第十三話
着校して2か月
魔術師として、部隊員として、軍属の人間になるための訓練をひたすら反復してきた。
その訓練の中間試験のような目的も持つ訓練が「校外軍事行軍演習」である。
そもそもの話、この国家魔術師養成校の養成課程について話をしよう。
魔術師という巨獣に対する回答ともいえる戦力を育成し、人類の生活区域の維持と拡大を任務とする軍への従事を目標にしている。
巨獣に対してとどめを刺すことのできる戦力であることの多い魔術師は部隊に作戦指揮を遂行させて排除する任を任される。
【雷】の魔術師も例外ではなく、遊撃部隊の作戦指揮を任せられるため、国家魔術師養成校では幹部としての資質を磨くことも求められているのである。
そのため、養成校着校時点で軍属となって学生部隊として編制され、学年ごとに軍属としての資質の育成や部下の指導、指揮の方法を学んでいくのである。
学生部隊は4つの大隊に分かれ、大隊の総隊長は4学年の学生が務める。
今回の演習のような行事では大隊ごとに競い合う形がとられ、1位の大隊には優秀大隊としての栄誉が与えられるので上級生たちは必死に演習に向け、自身や下学年の訓練に力を注ぐのである。
大隊は5つの中隊からなり、1中隊に8個小隊がある。
小隊には1学年5名、2学年5名、3学年4名の14名で編成されるのだ。
3学年以上は幹部学生として中隊長付になるものがいるために1,2学年より少なくなっている。
そして訓練の内容は、48時間で指定ポイントまで大隊単位で移動後に小隊ごとに分かれて陣地形成と24時間の警戒を行う72時間にも及ぶ内容である。
特に警戒訓練は疲労が限界に達している状態で無作為に訪れる味方役の教官や、スパイ役の教官を確認できるかも試験される。
そんな体力の限界に挑むため、校外軍事行軍演習と呼ばれているのだ。
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「二一中隊長!!、二一八小隊準備整いましたっ!!」
「バーラン小隊長、報告ご苦労様。二一中隊!休め!これより大隊長に報告に向かう。フラル副隊長、報告の間頼む。」
「了解しました。」
小隊長が報告を上げると、二一中隊の隊長のメルデ・ドラッツ学生が指示を飛ばした。中隊長が戻ればいよいよ始まりである。
「二一八小隊!!いよいよ第一期訓練期間の締めくくりだ!脱落者の内容にバディ同士で確認しあうことを忘れるなぁあ!!」
「「「「了解!」」」」
「ルード学生!」
「フレイルさん!今日はよろしくお願いします」
「あぁ、初めての部隊訓練なんだ。乗り越えられるようにバックアップするから頑張れよ!!」
「はいっ!!」
さぁ、訓練の始まりだ