第四話
一週間という期間は早いもので、成人前にして義務の発生する魔術師の素養を認定された俺は入れ替わる前の自分の家を巣立つことになった。
手記や部屋に残された書物に没頭するたびにシスターが増やす家事に時間を謀殺されながら今馬車に揺られている。
残された書物や手記から<不遇の魔術師>として扱われる理由も読み解くことができたが、どうせ養成校で確認することができるのでここでは省こう。
せっかくの晴天に日本では味わうことのできない馬車に乗っているのだから楽しもうではないか。
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まったくもって楽しくない。絶対に馬車の改良をしてやる!
鉄の意志を抱いてほとんど押し付けるように、シスターから渡された路銀から馬車代を渡す。
ファンタジー作品にありがちな転移と呼ばれるものはなく移動は基本馬車
ガタガタと揺れる車内で臀部に痛みを受けるという実体験を経て養成校のある王都ラミルスに到着したのである。
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さて、養成校着校と入校式などという退屈な話を聞き流しながらこの国について確認すると、王制国家・ディガーリアというらしい。
大陸三大国家として、人類の生活領域を広げるため軍事力の投入を続けている。
進化論を鼻で笑うような巨大肉食獣たちの勢力を減少させるためにも魔術師という人間兵器になりえる存在が重要なのである。
成人前から四年も育成するのは戦力として生かすための期間といえる。
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「本日の着校行事は以上とする。制服及びライセンスを受領後、それぞれ養成生指導係の指示に従い、行内設備の確認を消灯時間までに行うこととする。
各指導係の待機場所は本大隊隊舎入口に記載してあるため確認すること。
では、解散」
入校式後の教官からの指示により、人の流れが生まれていく。
現代日本の科学がいかに<不遇>を乗り越えていくのか、
この世界の常識を破壊するのか、見ておくといい