表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

はじまりの話

どうしてこうなったのだろう。俺は今でも後悔している。後悔しない日は無いほどだ。俺は何故内申点を上げたいなどと思ったのだろう。俺は何故入ろうと思ったのだろう。それを今でも悔やんでいる。もし入らなければきっと右隣にいる楽しげに笑う少女にも左隣で本を読んでいる男にもそして、目の前にいる悪巧みを考えている女にも出会うことは無かったかもしれない。

 

 始まりはあの時。忌々しいあの瞬間。


 暴露すると俺はクラスの奴を全員見下していた。馬鹿馬鹿しい話を繰り返す男子共。ファッションだとかテレビだとかそういうことしか頭にない女子共。全て馬鹿らしい。存在するだけ無駄ではないのか。そんなことばかりぼんやり考えていた。当然俺は孤立した。別に悲しくなかった。あんな奴らと付き合うだけ無駄だからな。とか思ってたし。


「なあ…お前クラスに仲の良い奴いるか?」

 急に担任の中田先生がそんなことを言い出した。その日は教育相談で俺の番だった。俺はにっこりと笑いながら居ませんと答えた。先生は眉間にシワを寄せるとしばらくしてなにかひらめいたらしく俺の方に身を乗り出してきた。

「お前生徒会に入ってみないか?」

 先生いわく生徒会には優秀な生徒が集まるらしい。なら俺にも合うのではないかと思ったのだろう。

「先生。俺の考えはきっと誰にも理解されませんよ。それに友達なんて作る気がないので」

 あっさり断ったのだが先生はあきらめなかった。

「いや! 大丈夫だ。お前は絶対上手く溶け込めるって」

 どうやら先生は俺を生徒会に入れたくて仕方無いようだ。

「それに内申点があがるぞ」

 その一言にかなり俺の決意は揺るがされた。

「そうだなー。お前が入ったら先生もしかしたらうっかりテストででるとこ教えちゃうかもなー」

 ………大人ってずるい。

「入りますよ」

 そういった途端先生はすごい喜んだ。

「よっし。男に二言はねぇぞ!」


 先生。俺女になってもいいので取り消させてください。


 しかしあの時はそんなこと露ほども思っていなかったのである。


 教育相談が終わった後廊下ですれ違った男子共の話が聞こえた。

「俺生徒会入ろうかなあ?」

「ははっ、止めとけ止めとけ。お前馬鹿だし無理だろ」

 ここまでは良かった。

「それに生徒会って言ったら変人の集いだろ?」

「頭はいいらしいけどなー」

 …。

「それに会長こわいしなー」

 ……。

 その時誰かが男子共に飛び膝蹴りをいれた。

 女子だ。黒く長い髪を一つに束ねている。気の強そうな顔をしているがなかなか可愛らしい。しかしどこかで見たことあるような。

「悪い。こけたら当たってしまった。悪気があったわけではないのだ」

 とりあえず全ておかしい。ぜんぜん悪びれてないし、こけて飛び膝蹴りなどできるわけない。

 普通に考えたらこの人が会長なのだろうけどこの人の下で働くのはいやなので一ミリの希望をかけてみよう。

「………あの…誰?」

 男の勇気ある一人が尋ねる。どうやら会長ではないそうだ。神よ今だけは貴方を信じれそうです。

 しかし、女はその男の顔面に遠慮なく蹴りをいれた。

「よぉく聞け!私はこの学校の副会長だ!」

 神とはなんと残酷なんだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ