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闘神降臨  作者: 立花 優
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第7章 再降臨

第7章 再降臨 


「ただし、ななみよ。いずれ旦那さんと、この病院に戻って来るまでの30歳ぐらいしか、時間的な余裕が無いぞ」



「それは、十分、理解しているわ。あのアインシュタインが「光量子仮説」「ブラウン運動」「特殊相対性理論」を思い付いたのは、26歳だった。逆に言えば、それぐらいまでに解明できなければ、地元に戻って、医学部に再入学するわよ……」




「馬鹿な兄のために、ななみにまで、迷惑をかけてすまん」




 と、兄妹で、綿密な作戦を練った。母親は、俺に甘いので、このアイデアは通るであろうが、果たして、父がどう言うかだ。もしかしたら、ななみの旦那に、この病院を

乗っ取られる事を心配して、兄妹で考えた作戦には、了解してくれない危惧がある。



 ところで、この俺が、一学年上の番長の青木をケンカで負かした事は、既に、学校中の評判となっており、誰も、この俺に、文句は言う者はいない。




 しかし、ここでも驚愕すべき事が起きたのだ。




 何と、高校2年の2学期の期末試験で、この俺は、底辺近くから、いきなり学年トップに躍り出たのだ。

 んな、馬鹿な。番長とのケンカに、頭を絞っていた俺は、勉強らしい勉強もせずに、単に授業を聞いて、試験に臨んだだけなのだ。



「ななみ、聞いて驚くな」



「なによ、お兄ちゃん、急にどうしたん?」



「それが、俺、いきなり、期末試験で学年トップだったんだよ」



「えっ、国立大学大学院の2人の家庭教師も、かって、匙を投げた筈よ」



「で、ここで、ななみに聞きたいのだが、ブルース・リーって、そんなに頭良かったっけ?」



「私の記憶では、ワシントン大学の哲学科に進学した筈だけど、ブルースの奥さんのリンダ・リーは、確か、同じ大学の医学部の学生だった筈よ」



「医学部の学生か……これも、やはり、次元のゆがみ現象なのかなあ?」



 まあ、どちらにしても、俺の行っている高校は、普通科の看板は掲げているが、数年に一人ぐらいが、旧帝大クラス受かる程の高校で、いわゆる名門校・難関校では無い。

 しかし、この成績がこのまま続くとすれば、地元の国立大学医学部や、最低でも私立の大学の医学部の進学も夢では無いのである。



 それに、これだと、ななみは最初から医学部を目指す必要も無い事になる。



 まずは、母親に報告だ。自慢じゃ無いが、俺の母親は、随分進んだ親だ。この前、カバンの中に、見慣れぬラッピングした箱が入っていたので、開けてみたらゴム製品だった。……イヤ、何度も言うが、彼女に何もして無いって。



 しかし、私が、いきなり学年トップを取ったと聞いても、全く、信用しなかった。

 成績表も見せたが、よく、こんなにうまく、よくパソコンでプリントアウトしたねって、こうである。俺は、そこまで、パソコンは詳しくは無いのだが。



 そこでも、まあ、それ以上は言わなかった。



 肝心の、詩織ちゃんは、この前からの、不思議な現象を実感しているので、即、信用してくれた。



「じゃ、私、看護師になるから、光ちゃんの病院で雇ってね」と、これも、母とは真逆の反応である。



 さて、運命の3学期の試験である。これで、もう一度、学年トップを取れれば、これは、理由は不明だが、俺の頭が、飛躍的に伸びた事だけは、証明できる。

 量子力学で言う、量子飛躍が、この俺の頭の中に、起きたのか?

 それとも、ななみの言う、次元のゆがみなのか?



 さて、俺が、詩織ちゃんとベタベタと歩いて高校に通っても、かってのような、冷やかす者も誰一人もいない。……後ろ回し蹴りを喰らったら、大変だからだ。



 イヤ、ホントに、その記憶は、この俺には、全く無いのだが……。ともかく、噂話ほど怖いものは無い。



 特に、困ったのが、俺と詩織ちゃんが、既に、あれをやったらしいと言う噂話である。



 やって無い事を証明する事など、不可能だ。

 これを、「悪魔の証明」、と言うのだ。

 真面目に、付き合っている、この俺にしては、大変に気分が悪い。



 特に、困ったのが、既に、その噂を信じ込んでいる、母親に、詩織ちゃんを会わした時だった。

 クリスマス・イヴの時、彼女と、ケーキを食べた後、俺の病院の横にある、自宅に、詩織ちゃんを呼んだ時である。



 まあ、母親は、新婚の花嫁さんが来たぐらいにもてなしてくれたが、もはや、こうなると、歯止めが聞かないのである。上や下への大騒動である。



 さすがに、詩織ちゃんも言った。



「ねえ、光ちゃん、貴方のお母さん、何故か異常に舞い上がっていなかった?」



「実は、そうなんだ。もう二人は、できていると、あの噂話しを信じているみたいなんだ」



「えっ、そうなの?」



「多分、詩織ちゃんのお兄さんが、帰りしなに、俺の母親に耳打ちしらしいんだよ。これには、この俺も、ホトホト困っている」



「ホントに、光ちゃんのお母さん、そう思ってるん?」



「ああ、どうもね」



「だったら、どうせもう学校中の噂にも、なっているし、ホントにしない?」



 詩織ちゃんの顔を見ると、目が、笑って無い。これは、本気で言っている。



「何を言うんだよ、詩織ちゃん。今まで真面目に付き合ってきたのに……」



「だったら、今度の3学期の成績みてから、また、考えてみてよ。どうせ、私は、光ちゃんと、やった事になってるし」



「確かに、3学期の成績は、気になるな。もし、今度の試験でも、学年トップだったら、この俺も、少しは考えてもいいかもね」



「もし、そうなったら、私は、あの日以外は、いつでもOKよ」



「そこまでハッキリ言うなよな。こちらが、ビビるじゃ無いか!」と、私が、照れながら言った。イヤ、女の子は恐ろしい……、と。




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