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6.F級の僕は、ウサギ狩りに出掛けた

ブクマや評価を下さった方々、本当にありがとうございます。

今日も良い天気なので、書いた端から投稿してみます。


5月10日 日曜日5


「ねえ、今の人、誰?」


カイスが、完全に自分の席へと戻ったのを確認した僕は、アリアに、恐る恐るたずねてみた。


「イロキチガイよ」


アリアは、吐き捨てるように答えた。

僕は、やや離れた席に、こちらへは背を向けて腰かけたカイスの様子を、そっと観察した。

冒険者仲間だろうか?

彼の周りには、大勢の女の子が侍っていた。


「知り合い?」

「まあ、気にしないで」


アリアは、忌々しそうにそう言うと、運ばれてきた料理を口に放り込んだ。


カイスの事は、今は余り話題にしない方が良い。


そう判断した僕は、話題を変えた。


「ところで、遅くなったけど、はい、これ」


僕は、懐から、スライムの魔石5個を取り出した。


「なに?」

「午前中、スライム討伐、手伝ってくれたでしょ? 少ないかもだけど、お礼」

「別にいらないよ。私見てただけだし」

「そんな事無いよ。アリアがいてくれたから、僕は安心して戦えたんだ」

「大袈裟だな~。相手、スライムだよ?」


アリアはそういうが、僕にとって、午前中のスライム狩りは、相当な覚悟の元に遂行された、一大決戦であった。

なにしろ、生まれて初めて、この手でモンスターを倒したのだから。

それに、魔石が11個も手に入った。

元の世界にこの魔石を持ち帰る事が出来れば、毎日、惨めな思いをしながら、ダンジョンに潜る生活から、しばらく逃れることが出来るかもしれない。

そんなわけで、僕は、是非、アリアに恩返ししたい気分なのだ。


「じゃあさ、午後は、アリアの依頼、何か手伝わせてよ? 僕の取り分いらないから」

「ふふ、ありがと。じゃあ、午後は、ジャンピングバニー狩りの依頼、探してみる?」



食事を終えた僕等は、そのまま同じ一階の壁に設置されている掲示板へと向かった。

依頼が張り出された掲示板の前には、大勢の冒険者達が集まっていた。

彼等をかき分けながら、僕等は、目当ての依頼を探した。


「……あった!」


アリアが、嬉しそうな声を上げ、掲示板を指差した。


【ウサギ肉、至急。1個からでも可】


「ウサギ肉? ジャンピングバニーの肉って事?」

「そうだよ。大体、ジャンピングバニー10匹倒せば、1個はドロップするよ」


やはり異世界。

地球と違って、この世界では、モンスターを倒せば、魔石以外の物もドロップするようだ。

あれ?

でも、スライムの時は、魔石しか出なかったような?


「スライムは、魔石以外、ドロップしないの?」

「しないよ。モンスターでも、魔石以外の物をドロップするのとしないのがいるから」


さすが、最弱のモンスター。

でも、この世界のモンスターが、魔石以外もドロップするなら、僕も強くなれば、その内、レアアイテムなんかが入手出来たりするんだろうか?


僕等は、目当ての依頼に振られた整理番号を控えると、カウンターに向かった。

カウンターの向こう側では、複数の職員が、忙しく立ち働いているのが見えた。

彼等の中に、午前中、僕の冒険者登録の手続きをしてくれたレバンさんもいた。

アリアが、彼に呼びかけた。


「レバ~ン。この依頼、受けるね?」

「アリアは、ウサギ大好きだな」


どうやら、アリアは、ここ最近、ウサギ肉の依頼ばかり受けているようであった。

レバンさんは、アリアと談笑しながら何かの手続きを行っていく。

それを興味深そうに眺めている僕に気付いたレバンさんが、教えてくれた。


「君達冒険者の誰がどの依頼を受けているか、ギルドは、常に把握しとく必要があるんだ。そうしないと、達成者が被ったり、達成不能で塩漬けになっている依頼がどれなのか分からなくなったり、色々不都合が生じるからね」


手続きを終えた僕等は、街を出て、早速、ウサギ狩りに向かった。


ジャンピングバニーは、角の生えたウサギだった。

草原のあちこちに散らばって、草を食んでいた。


「じゃあ、私が追い込むから、タカシがとどめ、刺してみる?」


僕は、生唾を飲み込んで頷いた。


相手は、レベル5のモンスター。

レベル2の僕の攻撃が、果たしてどこまで通用するのだろうか?


僕が、明らかに緊張でガチガチになっているのに気が付いたアリアが、声を掛けてきた。


「ジャンピングバニーは、攻撃力、そんなに無いけど、素早いからね。もっと肩の力抜かないと、逃げられちゃうよ?」


1匹のジャンピングバニーに狙いを付けた僕等は、夢中で草を食んでいるモンスターを挟み込むような位置に回り込んだ。

僕から見て、ジャンピングバニーの向こう側にいるアリアが、短弓を取り出して、矢を番えるのが見えた。

彼女は、無造作にそれを放った。


―――ピィ!


矢は、見事にジャンピングバニーに突き刺さった。

アリアは、急所をわざと外してくれたらしく、ウサギは、よろよろとこちらに逃げて来る。

僕は、そいつに向かって、思いきり手に持った剣を振り下ろした。


―――ピィィィィ!


一際大きな叫び声を上げて、ジャンピングバニーは、光の粒子となって消滅した。


―――ピロン♪



ジャンピングバニーを倒しました。

経験値300を獲得しました。

Fランクの魔石が1個ドロップしました。

ウサギ肉 (小)が1個ドロップしました。



ポップアップの表示通り、あとには、魔石とウサギ肉が、残されていた。

アリアが、笑顔でこちらに駆け寄ってきた。


「すご~い。1匹目でウサギ肉ドロップしたの初めて。もしかして、タカシが倒したからかな?」


アリアは、嬉しそうにウサギ肉を袋に入れた後、僕に試すような視線を向けてきた。


「で、経験値どれ位だった?」

「経験値300だったよ、ジャンピングバニー」


僕の言葉を聞いたアリアが、額に手を当て、天を仰いだ。


「やっぱり、チートだ……ジャンピングバニー、経験値3のはずなのに……」

「なんか、ごめんね」


僕は、なぜか謝っていた。


「ううん、いいの。その代わり、早くレベル上げて、私を楽させてね♪」


アリアが、またも、色々誤解を招きそうな事を口走っているが、ここにいるのは、僕等だけ。


「それより、どうする? 依頼達成しちゃったけど」

「依頼は、最低1個から可、だから、あればあるほどいいよ。日も高いし、この辺のジャンピングバニー、狩り尽くしちゃおう!」


結局、僕等は、夕方までに、合計15匹のジャンピングバニーを狩った。

アリアは、全てのジャンピングバニーのとどめを僕に刺させてくれた。

そして、僕等は、15個のFランクの魔石と、15個のウサギ肉 (小)を手に入れた。

そして、当然ながら、僕は、さらにレベルが上がった。



Lv.4

名前 中村(なかむら)(たかし)

性別 男性

年齢 20歳

筋力 1 (+3)

知恵 1 (+3)

耐久 1 (+3)

魔防 0 (+3)

会心 0 (+3)

回避 0 (+3)

HP 10 (+30)

MP 0 (+3)

使用可能な魔法 無し

スキル 【異世界転移】【言語変換】

装備 鉄の小剣 (攻撃+10)

   皮の鎧 (防御+15)



「タカシ、凄いね。冒険者になって初日にレベル4到達とか、聞いた事無いよ?」

「でも、技術があんまり追い付いてないんだよな……」


そう、僕のレベルは確かに上がった。

実際の体の動きや、剣を振るうスピードが格段に向上しているのも実感できた。

しかし、剣は相変わらず大振りだし、アリアみたいに上手く弓が扱える自信も無い。


「ねえ、アリアは、今日は弓使ってたけど、誰かに教わったの?」

「私? ううん。こんなの適当だよ。まあ、元々【弓術】スキル持ってるってのはあるけど」

「そうなんだ……確か、スキルって、新しく手に入ったりしないんだよね」

「うん。普通はそうだけど……」


アリアが、少し悪戯っぽい顔になった。


「タカシは、色々規格外っぽいからね~。獲得経験値も100倍になってるし、ウサギ肉も謎のドロップ100%だし。スキルも、勝手に覚えたりして?」


どうなんだろうか?

でも、今の所、レベルアップしても、新しいスキルを覚えたりはしていない。


「スキル無くても、練習したら、武器の扱い、多少は上手くなるかな?」

「なると思うよ。私も、剣とかスキル持ってないけど、最初の頃よりは上手に振り回せるようになったし」


僕等は、戦利品の詰まった袋を背負い、談笑しながら街へと戻って行った。



間違えて投稿したので、慌てて修正^^;

もし、何か妙な話を読んでしまった方、それは幻なので、忘れて下さい。


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感想欄のチート云々は「異世界翻訳」さんのおかげではないかと思いますが、中々難しいですよね。
[気になる点] 例えばステータスの筋力1の筋肉ムキムキの男と ステータスの筋力5の細い女ではどちらのほうが上なんでしょう? 筋肉量よりステータスがモノを言う世界?
[気になる点] チートとはコンピュータゲームの反則行為なので、どう考えてもそういったゲームのない世界で、現地人がチートどうこう言い出すのは違和感しか感じません。 [一言] 普通に反則行為とかで良いので…
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