表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/43

勘違いしていた絆

あれ、ちょっと真面目な展開入ってきた……。

 僕は兄さんに助けられてきた。何かしてもらったわけではなく、いつも一緒にいてくれたんだ。そこにいるだけで、僕は救われた。


 周りからの過剰な期待に押し潰されそうになった時も、やる気の無い口調で救ってくれた。辛い時もそばにいてくれた。


 だけど、僕は兄さんに辛い思いばかりさせている。僕がいるから両親からも見離され、友人もいない、兄さんの好きな女性は僕が好きだった。


 いつからか、兄さんは死んだような目をしはじめた。何かが抜けたような、そんな瞳。恐怖さえ感じる瞳。


 そうなった原因はおそらく僕にある。だから、償わせてもらうよ。今度は僕が兄さんを助ける番だ。


 だから、あんな発言をした。僕ならどうなってもいい。充分に、幸せな人生を送れた。今度は兄さんの番。元の世界に帰れば僕はもう……。


 ごめんね、兄さん。辛い思いをさせて。次は兄さんが幸せになるんだ。元の世界に帰って、兄さんは幸せになる。


 ここにきて初めて気づいたよ。


 だから……。


「たった一人の兄さんなんです。僕の大切な家族……。だから兄さんだけは……!」


「分かった」


 いきなり、隣にいる兄さんが言葉を発した。


「え?」


「もうたくさんなんだよ。やめてくれ。俺を陥れるな、人としての格をこれ以上下げてお前に何の得がある? いつもいつも、うんざりする。兄さんだけは助けて? くそったれだよ。そんな偽善はいらない。俺は俺で何とかする……!」


 ああ……兄さん、僕は……僕は、間違っていたんだね。兄さんの目がそう言っている。黒い感情が渦巻く瞳は僕への……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ