第三話
扉の前で咎めるような視線を向ける修道服の若い女性に謝罪をしてから、連れられるように歩く。
冷静さを取り戻そうと、自らの状況にあたりをつけていく。
廊下から見える教会から察するに孤児や親の都合による育児放棄にあった子どもたちの為の施設だろう。
自分の格好は教会で修行をしている様な姿には見えないからなと思案に耽っていると
「ルードさん、自分の運命を憂いてはいけません。たとえ不遇と呼ばれる事になろうとも、貴方は間違いなく希少な魔術師で、国にとって必要な人間なんですよ。
もうすぐここを離れる貴方と一緒にいる時間を大切にしたい義弟や義妹達が待っています。
その様な難しい顔をしていては心配をさせてしまいますよ?」
女性の言葉にまた疑問を抱きつつも、まだ見ぬ子ども達に心配をかけるのもいけないと思い思考を止めつつ、女性に感謝を伝えて食堂へと向かった。
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あれから施設長の叔母様シスター・グレディからありがたい小言を賜りつつ、道案内をしてくれた修道女・ミレーヌが納めてくれた事で、皿洗い一週間と引き換えに穏やかな夕食タイムを手に入れたのである。
夕食後は皿洗いもほどほどに、手記からこの世界について情報を得るつもりだったが、施設の子ども達にもみくちゃにされ、読み聞かせをしてやったりで体感で2時間ほど拘束されてしまった。
子ども達と過ごす中で理解した事は、魔術師の素養がある物は16歳より国家魔術師養成校にて4年の修練を積み、兵役を義務とされるそうだ。
この世界の俺も魔術師養成校への着校が1月後に迫っており、出発を翌週に控えているそうだ。
「最後の日まで皿洗いさせるとか、シスターめ・・・」
部屋で愚痴らずにはいられない中、手記を拾い上げる。
急に始まった新たな世界での生活に期待を抱かずにはいられない自分と、
手記に書かれた<不遇の魔術師>の言葉に不穏な気配を感じる自分を感じながら、皿洗いの日々を過ごしていった。