第十九章 廃工場の反攻
愛しい部下を拉致され、ブチギレたレイナちゃんはもはや子犬を殺されたジョン・ヴィック。敵兵士にかける慈悲など最初から1mmたりともないのだ。
廃工場跡地の裏口。レイナが潜入を開始した瞬間、コンクリートの通路に彼女のブーツの鋭い足音が響いた。M4を手に持つ彼女は、単独でも的確な射撃とクリアリングが可能なエリートだ。通路に出ると、覆面の兵士がバラけて現れた。レイナは滑り込むようにして通路に躍り出ると、姿勢を崩さず一定のスピードで進んだ。
時折、銃を左右に持ち替えながら、止まることなく確実に敵を仕留める。通路の左の物陰から二人がAKMを構えて飛び出し、右の分岐から一人がPP2000を手に突進してきた。レイナのM4が無言で火を噴き、左の二人を胸と頭で瞬時に仕留め、右の一人が乱射する前に喉を撃ち抜いた。背後の通路から一人が近づこうとしたが、彼女が振り返りざまに背中に弾丸を撃ち込んで倒した。血がコンクリートに広がり、彼女は無言で進んだ。
曲がり角に差し掛かると、新手の敵兵士がが散らばって襲いかかってきた。角の左から一人がPP2000で発砲、右の通路から二人がAKMを乱射、天井の通気口から一人が飛び降りてきた。レイナが遮蔽物に隠れ、左の一人の頭を撃ち抜く。右の二人目が乱射を続けるが、彼女が姿勢を低くして胸で仕留め、飛びかかってきた三人目を近接射撃で喉を貫いた。四人目が角の奥から姿を現すが、レイナが左右の手で交互に射撃、アーマーの隙間を正確に撃ち抜き、血飛沫を上げて倒した。
通路の先の扉が開き、三人がバラけて飛び出してきた。左の通路から一人がAKMを構え、右の遮蔽物から一人がPP2000を手に突進、背後の階段から一人が降りてきた。レイナが止まることなく前進し、左の一人の胸に二発、右の一人の頭に一発、背後の一人の喉に一発を瞬時に撃ち込む。機械的な正確さで三人が倒れ、彼女が弾倉を交換しながら呟いた。「邪魔するな。部下が待ってるんだ。」私は牢屋にたどり着くまでにおおよそ十人ほど倒してから、エリカの待つ地下牢屋へ一直線に進んだ。
地下牢屋の扉にたどり着くと、中からエリカの声が響いた。「やめろ!こっちに来るなー!」レイナが扉を蹴り開け、中に飛び込む。牢屋の中には電流を迸らせたロッドを持つ覆面の兵士が、エリカ達にロッドを突きつけていた。それに対してエリカがリリーと他の女性たちを庇うように間に立ち、ナイフを構えていた。私は即座に2名の兵士を射殺し、エリカがレイナを見て目を輝かせ、号泣しながら叫んだ。「レイナ隊長!あたし、きっと来るって信じてたっス!」
レイナがキラリと笑い、「おまたせ、待った?」と軽くウィンク。レイナが背負っていたリュックをエリカに渡すと、エリカが涙を拭いながら受け取った。リュックを開けると、中からストックの畳まれた7インチのMCX、マガジンポーチとハンドガン付のベルト、Ferro Conceptsのプレートキャリアが出てくる。レイナとお揃いの装備だ。エリカは私服でガラクタシティをぶらついてるときに捕まったため、ジーンズにベルトを装着し、Tシャツ上にプレートキャリアを着込み、銃のスリングを調整。MPXのフォールディングストックを立ち上げ、アッパーを引っ張り、弾をチャンバーに装填すると、レイナに静かに頷いた。そこには普段のおちゃらけたエリカではなく、レイナの副官としての頼もしい顔があった。 「エリカ、訓練の結果を私に見せろ。死角のカバーは任せる。」エリカは静かに頷く。
レイナは準備が整ったエリカに「それで、マリアの娘は?」と聞くと、「私よ」と、リリーがレイナの前に出た。レイナはリリーに目を向け、冷静に続けた。「リリーさん、私は南門防衛カスク中隊隊長のレイナ中尉です。、そこのエリカのボスでもあります。これから私たちが貴方たちを安全に外に連れ出します。もう少しの間辛抱してください。私たちの指示に従い、落ち着いてついてきてください。」
リリーが震えながら頷き、「わかった…助けに来てくれてありがとう、レイナ中尉。」他の女性たちも不安げに頷いた。レイナとエリカがM4を構え、通路へ戻る準備を整えた。
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通路に戻ると、覆面の兵士がバラけて迎撃してきた。レイナが「左!」と短く叫び、エリカが「右!」と即座に応じる。二人が同時に動き出し、通路の左側から五人が襲いかかる。物陰から二人がAKMで発砲、分岐から二人がPP2000を手に突進、奥から一人が遮蔽物越しに射撃してきた。レイナが「左敵!」と叫び、一人目の頭、二人目の胸、三人目の喉、四人目と五人目のアーマーの隙間を次々と撃ち抜く。「クリア!」弾丸が血飛沫を上げ、五人が瞬時に倒れる。
エリカが右側をカバーし、右の通路から五人が現れ、階段から二人がAKMを構え、遮蔽物から二人がPP2000で乱射、天井の通気口から一人が飛び降りてきた。「右敵!」彼女がMPXを連射し、一人目の胸に二発、二人目の頭に一発、三人目の肩から喉へ、四人目と五人目を素早いバースト射撃で仕留めた。「クリア!」
残りの十人が二人の連携に慌て、AKMとPP2000で襲いかかる。背後の階段から五人が降りてきて、天井の通気口から三人が飛び出し、正面の通路から二人が乱射してきた。レイナが「背後!」と指示し、エリカが即座に振り返り、「背後敵!」五人を正確に射撃で仕留める。「クリア!」レイナが「上!」と叫び、天井の三人を頭と胸で瞬時に始末。「クリア!」正面の二人がAKMを乱射してきたが、二人が「正面敵!」と同時に叫び、レイナが一人、エリカが一人を撃ち抜き、「クリア!」と声を揃えた。
通路に血と硝煙が漂う中、レイナがエリカを見た。「上出来だ、エリカ。」
エリカが笑顔で敬礼し、「隊長の教えがバッチリっスよ!」二人がリリーたちを連れて裏口へ向かうと、女性たちが「すごい…」と呟きながらついてきた。
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一方、オットーとラクシュミは実験室でアディティヤとヴィクラムを救出していた。ラクシュミが機械のチューブを外し、「アディティヤ様、もう大丈夫です。すぐに外へ出ます」と冷静に励ます。アディティヤが弱々しく呟いた。「ラクシュミ…助けに来てくれたんだね」オットーが通路を監視し、「ラクシュミ。手短にな。」と促す。「お前は被害者を守れ。私は敵を排除する。」ラクシュミがAKS-74Uを構え直し、「了解、オットー。私も援護する」とプロフェッショナルに答えた。内心では「この鉄人、頼りになるな…」と一瞬だけ目を細めたが、任務に集中する。
通路で緑目の兵士三人がPP2000を構えて現れる。オットーが鋼鉄の拳で一人を殴り、顔面を陥没させて即死させる。二人目が発砲してきたが、彼がPP2000を蹴り上げて真っ二つに折り、懐から新しいナイフを取り出して喉に突き刺した。三人目がAKMを構えたが、ラクシュミが冷静に射撃し、「私がカバーする」と胸を正確に撃ち抜いた。オットーが振り向き、「効率的だな」と淡々と評価した。
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ハンスは地下の別の区画へ向かった。遠くから聞こえるマーマーンの騒がしい声「Гьяо!Гьяо!」を頼りに、魚の生臭い匂いが漂う廊下を進む。やがて、マーマーンが押し込まれている牢屋に辿り着いた。そこには二人の緑目の兵士が、電流の渦を迸らせる槍をマーマーンたちに向かって構え、「Двигайтесь, твари!(動け、化物ども!)」と怒鳴っていた。
ハンスが重い足音を響かせて走り込み、兵士との距離を詰めた。一人の首を片手で掴み、鋼鉄の握力で捻ると、ボキンと首の骨が折れる音がした。倒れた兵士から槍を奪い、もう一人が「Что!?(何!?)」と反応する前に、その槍を突き刺す。白いスパークが兵士の体を包み、黒い煙を吐き出しながら身体の所々が炭化し、ドサリと倒れた。
突然現れた鉄人ハンスの姿に、マーマーンたちが恐怖で騒ぎ立てる。「Гьяо!Это чудовище!(この化物はなんだ!)」と鱗を震わせ、鉄格子に身を縮めた。ハンスが一歩近づき、レイナに予め聞いておいたマーマーン語(ロシア語)で話しかけた。「Стойте, я не враг(待て、オレは敵じゃない)」と低い声で告げる。
マーマーンたちが混乱し、「Что за чудовище!?(この化物はなんだ!)」「Он сказал, что не враг?(敵じゃないって言ったのか?)」とざわつく。ハンスが鋼鉄の腕を上げ、続けた。「Я друг Рейны(オレはレイナの友達だ)」
一人のマーマーンが目を丸くし、「Рейна? Это та самая Рейна из испытаний?(レイナ?もしかして試練のレイナ?)」と呟く。ハンスが頷き、「Я помогу вам, марманам(オレはマーマーンを助ける)」と宣言した。
プリンが震えながら前に出て、「Он нас спасёт!?(助けてくれるのか!?)Роза́нна-сама, верить ему?(ロザーナ様、信じていい?)」と叫ぶ。ロザーナが鉄格子の奥から立ち上がり、鱗を落ち着かせて言った。「Человек, который понимает наш язык несмотря на то, что он человек... Это имя великого воина(人間なのに我らの言葉を理解する者…それは偉大な戦士の名前だ)。Думаю, она пришла с Си́ни-сама, чтобы спасти нас(彼女がきっとシーニー様と共に助けに来てくれたのだろう)。Всем! Настало время контратаковать!(さぁ!皆の者!反撃の時だ!)С другом Рейны мы выберемся отсюда!(試練のレイナのご友人と共に、ここを抜け出すぞ!)」
マーマーンたちが一斉に立ち上がり、「Гьяо!」「Махороба!(まほろばー!)」と雄叫びを上げた。ハンスが鉄格子を鋼鉄の腕でぶち壊し、「Идём(行くぞ)」と促す。
一行は廊下を進み、敵の武器庫にたどり着いた。ハンスが扉を蹴り開け、「Вооружайтесь(武装しろ)」と指示。マーマーンたちが中に入り、AKM、PP2000、弾薬を手に取る。ロザーナがAKMを構え、「Гьяо! Месть им!(奴らに報復を!)」と叫び、プリンが「Махороба!(まほろばー!)」と突撃を開始。武装したマーマーンが基地を占領するかのごとく、緑目の兵士を次々と撃ち倒し、恨みを晴らす勢いで暴れ回った。ハンスが呆れ顔で呟いた。「…Эти ребята слишком шумные(こいつら、騒がしすぎるな)」
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中央棟近くで、オットーとハンスが合流。ラクシュミがアディティヤとヴィクラムを支え、マーマーンが武装してハンスの後ろに続く。緑目の兵士十人がAKMとPP2000で迎撃してきた。オットーが敵のAKMを蹴り折り、一人の顔を拳で潰す。ハンスが二人を掴んで壁に叩きつけ、残りをマーマーンが「Махороба!(まほろばー!)」と叫びながら銃撃で仕留めた。廃墟に鉄の轟音とマーマーンの叫びが響き渡った。
その時、レイナがエリカ、リリーたちを連れて合流。「ハンス、オットー、よくやった。被害者は全員揃ったな?」
ハンスが頷き、「Марманы тоже(マーマーンもだ)。…Шумные, но всё в порядке(…騒がしいがな)。Выходим(外へ出るぞ)」オットーが「Ещё есть враги. Будьте осторожны(敵はまだいる。注意しろ)」と補足した。
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外では、陽動チームが敵を引きつけていた。ミナがジープを走らせ、「まだまだ暴れるよ!」と叫び、リサがM4で牽制射撃。アヤが医療班に「隊長が来ます!」と連絡。レイナがエリカたちを連れて裏口へ戻り、オットー、ラクシュミ、ハンスと合流した。医療班が応急処置を開始し、レイナが部下に指示。「全員無事だ。撤退するぞ。」
ターラの部下が追撃してきたが、鉄人二人が後衛を務め、マーマーンが「Махороба!(まほろばー!)」と銃撃で応戦。レイナがサヴィタに連絡し、「大尉、被害者全員救出した。裏帳簿は?」
サヴィタが応じ、「確保済みだ。今そちらへ向かう。」レイナが頷き、「了解。廃工場で待つ。」鉄人とマーマーンの活躍で、ターラの脱出は封じられていた。
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エリカとレイナ。二人はプリキュア。