1/1
濡れたアスファルト
黒々と照り返す、歪な硬い地面を見て、その視線をそのまま空へと向けた。
光を浴びて輝く、なんらかの建物の間を抜けるように、太陽が燦々と僕を照らしつける。
僕は、知っている。
この地を、この空を、この世界を。
僕はこの地にそぐわない格好である服のポケットから、この地に適応した髪ゴムを取り出し、そのまま髪を纏め上げた。
何度だって、何度だって、僕はやるべき事を成す為にやり直してやる。そう心に覚悟を留め、あまり大きくない自身の胸に、そっと手を置いた。
まず最初のやるべき事をやろう。話はそれからだ。だから、もう少し、
「もう少し待っててね、結衣」
ぽつりと呟いて、僕は最初にすべき事を始めることにした。