表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/20

11. 【笹山享】羨ましき主人公特性

ありがとうございます。


遂に、遂にブクマがつきました!

ブクマしてくださった御方、本当にありがとうございます。

「山代さん、彼はどうですか?」

 俺は、今まで病室で話をしていた桐山睦月という高校生についてだ。


「笹山、お前、いじめすぎだぞ」

 山代さんは、特徴的な低い声で諌めてきた。


「だって、絶対に不公平でしょう。あんな綺麗な女子高生が『嫁』だっていう男が、更に可愛い女子中学生を身を挺して守ったっていうんですよ。ハーレムですやん、パラダイスですやん」


 絶対に不公平だ。

 イケメン高校生が、あんな美人女子高生を彼女にして、親公認。その上、怪我をした理由がカッコ良すぎる。

 一緒に夜のランニングをしている年下の女子中学生を守ったぁ?

 何それ?

 女子中学生も可愛いんですけど。

 それに、兄妹でもないのに、『睦兄』って、兄扱い。

 ラノベ?ラノベですか?

 それともエロゲー?エロゲーなの?

 嗚呼、リア充、爆発しろ。

 俺なんか、三十半ばで……独身彼女無し。


「笹山、それよりも何故警護の者が付くことをバラした」

「あっ、だって奴、ヤバいですもん。絶対に警護の者どころか、隠密にでも気付くタイプ。なんか主人公特性もってますやん」

「主人公特性?」

「そう、主人公特性です。イケメン。美人彼女。妹枠。正に主人公」

「お前、そればっかりだな」

 山代さん、呆れてるなぁ。


 でも、そればかりでもない。

 亜生物『ゴブリン』についた刀傷、あれについて理由付けができていない。ゴブリン同士の闘争という見解が内部では通っているが、ありえないと思う。

 包丁等の刃物を亜生物が使用したとの目撃例があるが、胴体を両断するような刃物を持ったという例はない。

 それに、供述の中にあった『遠巻き囲んでに投石』。こんな戦術めいた事をしたという話も聞いたことがない。ただ亜生物が成長して戦術を使用したというより、そのような戦術めいた事をせざるを得ない状況に陥ったのではないか。つまり、亜生物にとって、それだけの脅威をあの高校生が持っていたのではないのか?

 奴もまた、異能力所持者ではないのか?


「それにですよ、ランニングって言ってましたけど、家から現場までのあの距離、普通走りますか?自転車でもキツイ距離ですやん」

「うむ」

「絶対に何かしらの異能力をもってますって。主人公特性で、何の能力もない『モブ』ってありえますか?」

「う〜む、笹山、『モブ』って何だ?」

「だ〜。そこから?」


「まぁ、わからん単語もあるが、そんなに確信があるなら、お前の異能力でいけば良かったんじゃないか?」

「あ〜、山代さんの異能の影響下で使える訳ないじゃないですか」

「それは、お前が自分で自分の異能力を正しくないと思っとるからだろう」

「当たり前でしょう。異能なんて真っ当なわけないじゃないですか。特に俺のなんて!」

 それに、彼みたいな重傷患者に、俺の異能を使ってしまうと、殺してしまうかもしれない。


「異能力は、真っ当じゃないか……。全くだ」


 山代さんは、自分の能力の事が好きではない。それでも、捜査のためには使ってくれる。


 【強要されし価値観】

 それが山代さんの異能力。

 範囲内の存在の価値観を自分と同じものにするというもの。


 異能力は、巷で『羽根の力』とか、単に『能力』とか言われているらしいが、警察内部での呼び方は、『異能力』で統一されている。

 山代さんは、マル暴のバリバリ武闘派に見える外見をしているが、根っからの少年課。この道三十年のベテラン刑事だ。


 最近の少年事件の低年齢化、凶悪化など色々な悩ましい問題があるが、山代さんにとっての悩みは、価値観の違いだった。相変わらず『利欲』が一番多い動機である少年犯罪だけど、古いタイプの刑事である山代さんにとって、『イイネが欲しいから』とか『アルバイト』とかといった、『利欲』なのか『遊び』なのか判らない動機をもつ少年犯罪者が理解できなくなってきていたのだ。

 『社会に対する不満を何処にぶつけて良いのか判らない、昔のガキ共は可愛かった』そう漏らしたのを聞いたことがある。

 話をし、理解しようとも、説得しようとも、小賢しく表面だけで躱していく少年少女達に諦めを感じているような風だった。


 『俺の価値観は古いのかな?』

 そう言っていた山代さんの価値観は、道徳と法なんだと思う。野球とラグビーで厚生できると信じている世代。


 それでも、この異能力を得てから、取調室で涙を流しながら、山代さんと肩を組む少年を何人見たことか。

 個人的には、自分の異能力ほどエグいとは思わないが、それなりにエグい異能力だと思う。まぁ、自供率が上がったから良いんですけどね。


「でも、珍しい反応でしたね。あんなになるなんて……、途中で山代さんの異能力を解除してもらわないといけないなんて、初めてだったんじゃないですか?」

「うむ。でも、良い少年だ」

「へっ?」

「儂の価値観と近い。いや、儂よりも純度が高いかもしれん。若いせいか?儂も世の中に毒されてきたからか?」

「はぁ〜」


 病室で、三人になったタイミングで山代さんに異能力を発動してもらっていた。

 【強要されし価値観】の下では、人は『正しく』あろうとする。道徳的に正しく嘘をつくことを嫌がる傾向がある。それが山代さんの価値観なんだろう。異能力が浸透する時に、山代さんの価値観と範囲内の影響下の価値観の差異が判るらしく、桐山睦月を良い少年と判断したのだろう。


「でも、あれ程、『守る』とか『守れなかった』とかに対する執着は、変じゃないですか?」

「これを見ろ」

 鞄から出した捜査資料の1ページを開き、渡してくれた。


 桐山睦月の身辺調査のページ。

 自分も目を通していたが、そこに鉛筆書きで付け加えられた項目があった。


「子供時代のトラウマが、どんな影響を与えるか判らんからな……」


 こんな事まで調べてたんだ……。

 両親、生年月日、学歴くらいしか書かれていない、被害者と思われる少年の事まで調べられている。


「幼馴染が殺されている。幼心に守れなかった事がトラウマになっているんだろう。だから、今回は身を挺しても守ろうとしたんだろうな」

 空を見上げながら、ウンウンと頷いている山代さん。


「死亡したのが本庄葉月って、さっきの美人女子高生のお姉さんやないですか──」


 こんなとこまで主人公特性なんだ…………。

 そんな不謹慎な事を思ってしまった。



──────by タスク──────



 【力を知る瞳】

   望んだのは──見通す瞳

   欲したのは──ステータス

   ──他人の能力を見ることができる。

 【隠された我家】

   望んだのは──誰にも邪魔されない場所

   欲したのは──僕だけの世界

   ──自分だけの隠れ家(洞窟)を創り、隠す。

 【黒き生ゆる物】

   望んだのは──黒々とした頭髪

   欲したのは──増毛

   ──髪の毛が生える。

 【金の女】

   望んだのは──金

   欲したのは──女

   ──札から女性を出す。

 【百一の利剣】

   望んだのは──討つ力

   欲したのは──武器

   ──刀剣を顕現する。

 【強要されし価値観】

 望んだのは──わかり合える事

 欲したのは──同じ価値観

 ──範囲内の存在の価値観を自分と同じものにする。

 【十分の奇跡】

 【金なるは女体】

 【忘れえぬ栄光】

 【魔法の素養】

 【衝撃の価値観】

【昊ノ燈】と申します。


読んでいただき、ありがとうございます。

もし、この小説を応援したいと思っていただけたなら、ブクマを宜しくお願い致します。


 面白いと思われた方

  [★★★★★]で、評価くださると幸いです。


 面白くないと思われた方

  [★☆☆☆☆]と、一つ星で教えて下さい。


 ご意見を持たれた方も、遠慮なくお伝え下さい。

 良いも悪いも作者のモチベーションとなります。


 これからも、宜しくお願い致しますお願い。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ