か?

いや、考えろ…

こんな怪しいところにいるより外で気長に魔王討伐を待っていればいいんだ。

「わ、分かりました。お金ありがとうございます。」

俺は今日会ったばかりのクラスメイトを残して王の間を後にした。


〜城下町〜

俺は巻き込まれた異世界人ということで城から追い出され顔も名前も知らないクラスメイトを残して1人城下町を歩いていた。

「あー、これからどうするかな

まぁ、怪しい感じはぷんぷんしてたしいいんだけど、まさかあんな展開で追い出されるハメになるとはね〜」


城下町を歩いていると周りからの視線が気になり立ち止まる。

そっか、俺制服だから目立つんか。

俺は近くにいた人に服屋がないか尋ねて場所を教えてもらった。


服屋でこの世界に合った服を選び、着ていた制服はこの世界では珍しいものみたいなので高く買い取ってくれるとのことで売ってしまった。

アイテムボックスがあるとはいえ、手ぶらであちこち動くのは変な感じもしたのでカバン1つを購入。

それでも手切れ金を使うことなくまだ制服の買取分が余った。


情報収集がてら屋台でパンや肉を買って話を聞いたりして回った。

話によると俺の勘は当たっており、国的には危機的状況だが、国王達は贅沢三昧な生活をしており、変な噂が絶えないとのこと。

ラフパー王国の隣にはギーロンとベルードという国があり、ギーロンのほうが比較的平和とのこと。

ギーロンへ行くには国境近くの街ルーアへと行かなければいけないようなので乗合馬車を使って移動することに。

「あぁぁ、出費が…今後の生活の仕方も考えないとな」

揺れる馬車の中でどうするかを考えていた。


乗合馬車を1度乗り継ぎ移動すること2日、俺は国境の街ルーアに到着した。


〜ルーアの街〜

ルーアに着いたのは夕方だったので先ずは宿を探して泊まることにした。

「ふぅ、ラフパーからまぁ離れてきたなぁ、さてこれからどうしますか」

一度ステータスを開き内容を確認した。


燕昇司 蒼 Lv1

職:なし 巻き込まれた異世界人

固有スキル:カタログ

魔法:回復魔法、属性付与


「ん〜、これでどうしようかな…

ん?そういえばこの固有スキルのカタログってってどんなんだ?」

宙に浮いた液晶画面のようなステータスのカタログに触れてみると、画面が切り替わり前の世界でも見たことある電子版のカタログが表示された。

「うおぉ?なにこれ!もしかしてこの商品買えるってこと?」

このスキルで食べ物には困らないし、何なら元の世界の食べ物が食べれる!

カタログにお金をチャージすることで購入できるみたいだ。

お金でなくても物でもなんでも換金することができるみたいだ。

魔法とかももう少し調べる必要がありようだ。


そして調べるうちに色々なことがわかってきた。

回復魔法は俺自身はもちろん他人も回復可能ということ実践はしていないのでどれくらいの回復性能があるかはまだ分かってはいない。

属性付与は無機物に対して属性を付与することができる魔法で例えば、そこら辺の石ころに火の属性を付与すれば燃える石となる。

結構便利な魔法ではないか?

戦闘には不向きな魔法でも生活していく分には困ることのない魔法だ。


翌日

俺はギーロン国に向けて出発する前に冒険者ギルドへ立ち寄ることになった。

国境を越えるには身分証が必要とのことで異世界から来た俺には身分証なんてものはないが、そこは異世界なのか身寄りのない人やモンスターによって街が滅び住処が無くなった人もいるので冒険者ギルドで身分証の発行も行っているそうだ。

俺は金銭稼ぎもしたいのでそのまま冒険者としても登録しようと思いやってきた。


〜冒険者ギルド〜

異世界にやってきて初めての冒険者ギルド

そこはちょっとむさ苦しい感じが漂う場所でラノベとは違って強面の男どもが集まっていた。

受付まで一直線に向かい受付嬢のお姉さんに声をかけた。

「こんにちは。今回はどのようなご用件でしょうか?」俺とそこまで歳が変わらないくらいのお姉さんが笑顔で対応してくれた。

「冒険者登録ですね、かしこまりました。こちらの用紙にわかる範囲で記入をお願いします。」

出された用紙にはまるで簡単な内容が記載されており読めないと思ったが、異世界効果なのか見たこともない字なのに読むことも書くこともできた。

名前、住所、ジョブがメインで他にも年齢、武器、従魔などあった。

名前はこの際変えようと思い、アオイのアオだけにした。

住所はわからないので空白にし、ジョブはヒーラーにしてあとは年齢だけ記載して他は空白だ。

これで登録できるかな…

「ご記入ありがとうございます。えっと、アオさんですね。住所は…」

やはり聞いてきたか…

『すみません、今はもうないところでして…』

何かを察したように受付嬢はそういう人も多くいるので大丈夫ですよと笑顔で返してくれた。

「初めての冒険者登録の際は必ずHランクからのスタートとなります。ランクはHが1番下となり、最高ランクはSSとなります。冒険者として1番多いのはC〜Eランクですね。F〜Hランクは月に1回は依頼を受けないと資格が無くなってしまいますので注意してください。Eになれば2ヶ月に1度と期間が延びますので皆さん始めはEランクまで目指していきます。」

丁寧に教えてもらいついでにギーロンまでの行き方を教えてもらった。



〜道中〜

ギーロンまで行くには国境を超えた後に2つの街を経由する必要があるみたいだ。

国境から近くのケータルとギーロン国の隣町になるスカイヴァン

先ずはケータルを目指して歩み始める。

1人ではなく5人で…

受付嬢から1人で国境やケータルまで目指すのはとても危険と言われちょうど同じ方向に向かう冒険者パーティがいるとのことで紹介してもらい同伴させてもらうことになった

白狼の牙のメンバー

リーダーのバンさん

タンクのガチェットさん

剣士のウーさん

魔法使いのクルルさん

男3人女1人のパーティだ。

「アオと言ったか?ヒーラーがいてくれて助かった。クルルは魔法使いだが回復は専門外でな、ポーションに頼ることになるんだが安くはないからなハハハっ」

『いえ、俺こそ同行させてもらえて助かりました。1人では厳しいみたいで。』

「まぁ安全な道のりではないからな。」

国境付近は森も多く、モンスターが棲みついているらしい。


タンクのガチェットさんが立ち止まると他の人達の警戒心が上がった。

「リーダー!くるぜ、ボア2体だっ!」

ガチェットさんが盾を構え、バンさんとウーさんが剣を構える。

クルルさんは詠唱の準備を始めて攻撃体勢に入った。


茂みから元の世界で見たことある猪より二回りは大きいボアが2体突撃してきた。

1体はガチェットさんが盾で防ぎ、もう一体はバンさんとウーさんが両サイドから剣で攻撃して一瞬で仕留めてしまった。

クルルさんも詠唱を終えファイアーボールをガチェットさんが抑えているボアの頭上に向かって放たれ、攻撃が直撃したボアは燃え上がり始めは暴れていたが力尽きて倒れた。


白狼の牙はボアの解体をサクサクと進めていった。

『みなさんすごい手際ですね』

「まぁ慣れだよな。冒険者を何年もやってれば気づけばできるようになってるもんだアハハ」

ウーさんが捌きながら色々と話してくれた。

持っていけない分は燃やしてしまうということなのでアイテムボックスを持っていることを伝えて俺が保管することになった。


野営することになり、各々役割分担の行動に移った。

俺は火起こし&料理担当となったので適当に薪を集めて手頃な石に火の属性付与を行い薪と一緒にすれば簡単に火を起こすことができた。

料理は街で買ったパンに本日の獲物であるボアの肉を切り、カタログで購入した焼肉のタレをつけてのボアの焼肉だ。


「「「「うっ、うま〜いっ!!」」」」

白狼の牙みんながボアの焼肉に絶讃していた。

「まじか?ボアの肉がこんなに美味いはず…」

「ボアの肉というよりこのつけている液体がうめぇんだ!」

「そうよ!なにこの液体?アオさんってば!!」

『いや、それは俺の故郷で調合したタレっていうものなんだ。肉にかけて食べると美味しくなるんだよ』

みんなが関している中、ガチェットさんだけが美味しさのあまり食べ続けていた。


野営は見張りが必要なので交代で見張りを行うことになっているようで、はじめに俺とバンさんで見張り次にガチェットさん、最後にウーさんとクルルさんの順で見張ることに


「アオはなんでギーロン国目指してんだ?」

『別にギーロンでなくてもいいんですけどね。平和なところでのんびりと生きていこうかなって思い、旅を始めました』

「そっか、俺たちもラフパーの噂が日に日に悪くなるもんで拠点を変えようかってことで移動していたんだ」

『そうだったんですね。なら俺はラッキーです。1人じゃなにもできませんから』

「そんなことはないさ、強くなればソロで冒険している奴もいるし俺たちみたいにパーティを組む奴らの方が多い。なんなら白狼の牙に入るか?ヒーラーがいないから大歓迎だぜ!ハハハ」

バンさんからの嬉しい勧誘もあったが保留にしてもらい旅を続けることに。


翌日

長い道のりを歩いているとようやく国境が見えてきた。

「見えてきたぞ国境だ。このペースなら明日の夕方にはケータルに着けるな」

あと少しで国境を越えることができそうだ。

日も暮れ始めた時に先頭を歩いていたガチェットが何かに気づいた

「あの茂みになにかいる。気をつけろ」

全員戦闘体勢になり構えるが、茂みからは出てくる気配はない。

しかし、ガチェット曰く強い気配なので危険かもしれないとのこと。

俺も鑑定の力で何がいるのか調べてみると〈ブラックロンディネ〉とでた。

ロンディネ?ツバメか?

『ブラックロンディネっていうのがいるみたいだ!』

「なにっ?!ブラックロンディネだと?A級の魔物じゃねぇか!」

『そんなに危険なの?』

「当たり前だ!体は普通の鳥と変わらないサイズだが、魔力を纏って超高速で飛んでくるから貫通力がとんでもねぇ」

「俺の盾も貫かれちまうだろうな…」

つばめなのにそんなにヤバいのか…

でも襲ってくる気配がないんだけど?

「ブラックロンディネは人前には滅多に出てこないし、一箇所に長く留まることもないから出てこないのはおかしいな」

皆んなが動かない状況で俺は茂みへと入ることにした。

「おい!アオ!危ねぇぞ!」

『このままじっとしていても始まらないからね見てみるよ』

ゆっくりゆっくりと茂みに入り気配のするほうを覗いてみると、地面で悶えているブラックロンディネがいた。

『怪我してる…みんなっ!大丈夫、動けないみたいだ!』

俺の声で警戒を解いてみんなも茂みに入ってきた。

「ほんとにブラックロンディネだ。生で見るのは初めてだよ」

「ええ、私もです」

相当珍しいみたいでブラックロンディネを凝視していた。

俺は近づきブラックロンディネの様子を見ることに。

『羽をやられてる。他の魔獣にでも襲われたのかな?』

「かもしれんな。空には高ランクの魔獣は結構いるからな」

『俺、こいつを治療してみる』

「やめておけって、治った途端に襲ってくるぞ」

『そうかもしれないけど…俺はこいつが悪い魔獣には見えなくて』

「たしかに人と共存している魔獣や知性が高い魔獣はいるが、ブラックロンディネがそうとは限らんぞ」

『その時はその時だよ』

俺はブラックロンディネに回復魔法をかけて怪我を治癒した。

「お前ら構えておけっ!」

バンさんの指示で臨戦体勢の準備にはいっていた。


回復したブラックロンディネは起き上がり軽く羽を羽ばたかせるとピィーと高い鳴き声をあげて一瞬で空高く飛び上がった。

『よかったね』

一言告げ、警戒を解いた白狼の牙達と元の道に出た。

道に出ると遠いところから先ほど聞いたピィーという鳴き声と共に空からブラックロンディネが飛んできた

「言わんこっちゃねぇ、隙をうかがってたんだ!」

再び皆んが警戒するもブラックロンディネは一瞬にして俺の前に突っ込んできたかと思うと目の前で止まった。

あまりの勢いに驚き俺は尻餅をついてしまった。

「なっ?!早すぎる!」

「大丈夫かアオっ?」

少し放心状態となっていたが周りからの声でハッとなり問題ないことを伝えた。

『お前、どうして戻ってきたんだ?』

「ピィピィー」

『もしかして、俺のこと好いてくれてるのか?』

「ピィイー!」

ブラックロンディネは助けた俺のことを好いて戻ってきたみたいだ。

「ピピィー」

ブラックロンディネが鳴くと目の前に魔法陣が出てきた。

「あれは!契約の魔法陣!?」

クルルが契約の魔法陣と教えてくれてブラックロンディネが俺と一緒に行きたいと思えた。

『俺と一緒に来てくれるのか?』

「ピィっ!」

肯定の返事だろう。

俺は受け入れることにして魔法陣に手をかざすと光輝き魔法陣は手の中へと消えていった。

「契約しちまったよ…あのブラックロンディネと…」

「A級の魔獣をか…」

「それも魔獣から契約を求めるなんて初めて見ましたよ」

「アオって何者だ?」

『俺はただ回復しただけですよ!』

初めての従魔契約、それがまさかの魔獣から契約しにくるという…


「アオさん、契約したら従魔に名前をつけるんですよ!」

『名前?』

名前かぁ、どんなのがいいか?

ブラックロンディネ…黒いつばめ…つばめ…燕って漢字は確かエンとも呼ぶよな?

『ならっ!エンってのはどうだ?』

「ピィーイー!」

喜んでくれたみたいだ。


俺に初めての相棒ができた


読んでくださりありがとうございます。

3話目以降は定期的に更新していきたいと思います。

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