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669.F級の僕は、最後にうわわわ!!!!?


6月22日 月曜日9



関谷さんとの“通話”が終了した直後、無線機を通じて関谷さんではない別の声で呼び掛けられた。


『Takashi……』


ティーナさんだ。


『おはよ。眠気はもう大丈夫そうね』

「おかげさまで」


彼女の砕けた口調からすると、どうやらグループトーク設定を切って、個人的に僕に話しかけてきているようだ。


「ティーナの方はどう? 今日は忙しかったの?」


日本時間の昨日、彼女は外せない予定がある、と口にして(第659話)いた。

EREN関連のスケジュールが詰まっているって事だと思っていたんだけど。


『忙しかったわよ~。朝っぱらから、あ、これは日本時間のって事で、こっちの時間だと午後って事なんだけど、とにかく重要な会議やら何やらでscheduleギチギチだったのに、抜け出して寝坊助の誰かさんを起こしに行かなきゃいけなかったし』

「それはほんとゴメン!」

『Just Kidding! 冗談よ。それより見せてもらったんでしょ? 名簿』

「名簿……?」


一瞬何の話かと混乱しかけて思い出した。


「あ、もしかして均衡調整課側が用意してくれるっていうチームのサポートメンバーの話?」


安藤さんやら更科さんやら数人の名前と概要が記載された一覧表なら見せてもらったけれど。


『そうそう』

「関谷さんか井上さんから聞いた?」

『そういう名簿を見せてもらったって話だけはね』

「じゃあ具体的にどんな人達を紹介しようとしているかっていうのはまだ知らないんだよね?」

『あ、それなら大丈夫』

「大丈夫?」

『名簿なら今、手元にあるから』

「手元に?」


首を捻りかける間もなく、無線機の向こう側でティーナさんが数人分の名前を羅列し始めた。


『Youji Andou、Mika Sarashina、Shou Takahashi、Asuka Satou、Osamu Fujita……』

「ティーナ?」

『どうしたの?』

「さっき“手元にある”って言っていたけれど、それって僕達が見せてもらったのと同じ名簿?」


ちなみに見せてもらいはしたけれど、渡してもらってはいない。


『だと思うから、一応確認のため読み上げているの』


聞いている限りでは、僕達が均衡調整課で見せてもらった名簿に記載されていた内容と一致しているっぽいけれど?


「え~と、なんで手元にあるの?」


って、聞いてから思いついたけれど……

ティーナさんは握手をする事で相手の記憶を読み取る能力を持っている。

って事は、僕の知らない間にエマとは別の変装をして、こっそりワームホール開いてこっち(日本)に来て、あの名簿の内容を知っている関係者と握手……


「もしかして……」


僕が推測を口にする前に、ティーナさんが“ネタ晴らし?”をしてくれた。


『ああ、それは均衡調整課のServerにaccessして手に入れたの』

「サーバーにアクセス?」

『ほら、日本はまだ正式には発表していないけれど、富士第一特別専従teamを発足させる事、閣議決定したでしょ?』


一昨日(第510話)、確かに桂木長官がそんな風に話していた。


『で、その情報を入手出来た時点で、ウチ(EREN)のcyber関連のexpert達が早速仕事をしてくれたってわけ」


以前(2013年)、アメリカが同盟国であるはずのドイツの首相の電話を盗聴していたとかで問題になっていたっけ?

つまりティーナさんがいうところの“エキスパート達の仕事”って、ハッキn……


『それよりまだ本人達とは直接会ってはいないのよね?』

「まあね。今度そういう場を設けるから会ってくれとは言われたけれど」

『でね、名簿の話を持ち出したのには理由が有って、一人、気になる人物が記載されているの」


誰の事かと考えかけて、実際、僕自身が名簿を見せてもらった時の違和感を思い出した。


「もしかしてMINAさん?」


彼女だけなぜか名前がアルファベット表記だった。

途中で桂木長官に声を掛けられて、概要欄まで目を通せなかったけれど。


『Ding ding ding correct!』

「具体的にはどう気になるの?」

『他のmember達はそうではないのだけど、彼女だけは調べても全く何も出てこないのよね』

「出てこない?」

『そう。詳しい経歴とか能力とか、とにかく名簿に記載されている以上の情報が何も出てこないの』


……話しぶりからすると、つまりティーナさんの言うところの“サイバー関連のエキスパート達”が、サイバー空間を検索しても、それ以外の情報機関を使っても、とにかく追加情報を全く拾い上げる事が出来なかったって事のようだけど……?


『で、ここからはお願いになるんだけど、実際に会える段階になったら出来るだけ早めに教えて欲しいの』

「それはもちろん」


もし富士第一の探索を名簿に記載されていた彼ら、彼女らと協力して進める事になるのなら、MINAさん含めて事前にティーナさんにも色んな意味で“品定め”しておいてもらいたい。


『ま、適当に仲良くなって彼女(MINA)をdateか何かに呼び出してくれれば、私と街中で偶然ばったり出会った事にして握手出来るでしょ? そうすればMr.Yomogiに怪しまれる事無くMINAってコの“正体”を確かめる事が出来ると思うから』


……うん。

ティーナさんはやっぱりティーナさんだった。

だけどもし本当にMINAさんが“正体不明”なのだとしたら、確かに彼女が何者であるかを確認しておくのは、今後の富士第一探索の進め方を考える上でも非常に重要な話になってくるはず。


『そうそう。話は変わるけれど、Takashiって昨日から今日にかけてのこっちの世界(地球)での動きって、全く把握出来てないでしょ?』

「そうだね……」


昨日から今日にかけて人生最大級にドタバタしていて、こっちの世界のニュースなんかは全然チェック出来てはいない。


「もしかして、何かまた変わった事でも起こった?」

『変わった事というか……ほら、私達があの白い光の柱に関する動画をnetにupしたでしょ? それでその直後、今度は中国のS級が自爆terrorismを予告する動画がupされた……』


いずれもこの世界の暦の上では昨日(6月21日)!!の話だ。

白い光の柱――北極海でレヴィアタンを斃した時の――の動画は、昨日(第542話)の午後12時半頃。

そして曹悠然が“ある物体”――黒い四角垂(ピラミッド)――の破壊を予告する動画は、昨日の午後1時に予約投稿(第628話)され(たという事になっていて)、実際には午後5時半頃。

それぞれネットにアップされたはず。


『で、当然ウチ(USA)も含めて各国政府が様々な反応を示しているの……』


そう前置きしてティーナさんが語ってくれた内容によると……


まずロシアは元々自国領内でのスタンピード発生を認めておらず、


“北極海で原子力潜水艦が事故を起こした。放射能汚染の詳細が判明するまでの当面の間、北極海航路を封鎖する”


としか発表(第255話)していなかった。

当然ながら“白い光の柱”の動画に関しても、完全なフェイクであり論評に値しない、として公式な声明は出していない。


一方、アメリカをはじめとする西側諸国は詳細な分析により、動画が“本物”であると判断したけれど、こちらもことさら何か声明を出す、という事態にはなっていない。

なぜなら“本物”だと公式に認めてしまうと、ならば北極海で本当は何が起こっていたのか詳細に説明する事を求められるだろうし、それは最重要機密事項であるべきはずの自国の情報収集能力の一端を開示する事と同義であり、なおかつ実際にはあの“白い光の柱”について整合性のある説明が現時点では全く不可能だからだそうだ。


で、その直後に投稿された曹悠然(中国のS級)の“自撮り自爆テロ予告動画”に関しては……


その前後、秦皇島付近を震源とした人工地震の発生を在韓米軍がいち早く察知。

韓国側と情報共有して発表した事もあって、当然それらの関連性が疑われる事に……


『中国側は、公式には全く何の声明も出してはいないの。ただし私達(USA)の求めで昨日、New Yorkの時間で午前9時、日本時間だと昨夜の午後10時に召集された国連安保理の秘密会合には渋々参加した……』


席上で中国は自国領内を震源とする人工地震の発生は認めた上で……

人工地震は核実験とは無関係である事、

曹悠然が地下施設に入り込み、実際にスキルか何かを使用して破壊工作を行った事、

彼女のその後の動向は不明であり、破壊工作時に恐らく死亡した可能性が高い事、

そして現在までの調査により、彼女が実はテロ組織である『七宗罪(QZZ)』の幹部構成員であった事、

等々が判明したと主張。

ちなみに“地下施設”に関しては、安全保障上の問題を理由にその詳細の開示には応じられない、とも説明したらしい。


『……ま、概略こんなところね』

「なるほど。じゃあ曹悠然の(かくま)い方、打ち合わせ通りで良いって事かな?」

『そうね……』


少しだけ間を置いて、ティーナさんが急に話題を変えてきた。


『ところでTakashiは、明日はどうするの? って、この場合の明日は当然そっち(日本)の時間でって話だけど』

「明日は多分、朝には一度向こう(トゥマ)に顔を出すかな。実は向こうの世界で州総督しているモノマフ卿って人から、山賊?退治を頼まれていてね」

『そうなんだ』

「どうして急に明日の予定? もしかしてティーナ的には明日何か僕に頼みたい事でも?」

『そういうんじゃないんだけどね~』


ここでなぜか、ティーナさんの声が悪戯っぽい感じに変わった。


『明日はほら、多分、富士第一特別専従teamについての正式発表があると思うのよね』

「そうだね」


桂木長官からもそんな感じの話は聞いている。


『つまりTakashiがいよいよ、その強さも含めて全世界にお披露目されちゃう日、でしょ?』

「え? それってどういう……」


途中で僕の心の中にも、ある重大な“懸案事項”が浮かび上がってきた。


『だってほら、富士第一のGate Keeper達を斃して回っている謎の存在X(第500話)の話題に続いて、均衡調整課が肝煎(きもい)りで発足させる富士第一特別専従teamよ? そのteam leaderサマともなれば、当然日本政府が詳細を発表しなくてもmass mediaの皆さんがこぞって取材に殺到……』

「うわわわ!!!!?」



……明日は起きたらすぐに【異世界転移】して、ほとぼりが冷める(冷めるのか?)まで向こうで“潜伏”してようかな……




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