敵登場
今までのあらすじ
俺が内申点目当てで生徒会に入る
生徒会は変人ばっかり
実はオカ研もやってます
三行で終わるとは…
俺が生徒会に入ってからしばらくしてのことだ。
「今日は俺が一番か」
生徒会室の扉を開けてみると中は誰も居なくて静まり返っていた。
ふう、とため息をつき椅子に腰掛ける。パイプ椅子はギシッと音を出しいかにも年代ものであるかのように思わせた。よくみれば結構さびている。
ふと机の上に目をやると何か封筒が置いてあった。
なんだろうか、と思い手を伸ばしてみる。
封筒には『生徒会の皆様方へ』と書いてあった。皆様と書いてあるのだから俺が読んでもかまわないだろう。そう思い封筒を開ける。
中身は紙一枚だけであった。その紙を取り出し机の上に置く。さて、何が書いてあるのだろうか。
「おい、お前は何をやってんだ」
少し呆れた顔で副会長がこっちを見ていた。
いつの間にいたんだろうか…。手紙―――と思われるものに気をとられすぎたか。
副会長はどうやら机の上にある手紙に気づいたようだ。
「何だそれは?」
そういい机の上にあった手紙を掴んで読み始めた。
「…あの、一応俺が先に見つけたんですけど…」
俺の言った言葉は副会長には聞こえなかったようだ。俺の声など気にせず手紙を読み進める。
この女を本当に誰か何とかしてくれないものだろうか…。
どうやら読み終えたらしい副会長は心底つまらないとでも言いたいような顔をして手紙を机の上に置いた。
「いたずらだな。私はちょっと用があるので帰る」
そういい副会長は部屋を出て行った。
――意外だ。副会長ならたとえいたずらであったとしても、その犯人を探し出すくらいのことはしそうなものだが。
そう思い手紙を見てみる。内容はこうだ
『生徒会の皆様へ。
急にこのような手紙を出して驚かれたかと思います。
何故この手紙を出したかといいますと、生徒会にどうしても伝えなくてはいけないことがあるからです。
この学校の生徒会執行部は生徒たちから見て何も活動してないように見えます。一応言っておきますが、活動をしてないといっているわけではありません。ただ、活動しているように見えないだけです。
どうやらこのことを他の学校に漏らした生徒が居るようです。まあ、私の友人なんですがね。その学校はK高校です。K校の生徒会はその事実を知り、この学校の生徒会を許せない。と思ったらしく近々乗り込んでくるそうです。いや、乗り込みに行きます。何故、乗り込みに行きますと言ったかというと、私はK校の生徒会の一人だからです。
それではお気をつけて。
スパイより。』
とても綺麗な字で書かれていて思わず感動してしまった。
だが、そんなことよりもK校の生徒会が乗り込んでくるだと? …いたずらに決まっている――――――と思う。たしか副会長もいたずらだと言ってたし――。
ん? 待てよ、何故今日副会長はあっさり帰ったか。それはK校の生徒会がもしも来たら自分はどう考えてもそいつらに責められるからじゃないのか?
思わず汗がでた。
もしもだ。もしも眼鏡君も会長も来ずに俺一人だけでK校生徒会の相手をするとしたら―――――。耐えられない。絶対無理。
よし。帰ろう。
その時聞こえた。コンコンとドアをノックする音が。
「しーつれーいしまーす」
そういって笑顔でやってきたのは会長であった。
ほっと胸をなでおろす。
「あれ。何を持っているんですか?」
会長がそういって俺が持っている手紙をじっとみた。
「ああ。なんかいたずらっぽいです。読みますか」
会長は首を縦に振り、俺の手から手紙を受け取った。
しばらくしたら読み終えたのか顔をあげ、俺のほうを見た。
「逃げますよ」
その顔は今まで見た中で一番真面目だった。
「え、どうして…」
俺が聞く暇もなく会長は部屋から走り去る。俺の腕を掴み。
「そんなK校の生徒会に会いたくないんですか」
「会いたくないどころじゃないです! あそこの生徒会は…」
会長が急に止まった。
理由は簡単。目の前に人がいたからだ。しかし、どうもそれだけではないようだ。その目の前の五人はK校の制服を着ていた。
会長はとたんに身を翻し―――俺の腕を掴んだままで―――逃げる。
しかし、会長はそんなに足が速いわけではなかった。後ろから本気でやってきた五人とだんだん距離が縮む。
しかたない。
「会長。失礼します」
そういって俺は少女マンガのように会長を俗に言うお姫様抱っこというポーズで持ち上げた。
「ひょえっ!? 当選者さん?」
会長は顔に驚きの表情を浮かべている。
そんなことよりこの人軽いな。
などと思いつつ走る。
あ、こけた。