第十話
とても、とても、・・・とても不本意ではあるが小隊長のご厚意で紹介してもらった鍛冶師の工房に来ている。
工房主は全く悪くはないのだが、どうしても小隊長がちらついてしまう関係上嫌な予感しかしないのは許してほしい。
濃いキャラクターから紹介されるキャラクターは濃い傾向があるのが異世界系の小説あるあるだろう。おねぇだとか、ヤンデレだとか、職人魂MAX系だとか・・・。
不安な気持ちを無理やり抑え、五分の葛藤を乗り越えて、工房へと足を踏み入れる。
************************
「っしゃいやせぇぇえ。ヤトゥ工房へぇようこそおいでなすってぇ」
「っぶふぉぉぉ」
想定外だ・・・。なんなんだその挨拶は!?今時そんなあいさつするやついないし、なんかいろいろ間違ってるし、ガッツリ和彫りだし、なんなん?なんなん?
「スミマセン、間違いのようなのでしt・・いってぇぇ!!」
「お客さーん、ひやかしっすかぁ?バーランの旦那のツラ潰す気ならこのままツブしますが?」
肩を握り潰す工房主が、眉を「ハ」の字にしてにらみつけてきてるんですけど?
マジでつぶれちゃうんで緩めてくださいなんでもするのでぇぇぇぇええ。
「ち、違いました。あってました!オーダーメイドお願いしたくて来たんです!決してメンツをつぶす気じゃなかったんです!バーラン小隊長が“優しいお兄さん”って言ってたので勘違いしたんです・・・・・っあ。」
やばい、ヤばい、ヤバい、ヤバイッ!!!!口が滑ったぁぁぁああ
工房長が震えてる、怒りを抑えて震えてるよぉぉおおお
「ぉい、バーランさんがそんなこと仰ってたのかぁ?」
「いやっ、あのっ、くっ、っくちが「どーなんだぁぁああ!?」おっしゃってましたぁあ!!」
直立不動の気を付けの姿勢で、小隊長の言葉を肯定する。
頼む、コロサナイデ・・・。
「バーランさんが、そんなことを・・・。あの人はやっぱり最高のお方だぁ。こんな生産しか取り柄のないようなやつを立ててくださるなんてよぉ。そうだろうコゾォ」
「はい!!私も小隊長の部下になれたことを誇らしく思っております!!」
嘘です!!潰されたくないので嘘つきました!!ユルシテ!!!
「わかってんじゃねぇかよぉぉ!!よぉぉし気に入った!!なに制作してほしいんだ?あぁ!?」
キタ!!頼む聞いてくれぇぇ!!
「実は、こう言ったものの政策をお願いしたいんですが・・・。できますでしょうか?」
「これぁ?面白そうじゃねぇか。バーランさんの部下のくせに遠距離系なのが気に食わんがいいだろう。あの方に免じて完璧なの制作してやるよぉ!!」
ありがとぉぉぉおおおお!!小隊長ぉぉぉぉぉ!!