K校のK子さんはK(今日)もK(気)をつかってます
結果。何故か俺は体操座りで見学することになった。何故かということは分かっているんだけどな。
何故なら俺は弱いからだ。簡単すぎる理由に泣きたくなる。
「あの…あなたは戦いに参加しなくていいの?」
同じく体操座りのK子さんが尋ねてきた。
「俺はああいうの興味ないんで」
かっこつけてみる。でも、理由の一つではないことも無いんじゃないのかな…。
俺は生徒会に入ってからかなり変わった。それまでは自分以外の人間―――クラスメイトとか―――を完全に見下していた。昔の俺だったら本心から先ほどの言葉を言うのだろう。
でも今、知ってしまった。
副会長に比べればどんな人間もマシだということを。
そう。俺は副会長と毎日会っている。そのたびに神経をすり減らしているのだ。そんなことに比べればクラスの奴らの馬鹿馬鹿しい話なんて面白いものだ。
「あの…どうしたの?」
K子さんがこちらの顔をうかがっていたようだ。
「いえ…別に」
なんというか気まずい。
それをごまかして視線をそらしたら副会長の姿が目に入る。
青春野郎と取っ組み合いの喧嘩をしている。頑張れ青春君。
それで他のメンバーのことも気になりあたりを見回す。
ナルシが倒れたまま起き上がらないことが少し気になったが、スルーで。
メガネ君はボブっ子と仲良くしてた。
「君はただの性悪狐だね」
「狐ちゃんはとっても可愛いからいいですよー。そういうあなたはただの本食い虫じゃないですかー」
「僕にとって本は食べるものじゃなくて読むものだよ」
「食べてみたらどうですー? 知らない世界にいけるかもですよ」
この二人は放っておこうと思う。
さて、一番心配な会長だが。
誘拐されかけていた―――のではなく―――普通にお茶を飲んでいた。
会長と目が合う。とーせんしゃさーん、と手を振ってきたので振り返す。
「会長よく無事ですね」
「はい! にっくきあの女は私を恐れて逃げたのですよ!」
嘘は良くないと思う。
「えっと…その、ごめんなさい。私怖い話大好きなんで…」
メガネ君戦法を丸パクリしたわけか。
「たまたま今日鞄の中に『傑作!! ホラー集』と『本当は怖い昔話』『これを読んだら眠れない! 怖い話』が入ってたんで…」
それはおそらくたまたまではない気がする。
というか、前に男子が会長って怖いとかいってたけどこういう意味か。
「あ、あんまりあの子を苛めないであげてね」
K子さんは半泣きで言う。
「あの子、怖い話をしたらしばらく怖いの…」
そのことを思い出したのかぶるぶると震えだした。
「まるで…何かに取り憑かれたように…奇声を発したり…」
それは精神科に行ったほうがいいんじゃないでしょうか。