ようこそ! 生徒会へ☆
うちの学校は他の学校に比べて特殊なのだろう。生徒会はたとえ定数に足りて無くても一人さえいれば普通に実行されるそうだ。その場合はいつでも希望をして、選挙に通れば生徒会に入れるらしい。現在の我が校の生徒会は三人。ちなみに定数は六人。つまり俺は選挙に通れば生徒会に入れる。
選挙をした。それっぽいことをそれっぽく語ってみればけっこうウケるのだ。応援演説者はクラスの適当な奴にたのんだ。
まあこんなの皆適当にするのだ。俺は当選した。
「当選おめでとう」
放課後中田先生が俺のところに来てそう言った。ぶっちゃけ当選したくなかった。まあ、そんなこと言っても仕方ないか。
「ありがとうございます」
そう返事を返す。愛想笑いで。
どうやら先生はそのことに気づいてたようだが何も言わなかった。
俺はこの先生のことは別に嫌いではない。まあ、好きでもないが。ただ、こういうところはありがたいと思う。
「妹のことをよろしく頼むよ」
…なんかその言葉はどう考えても結婚するときに使いますよね?
「あと、生徒会に入ったら戸惑うかもしれない。けど君なら大丈夫だろう」
「あの。もしかして皆副会長みたいな奴なんですか?」
それだったら戸惑うどころじゃないだろう。下手すれば命の危機だ。
「…まあみたいと言えばみたいかもしれないけどな。ただ、君が思っているのとは違うと思うよ」
「はあ…」
ならば一体どういうことなのだろう。
先生はただ笑うだけだった。
「そうだ。生徒会室を教えないとな」
そう言うと先生は生徒会までの道を案内してくれた。
「あれ?もしかして当選した子ですかー」
先生が案内してくれた部屋の前にちょうど今からそこに入ろうかという少女が一人居た。
たしかこの人が会長だったと思う。それにしてもなんという偶然なのだろう。
「やあやあ。エスパーちゃんじゃないか」
そういえば会長ってエスパーって言われてたよな…。どういうことだ?
俺の中の超能力者のイメージ
・瞬間移動
・透視
・なんか物動かす
・スプーン曲げ
・波動?
くらいだな。
「あの…エスパーって…」
どういうことですかと聞こうと思ったのだが生憎聞くことはできなかった。
なぜなら副会長が現れていきなり会長へとび蹴りを入れようとしたからだ。
大きく跳びあがった副会長に気づいた会長は後ろへと下がる。
副会長は会長が先程までいたとこに勢いよく着地すると会長をにらんだ。
「貴様ぁ!正々堂々と勝負をせんか!」
とりあえず不意打ちっていうのは卑怯だと思う。
「あららー。正々堂々っていうのは個人によって価値観が違うと思うんですよー」
「うるさい!私の正々堂々に従え!」
とりあえずニ人とも言っていることが屁理屈にしか聞こえないのは何故だろう。
「だめですよー。そんなこといったら私と貴女の体力、力、すばやさとかが違うのでそれは正々堂々じゃないですよー」
うん。屁理屈だ。あと、この人RPGが好きだな。
それを聞いた副会長は悩ましげに眉間にしわを寄せている。
前々から思ってたのだがこいつって結構馬鹿なのでは。
「はいはい。エスパーちゃんも妹も落ち着けー」
すっかり空気と化してた中田先生が2人の間に入る。
「…兄上はどっちが正しいと思う?」
先生は少し困ったかのように笑って副会長に言った。
「いや、多分どっちも駄目でしょ」
うわ、言っちゃった。
「やっぱりですかー」
「やっぱりか」
あれ…。気づいてた?
「そうそう、実は生徒会にはあと一人いるんですよー。多分中に居ます」
そういって会長は生徒会室のドアを開けた。
中には一人の少年がいた。メガネをかけていて、本を読んでいる優等生の見本みたいな奴だった。
「…あ、当選者」
なんかその言い方はやめてほしいな。
「そうですー。当選者さんですー」
「うむ。当選者だ」
あれ、なんで皆そういってるんだ。
「いや、俺には…」
「名前を名乗るのは止めた方がいい」
メガネ君が急にそんなことを言った。
「何でだ」
「名前というのは呪いに使えるからね。呪われるのがいやなら名前を名乗るのはやめたほうがいいよ」
それはいくらなんでも杞憂ってもんだろう。まあ、石橋を叩いて渡るとかいう言葉もあるがな。
「だから僕も君に名前を名乗らない。呪われたら嫌だしね。僕のことはメガネ君でも読書家君でもいいよ」
…呪わねーよ。あと自分でよくそのあだ名をいえるな。
とりあえず生徒会には変人が多いんだな。よく分かった。