第五話
指定の場所に訪れると一学年と思わしき養成生たちが集まっていた。
今回俺が配属されたのが「養成第二大隊・一中隊・八小隊」通称「二一八小隊」である。
日本の神奈川県にある某公務員養成大学を想像してもらえればよいだろう。まさしくそのままである。
着校時点から魔術師たちは特別軍属として上等兵としての階級が渡されている。
小隊は一学年六名と二学年六名、三学年四名の16人で構成される。
4学年は成人後の学年となるため、野外演習や養成訓練の監督等指揮訓練も魔術訓練と並行して行われるため小隊とは別に編成され、大隊の管理学生としての職務も学生ながら兼ねるのである。
「ルード・ベルナール学生だな。私は二学年、ルーフラッド・フレイルだ。君付の学生指導係、すなわちバディ学生だ。君の学生としての不備はともに反省し、訓練はともに乗り越える。兄弟のようなものだ。一年間よろしくな」
「一学年ルード・ベルナールです。一年間ご指導よろしくお願いいたします。」
と、バディの先輩はイケメンで結局今生も軍隊に身を置くのかと気が遠くなっていく。
「うん、基本的礼節は大丈夫そうだな。小隊長含む三学年にあいさつをしたら、校内の案内と居室へ荷物を入れることにする。では、あいさつに行こうか。」
意識がどこかへ飛んでいく前にフレイル先輩に話しかけられたことで気を確かに持つことができた。
見返そうとする意欲と現実をスムーズに受け入れることは別物らしい
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「ベルナール学生、学生小隊長含む上官へのあいさつを見せるから完全に模倣するようにな。
小隊長、失礼いたします。二学年フレイル学生は指導学生とともにあいさつに参りました。」
と、立礼をする。軍人になってしまったと自覚せずにはいられないが、自身に与えられた資質はどこに行ってもしがらみに結びつけられる以上、受け入れるしかない。
「小隊長、一学年ベルナール学生は学生指導係の方とともにあいさつに参りました。」
そして、受け入れる以上は、倣うしかないだろう。
先輩学生を模倣し前に立つ上級生に頭を下げる。
「二一八小隊長を務めるブルーム・バーランである。我らの小隊が優秀な筋肉かつ軍人として認められるようともに精進しようではなかぁあああ!
はぁぁぁああああはっはぁぁあ」
受け入れるとは言ったがこんな筋肉だるまの下につくとは聞いていない。不遇だ・・・。