なぜ国語のテストには独特の問題があるのか?
無事に?初日を終えた俺の次の難関は学力テストであった。
始業式の次の日からいきなり頭を使わせようとしてくるとは……
なかなか手強い……
「龍くん、おはよう」
「美桜姉、ずいぶん余裕そうだけどテストは大丈夫なの?」
「私はもちろん大丈夫よ!」
こちらを振り向いた瞬間、ふわふわとしたウェーブがかった桜色の髪が風に揺れる。
そんな彼女は自信満々に胸を張ってみせた。
「そんなに自信あるんだ。羨ましいな……」
「なにせ、私はテストなんて意識したことないもの! テストに合わせて生活するなんて凡人のすることよ!」
「美桜姉は今年卒業なんだから勉強しないと駄目だろ……」
進学するにしろ、就職するにしろせめて今だけは頑張るべきだろ!
この自信がどこから湧いてくるのか不思議でならなかった。
「まぁ、最悪は龍くんのヒモになるから心配しないで!」
「俺じゃなくて、自分の心配をしろよ! 後、絶対に嫌だ!」
そんなと言いながら美桜姉は項垂れる。
ろくでもない考えは早々に消すべきだと訴えながら学校へ向かうのだった。
学校に到着し教室に入るなり、昨日と同じ殺気を感じる。
いや、昨日よりも更に強くなっているように思われる。
助けを求めようと楓の方を向かないように、周囲を見るが全員目を背けている。
幼馴染である陽葵もこの件に関しては近づきたくないらしく、首を横に振るだけだった。
こんな状況じゃ、テストに集中できないだろ!
一時間目
先ずは国語だが、これはまだ得意な分野だ!
これは手堅く点数を取らないと。
問一、あなたの中で最近、一番面白かったことを答えなさい。
問題の意味がわからない……
一体何を聞かれているんだ?
どう答えたらいいんだ……
つ、次の問題を先に解こう!
問二、先生を笑わせるような事を書いてみて下さい。
この問題を作った奴は誰だ!
何で笑わせなきゃいけないんだよ!
しかも、滅茶苦茶ハードルが高いわ!
問三、藍崎君限定の問題です。昨日の遅刻について反省文を書きなさい。(ボーナス問題です)
何で俺限定なんだ!
しかも、わざわざボーナス問題と表記するとは……
ボーナスの意味をしっかりと調べてこい!
っていうかこの問題、担任の吉村先生が絡んでいるだろ!
テスト中なのに周囲からクスクスと笑い声が聞こえるんだけど?
背中に感じる視線がとても痛い!
もう嫌だ……こんなテスト……
あまりの難題?に意気消沈した。
二時間目
数学はどちらかといえば苦手な分野だ。
だけど、しっかりと公式を覚えていたからある程度は解けるぞ!
五問に一問は合ってるはずだ!
かなりのハイスコアが期待できる!
問八、この図形が合同であることを証明しなさい。
ふっ……この問題が出れば答え方は決まっている。
何故なら、合同であることは確かなのだから!
A.私が合同だと思うから、絶対に合同です。なんなら私のお墨付きを与えましょう。
これで数学は完璧だな!
三時間目
明日もあるけど、取り敢えず今日のテストは最後だ。
だけどこれが一番の難所である英語だ。
相変わらず手強い問題が多いな……
問一、日本語で訳しなさい。
My name is James.
これはまだ簡単だな!
A.私の名前はハメス・ロドリゲスです。
俺も甘くみられたもんだな……
I believe in yourself
急に難しくなった……気がする!
A.私は
ここまで訳が出来れば上出来だろう……
今回は調子がいい!
この感じで明日も楽々いけそうだな。
自身の中では良い点数になりそうなので、内心ほくそ笑むのだった。