哀れ
ようやく落ち着いてきた。
会長は本当にエスパーだったわけだ。…ドッキリだよな。
「ドッキリじゃないですよー」
俺の考えを読んだのか、会長はそういった。これもエスパーの能力か?
「当選者さんの考えなんてお見通しですよ? 能力じゃないです」
またも読まれた。
「おい! エスパーまだ黙っているのではなかったのか!? つーかこれさっさとしまえ!」
そういってバリアーを蹴りまくっている。
「だってお茶の邪魔されたくなかったんです」
「そういう問題じゃねえだろ!?」
青春が叫ぶ。
なんだかだんだん可哀想になってきた。
メガネとボブはまだこちらの状況に気づいておらず、嫌味の言い合いが続いている。
K子さんは俺のほうをじっと見ている。
どうしろってんだ。
「あの。会長、説明してもらえませんか?」
会長がこちらをみる。
「てへ☆ 簡単に説明しますとー。バリアー張っちゃいました。てへ☆」
☆マークに少しイラついたが、結構とんでもないこと言っている。
「バリアーって何ですか」
「障壁のことですよ。って障壁のほうが難しい言い方ですね。えーと…見えない壁です」
「そういうことじゃなくってどうしてバリアーなんて張れるんですか!?」
「簡単ですよ」
そういって胸を張る。
「私はエスパーガールだからです」
そういう問題なのか。
「おいエスパーなんとかしろ!!」
副会長はバリアーを蹴りまくる。バリアーはまったく見えないのでここから見ると副会長は何がしたいのかわからない。
スルーで。
「バリアーって何でできてるんですか?」
「何でできてるのかな…。イメージ的にはものすごく硬い空気かな?」
どうやら謎なようだ。
「ねえ。なんでこの新人君は何も知らないの? 仲間じゃないの?」
K子さんが口を挟む。
「中田先生の推薦なんです」
「じゃあ仲間?」
「まだ分かりません」
何の話だ? 仲間? もしかして超能力者の?
分からないことが多すぎて頭がこんがらがってきた。ようやく落ち着いてきたのに。
「おい!! エスパー!! 怒ったぞ!!」
そう叫ぶと副会長はバリアーから少しはなれて走り出した。
勢いをつけてバリアーを破るつもりなのだろう。
結果、足をバリアーに思い切りぶつけて悶える副会長の姿があった。
青春はそれを指差して大爆笑中。
会長はそれを気に留めず俺とK子さんにお茶を渡してきた。
「それではお茶でも飲みましょう」
俺とK子さんはだまって頷いた