再びの日
ぜひ最後まで読んでください!
更新がずっとなかったです。これから頑張る。
目が覚めれば、そこはいつかの日だった。
──戻って、きたのか…?
まさか本当に願いが叶うとは、と内心驚いていると、近くを通った警官が近づいてくるのが見えた。
「きみ、大丈夫? ふらついているけど」
しまった。
喜びのあまり身体がうまく動かないみたいだ。なんとか声を振り絞って、「大丈夫です。ちょっと、昨日膝を怪我したせいで歩きにくくて…」と誤魔化す。
「そう? 俺もさ、三十になるんだけど、やっぱ足腰きついよねぇ」
警官はおれよりも歳が上らしい。だが、親近感を感じたのかそう語り出した。
「そうなんですか」
「そーなの。一昨日は手をドアノブにぶつけたし、今日は犬に追っかけ回されて大変だったし」
警官というのも案外楽ではないようだ。だが、おれほどではないだろう。何せ安定したお金がもらえる。コイツらは国家の犬なのだから。
心の中でそう毒吐きながら、顔には愛想笑いを浮かべる。本来はこの時代、イキっていただけだったのでそんな特技はなかったのだが、これはタイムリープした際に付いてきた特技だろう。未来でのおれはヘラヘラ笑うしかできなかったのだから。
「それでは、仲間と約束があるので、失礼しますね」
「おー、そうかそうか。気ぃつけろよ」
そそくさとその場を去るが、本当は約束などなかった。
「どこに行くかな」
自分はこの時代、どこに泊まっていたっけ。いいや、家などなかったかもしれない。街をうろついて、その時のノリで知り合いの家に泊まって馬鹿騒ぎして……ううん、やっぱり家があったはずだ。
おれは本当は一人が好きだから、家だけは常に持っていたはず……。
「あ、たしかあのアパートだ」
記憶の奥底を探れば、寂れたアパートに住んでいた気がしてきた。
早速そこへ向かおうと足を動かす。
ようやく視界も冴えわたってきて、身体もバランス感覚もはっきりとしてきた。
問題は……。
「場所、どこだっけ」
何かないかと自分の服を探った。
すると、ズボンのポケットから家のだと思われる鍵と携帯が出てきた。
「ガラケーとか、懐かしい……ま、未来でも金なくてスマホ買ってなかったけどなぁ、はは」
道端でそんなことを言っているから、「あの人ひとりごとしてる〜」と純粋な子供が指差してきた。
「こら、やめなさい。早く行くわよ」と母親がそそくさ去っていくのも分かる。
おれ、そんなにも不審者っぽいのだろうか。
そう思い、ふと隣にある店の窓ガラスに映る自分を見た。
ああ、確かに、なるほど。
涙が出そうだ。
昔は、かっこいいと、おれイケてるとさえ思っていたけれど。
「ださ……ほんと、ありえねぇダサさだな」
今思えば、情けない。
「この情けなさを変えるために、戻ったんだもんな」
落ち込んだって仕方ない。
おれは、窓に映るこの姿よりもダサい未来を変えるために戻ってきたのだから。
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