第十八章 忠犬"ラクシュミ"
廃工場跡地の格納庫。薄暗い空間にオイルと焦げたゴムの匂いが漂い、オスプレイが埃っぽいコンクリートの上に鎮座していた。オットー_15が鋼鉄の体を屈め、機体の下に潜り込んでいた。緑の目が暗闇で怪しく光り、彼の手が燃料ラインを器用に切断する。ハンスからの指示通り、オスプレイを動けなくするための細工だ。燃料がポタポタと地面に滴り、オットーが低い唸りを上げた。「任務完了だ…。」
その時、格納庫の物陰からかすかな足音が響いた。オットーが作業を中断し、緑目を点滅させて振り返る前に、背後から鋭い影が飛びかかってきた。ナイフの刃が鋼鉄の背中を擦り、甲高い金属音とともに火花が散る。オットーが驚き、「何!?」と振り向こうとした瞬間、影が慌てて距離を取った。
そこに立っていたのはラクシュミだった。都市育ちの護衛兵士で、Spiritus Systemsのチェストリグに身を固め、頬に血が滲む傷跡が残る。彼女は壁の外に出るのも初めてなら、鉄人を見るのも初体験だった。都市の高速道路上でアディティヤとヴィクラムを護衛中に襲撃され、オスプレイにしがみついてここまで辿り着いたが、敵陣の中央で孤立し、ご主人様の居場所もわからない。不安と焦燥に押しつぶされそうになり、暗闇で近づくオットーを人間の兵士と勘違いして背後から襲いかかったのだ。だが、ナイフを突き刺した感触は冷たく硬い鋼鉄。ラクシュミが驚愕に目を見開き、後ずさった。
オットーがゆっくりと立ち上がり、2メートルの巨体がラクシュミを見下ろした。暗闇で緑に光る目、鋼鉄の肌、異様な存在感――まるでB級ホラー映画「武器人間」に登場する殺人ロボットのようだ。ラクシュミの足がガタガタと震え、腰が引けた。「ひっ…何!?怪物!?」彼女の声は恐怖で上ずり、MP5を握る手が震える。都市で育ち、ミュータントすら見たことのない彼女にとって、オットーは悪夢そのものだった。心臓がバクバクと鳴り、逃げ出したい衝動に駆られるが、足がすくんで動けない。
オットーが彼女をじっと見つめ、低く落ち着いた声で言った。「落ち着け。私は男性を拉致した犯人とは無関係だ。」彼はラクシュミの都市正規軍の装備と、体中の傷を見て、敵ではないと判断した。歴戦の古参兵を思わせるキビキビとした口調だが、どこか渋みのある落ち着きが滲む。
ラクシュミが目を丸くし、震えながら呟いた。「お前…喋れるんだな…敵じゃないのか?お前は何者で、なぜここにいる!」人間の言葉を話すことに驚きつつ、オットーの「敵ではない」という言葉を信じていいのか迷う。恐怖で心が乱れる中、その渋い声に奇妙な安心感を覚えた。
オットーが鋼鉄の腕を軽く叩き、淡々と答えた。「私はオットー_15、鉄人間だ。現在、捜索チームがこの施設の外と中で作戦を遂行中。私はそのサポート任務に就いている。レイナ中尉の命令で、このオスプレイを破壊したところだ。」彼の言葉は元軍人らしい簡潔さで、戦場を生き抜いた古参兵の風格があった。
ラクシュミの心が一瞬止まった。恐怖で縮こまっていた胸が、突然ドキンと高鳴る。渋い声、冷静な態度、鋼鉄の体に宿る頼もしさ――それは彼女の性癖である「渋おじ」にドンピシャだった。まるで白馬の王子様、いや、おじ様が現れたかのような衝撃。弱り切った心に、オットーの存在は劇薬のように効いた。彼女が内心で呟く。「何だこの鉄人…かっこよすぎる…!こんな渋いおじ様がいるなんて…!」
ラクシュミが震える足を抑え、オットーに近づいた。「レイナ中尉って、あの都市防衛隊の?…なら、私も味方だ。私はラクシュミ、護衛任務中に襲撃されて、貴族親子を追ってここに来た。お前…いや、あなたと一緒にオスプレイを破壊して、男性捜索に加わりたい。」声が少し上ずり、顔が熱くなるのを隠せなかった。
オットーが緑目を点滅させ、「了解した。だが、このオスプレイは既に私が破壊済みだ。燃料ラインを切断し、離陸は不可能だ。次はお前が目的とする男性被害者を探す必要がある。」彼がオスプレイの下から這い出し、ラクシュミに近づいた。「お前は目立つ。都市の装備ではすぐにバレる。警備員の制服が必要だ。私が盗んでくる。待機しろ。」
ラクシュミが目を輝かせ、「ありがとう…オットー」と囁いた。内心では「こんな渋いおじ様に命令されるなんて…最高…!」とメロメロになっていた。オットーが格納庫の奥へ消え、数分後、血痕の付いた緑目の兵士の制服を手に戻ってきた。「着ろ。これで潜伏できる。」
ラクシュミが物陰で素早く着替え、ヘルメットをかぶって顔を隠した。制服を手に持つオットーの姿を見て、彼女が呟く。「渋い…頼もしい…このおじ様、完璧すぎる…。」
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格納庫を出た二人は、通路を進み始めた。コンクリートの壁に囲まれた薄暗い道は、消毒液の匂いが漂い、遠くで機械音が響く。オットーが先頭を歩き、ラクシュミがその後ろを警戒しながらついていく。オットーが低い声で指示を出した。「私が先導する。お前は私の後ろに続け。男性被害者は実験室にいる可能性が高い。そこへ向かう。」
ラクシュミが頷き、「了解…オットー。あの、私のご主人様、アディティヤ様とヴィクラム様がどこかにいるはずなんだ。見つけたらすぐ教えてくれ。」彼女の声には切実さが混じりつつ、オットーの渋い口調に心が落ち着くのを感じていた。
オットーが淡々と答えた。「わかった。貴族親子なら、ターラの部下が連れて行った可能性が高い。実験室で確認する。お前は私の背後を守れ。敵が来たら即座に排除だ。」
「はい…!」ラクシュミが即答し、オットーの背中を見つめた。「このおじ様、命令まで完璧…惚れるしかない…。」
通路の角に差し掛かると、緑目の兵士が三人現れた。一人がAKMを、もう一人がPP2000を手に持ち、最後の一人が無線を叩きながら「通信が途絶えたまま…何かおかしいぞ」と呟く。オットーがラクシュミに目配せし、低く囁いた。「私が仕掛ける。お前は背後を援護しろ。」
ラクシュミが頷き、MP5を構えた。オットーが一瞬で動いた。両手に持ったナイフが閃き、素早くAKMの兵士に近づく。ロボットじみた正確さで喉をかき切り、血が噴き出す。続けてナイフを投擲し、PP2000の兵士のアーマーの隙間を縫って喉を精密に貫いた。最後の一人が驚きに銃を構える前に、オットーがその顔を鋼鉄の手で掴み、握りつぶした。骨が砕ける音が響き、兵士が地面に崩れ落ちる。
ラクシュミがその動きに目を奪われ、心の中で叫んだ。「かっこいい…!この渋さ、怪力無双…たまらない…!」彼女が呆然としていると、通路の反対側から別の兵士が二人、AKMとAKS-74Uを手に近づいてきた。「敵襲だ!」と叫び、一人がAKMを発砲。ラクシュミが体をひねり、弾丸を紙一重で避ける。「うわっ!」と声を上げつつ、MP5で反撃するが、カチッと空撃ちの音。「弾切れ!?」慌ててMP5を捨て、倒れた兵士のAKS-74Uを奪い取った。
ラクシュミがAKS-74Uを構え、正確な射撃で一人目の胸を撃ち抜く。弾丸がアーマーを貫き、兵士が倒れる。もう一人がAKMを乱射してきたが、彼女が再び体をひねって避け、冷静に頭を狙った。ヘルメット越しでも、至近距離の5.45mm弾が側頭部を貫き、兵士が崩れ落ちた。
オットーがラクシュミを振り返り、「援護、感謝する。お前の射撃は正確だな」と淡々と褒めた。ラクシュミが顔を赤らめ、「あ、ありがとう…オットー!あなたこそ、すごいよ…!」と返す。内心では「このおじ様の戦い方…テクニックも怪力も完璧…メロメロだよ…!」と胸が高鳴っていた。
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実験室に近づくにつれ、機械音が大きくなり、消毒液の匂いが強烈になった。通路の途中で、さらに四人の緑目兵士が現れ、オットーとラクシュミを挟み込む形になった。前方二人がAKMを、後方二人がPP2000を構えて接近してきた。
オットーが冷静に言った。「私が前を片付ける。お前は後ろを頼む。」
ラクシュミが即座に頷き、「了解、オットー!」とAKS-74Uを構えた。オットーが前方に飛び出し、両手のナイフで一人の喉を切り裂き、もう一人にナイフを投げて首を貫く。血が飛び散り、二人が瞬時に倒れる。ラクシュミは後方を振り向き、PP2000の兵士が発砲してきた弾丸を体をひねって避け、正確な射撃で一人目の胸を撃ち抜いた。もう一人がPP2000を乱射するが、彼女が素早く遮蔽物に隠れ、反撃で頭を仕留めた。
オットーがラクシュミを振り返り、「連携がいい。お前は優秀だ」と短く評価した。ラクシュミが目を輝かせ、「オットー、あなたの戦い方がすごすぎるよ…!」と返す。内心では「この渋いおじ様と息が合うなんて…運命感じちゃう…!」とメロメロが止まらなかった。
実験室の扉にたどり着くと、オットーが立ち止まり、ラクシュミに言った。「ここだ。内部に何人いるかわからん。私は通路を監視する。お前が中に入って貴族親子を確認しろ。」
ラクシュミが頷き、「わかった…オットー、ありがとう。外を頼むよ。」彼女がAKS-74Uを握り直し、扉を開けた。中には機械に繋がれた男性たちがおり、ヴィクラムとアディティヤがいた。ラクシュミが駆け寄り、「アディティヤ様!」と叫ぶ。アディティヤが弱々しく顔を上げ、「ラクシュミ…生きてたのか?」と呟いた。
ラクシュミが機械のチューブを慎重に外し、「私が来たからもう大丈夫です!」と励ました。オットーは扉の外で通路を監視していた。
「オスプレイが動かないだと!?やられた!敵が侵入してるぞ!全員迎撃しろ!」一方その頃、オットーの細工が効き、ターラたちは廃工場に釘付けとなっていた。
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しぶおじ専が発覚してしまうラクシュミちゃん。摘出した卵巣が疼きまくってます。レイナに生体ロックを解除してもらって、オットーの生殖機能が復活したらどうなっちゃうんだろうね。