第七話
以前の体の主人の時のことだ。
魔力結晶の検査で魔力を持っていることが確認され、魔術師として軍属が強制されることとなった。
三段階目の魔力結晶という数百年に一人という魔力を保持し――――
二種属性持ちとして将来の英雄を目撃したような目で見られながら――――
属性検査で周囲を落胆させた――――
<不遇の魔術師>として――――
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「素晴らしいですね、ワトソン学生。よい魔術師になれるでしょう。」
その、優等生なこの世界の常識の回答に教官は賛辞を贈る。
「さて、ワトソン学生の説明の通り魔力は“燃料系”と“操作系”のものに分けられています。
つまり、魔力は物質を生み出すわけではありません。
炎や雷、活性をさせるための“燃料”として活用し魔術を行使するタイプと
水や土、風を魔力によって“操作”するタイプの魔術に分類されるからです。
ごくまれに“燃料系”の雷と“操作系”の属性を持った魔術師もいたそうですが、基本的には魔力の系統は一つしか持つことができません。
“操作系”の魔力は“燃料系”の魔力にはなりえないのです。
そして、雷と水の属性についてですが、雷は空気によって阻まれることと金属製の武器を使う味方兵士に被害を与える迷惑属性としての扱いを受けています。
また、水は人為的に鉄砲水を発生させることと大差なく、存在価値の薄い属性として認知がされています。これらのことから、雷と水を適応属性とする魔術師が<不遇の魔術師>と呼ばれてきたのです。」
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「さて、戦闘訓練をこれより行う。【適応属性:雷】のクラス担当のヴァルス・ボルタ―だ。君たちも私と同じく<不遇の魔術師>脱却を志してほしい。
そして、今回特別に学生ながら【雷】のライセンス順位一位の彼にも一学年戦闘訓練に参加してもらおうと思う。自己紹介を頼むぞ。」
「ぬぅぅうううっわっはっはぁぁぁああ!!新入生諸君。筋肉こそ至高!!共に青春しようではないかぁぁあああ!!」
貧乏神よ。頼むから付きまとわないでほしいんだ。