星神の宮殿
はなおが筆を手にし、庭園が浮島に変形した。
地面が血の海に変わり、桜の根が枯れ、試練場が赤い領域に変わる。宮殿がさらに巨大化し、銀河の星々が吸い込まれた。遠くの星雲が消え、闇が銀河を覆う。空が赤黒く濁り、星の消える音が低く響き続けた。
「お前らの力は俺がいただく!」
はなおの剣が振られ、幻影が再び現れる。だが、今度ははなおが操り、いちろうたちを分断した。
いちろうの前に母ちゃんが現れ、「逃げろ」と囁く。血まみれの姿が揺らぎ、目が虚ろだ。
「何!? また幻影か!?」
ほしこの前には家族が現れ、「裏切れ」と誘う。子供たちの声が重なり、母親がナイフを手に笑う。
「仲間を疑えって……?」
たびとの前には血まみれの仲間が現れ、「見捨てろ」と呪う。戦場の風が彼の髪を揺らし、血の匂いが漂う。
「お前ら・・・」
はなおの声が銀河に響く。宮殿から赤い光が溢れ、幻影が実体化した。
「絆など無意味だ! 俺が支配する! お前ら、互いを疑い合え!」
母ちゃんの幻影が剣を振り下ろし、いちろうは狼で防ぐ。だが、ほしこが背を向けた。
「いちろう……お前、信じていいのか?」
「何!? ほしこ、お前――」
たびとが三味線を手に持つが、ためらう。
「お前ら、俺を置いて行けよ……呑兵衛は足手まといだろ?」
いちろうは叫んだ。
「ふざけんな! 仲間がいるから俺は戦える! お前らを信じてる!」
狼が幻影を食い散らし、ほしこに向かって走った。母ちゃんの剣が背中に迫るが、構わず進む。
「ほしこ、お前もだ!村を救うんだろ!?」
ほしこが目を覚まし、ツクヨミを拾い上げる。折り鶴が微かに光り、彼女の目が鋭くなった。
「いちろう……そうだよ。私には目的が・・・・!!」
ツクヨミが飛び、光の矢が家族の幻影を貫く。幻影が消え、ほしこが息を整えた。
たびとがニヤッと笑う。
「俺もだ。お前らと一緒なら、銀河だって救える!」
三味線をジャジャーンと鳴らし、光の波が軍勢の幻影を吹き飛ばす。幻影が霧に溶け、庭園に静寂が戻る。
はなおが剣を振り、星嵐が庭園を包んだ。宮殿が膨張し、血の海が溢れる。だが、枯れた桜の根が微かに動き、星霊の最後の力が目覚めた。かすれた声が響く。
「我が意志は……まだ死なぬ……」
桜の花びらが舞い上がり、血の海を押し戻す。赤い地面に白い光が混じり、微かな希望が灯った




