歓迎会らしき何か
俺はとんでもないところに来てしまったのではないのだろうか…。
後悔しても、もう遅い。あきらめるしかないのだろう。
「そうですねー。当選者さんの歓迎会を始めますかー?」
歓迎会…? 何も起きなければいいのだが…。
「うむ。なかなかエスパーにしては良い考えだと思うぞ。…よしメガネ! お前購買でなんか買って来い!」
何でそんなに偉そうなんだ。あとメガネ君をパシるな。
ちなみに家の学校の購買のパンはそこそこ美味しい。しかも種類が豊富なのでけっこう生徒から人気があるのだ。
「…分かった。うぐいすパンとあんパンを買ってくる」
「だー! なんだそのチョイスは! メロンパンだろう!」
副会長は手をぶんぶん振りながら怒っていた。
「んじゃー私はクロワッサンですかねー?」
「俺は焼きそばパンでー」
いつのまにか会長と先生もメガネ君をパシろうとしていた。
メガネ君はパシられてることはまったく気にしていない様子で本を閉じて机の上におく。
「…君は?」
俺の方をむいてそう尋ねてきた。何の種類のパンがいいかということだろう。
「…カレーパン」
「邪道! カレーにはご飯だろう。阿呆!」
会長はこっちを指差しながら大笑いしていた。
…苛付く。
「メロンパンだって邪道だろ! あとカレーはもともとナンと食う!」
俺は人を見下しはしても人に対して怒ったことはそうなかった。しかし、カレーパンの悪口を言われたのだからほっとくわけにはいかないだろう。
「なっ。当選者ごときが私に口答えするなんて生意気だぞ! あとカレーにはご飯が最高じゃないって奴は日本人じゃない!」
それは…。確かにカレーにはご飯が最高だとは思うが…。
「ただいま」
メガネ君の声がした。おどろいてそちらの方を振り向くと手には白い袋が…。
「お、サンキュー」
先生がそういってメガネ君のほうへ手を伸ばす。白い袋を受け取ったら生徒会室の真ん中にある机の上に置いてパンをとりだした。
「えーと、メロンパンが妹で…あれ、エスパーちゃんかな…?」
「兄上…。私の好みぐらい覚えろ…」
まあそんなことをいいつつ先生はパンを分けていった。
「そういえば先生って何で普通にここに居るんですか?」
さっきから気にはなっていたのだ。
「いや、俺生徒会の担当だし」
まあ、特に面白みもない普通の答えだ。
「あと、オカ研の担当だしね」
うん、おかしい。
「…ありゃりゃ、説明してませんでしたねー」
説明…何のだ?
「実はー生徒会とオカ研は同じなんですよー。もともとオカ研なんで部活――――まあ同好会ですねー――――は去年まで無かったんですよー」
「そこで、僕たちがたまたま生徒会に入ってそれでオカ研をつくろうってことになったんだよ」
「ちなみに貴様もオカ研に入れよ。これは命令だ」
オカ研って何だよ…。そもそもオカルトってなんだよ。というかエスパーとかも意味わかんないし…。
ただ会長は笑うだけであった。そしてこう言う。
「ようこそ! 生徒会へ。そしてオカルト研究会へ。あなたにはまだ全てを話してませんがいつか教えます。その時まで待っててください。…あなたが信用できる人であることを祈ります」
先程までの会長とは別人のような口調であった。
それと、全てを話していないとはいったい何についてなのだろうと考えた。