試練の幻影
霧の中から幻影が実体化し、いちろうの前に母ちゃんが現れた。血まみれの体で剣を手に持ち、燃える村を背に立っている。目が虚ろで、口元が歪んだ。
「いちろう……お前が逃げたから……私が死んだ……村が燃えた……」
「母ちゃん! 俺は逃げてねえ!」
月影筆を振ると、狼がガウッと飛びかかるが、幻影が消えず、剣が振り下ろされる。咄嗟に竹筒で受けると、腕に鋭い痛みが走り、血が滴った。
「うわっ! 痛え!? 何!?」
ほしこの前には、燃える故郷と家族の幻影。子供たちが泣き叫び、母親がナイフを手に彼女を刺そうとする。
「お前が弱いから死んだんだ! お前が!」
「黙れ!」
ほしこがツクヨミを飛ばし、光の矢が貫くが、幻影は消えず、肩に傷が映る。血が巫女服を染め、彼女が膝をついた。
たびとの前には、かつての戦場。血まみれの仲間が彼を指差し、呪うように叫ぶ。
「お前のせいだ! お前が星を見捨てた!」
「俺は……!俺は……!」
三味線をジャーンと鳴らし、光の波が幻影を吹き飛ばすが、胸に傷が走り、血が滴った。
はなおの狡猾な頭が冷たく笑った。
「おおお! 星霊の試練を俺の血で操る! お前ら、幻影に潰されな!」
幻影が強化され、母ちゃんが二体に分裂。燃える村から子供たちの幻影が現れ、いちろうを囲んだ。
「お前が逃げた! お前が!」
「何!? 増えてる!?」
ほしこの家族が群れになり、たびとの仲間が軍勢となって襲いかかる。庭園が幻影の叫び声で埋まり、星嵐が追い打ちをかける。地面が砕け、桜の枝が折れた。
「新入り、幻影を倒せ! 試練を抜けなきゃ筆に近づけん!」
かげまるの声に、いちろうは母ちゃんの幻影を見た。剣が振り下ろされ、狼で防ぐ。子供たちの声が耳に刺さり、胸が締め付けられる。
「母ちゃん……俺は逃げてねえ! 村を助けるって約束したんだ!」
筆を振り、巨大狼が幻影を食い散らした。母ちゃんが消え、子供たちが霧に溶ける。
「うおおお! やった!」
ほしこが家族の幻影と向き合い、目を閉じた。
「私は弱い!私の力不足だ!でもだからこそ、、、今度こそ救って見せる!!」
ツクヨミが光り、矢が家族を貫く。幻影が消え、彼女が息を吐いた。
たびとがニヤッと笑う。
「俺はもう逃げねえよ。仲間を見捨てねえ! 銀河を守る!」
三味線をジャジャーンと鳴らし、光の波が軍勢を吹き飛ばす。幻影が消え、霧が薄れた。
「何!? 幻影が実体化してやがる! 痛えぞ!」
いちろうが腕を押さえると、かげまるが呟いた。
「試練の第一関門じゃ。心の弱さが肉体に響く。お前らの覚悟が試されておる」




