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綺麗なトゲトゲ

「まず、勇者殿にはやってもらいたい事がある。取引とは、この国で大陸を統一する事。そして、こちらはあなた方を元の世界へ戻す。どうでしょう?」


 ……どうでしょう? おいおい、そうじゃないだろ。俺は今とてつもなく怒りを感じている。ふざけんなよ、この愚図が。


「論外。あり得ない。不平等にも程がある。取引は決裂ですね」


「な……!? しかし、ここでこちらの要求を飲まないということは、君達は異世界で放り出される事に……」


「あれ、聞いてませんでした? 話を聞く条件、しっかり果たしてもらいます」


 驚いた表情の王様を尻目に、俺は順也を見やる。やっと脳が状況に追い付いたみたいで、俺と王様のやり取りを黙って聞いていた。


 そうしていると、順也は厳しい瞳を王様に向ける。


「あなた方は勘違いしています。僕達がここにいるのは誰のせいですか? ここに連れてきた張本人が、取引? 笑い話にもなりません。兄さんの言う通り、この取引は論外です」


 鋭い口調。やはり順也も怒っていた。勝手がすぎるんだ。こいつらは本当に勘違いしている。そんな奴等の条件なんか、誰が受けるか。順也も同じ考えのはず。


 その時、王妃が俺たちに視線を向け、口を開いた。


「貴方達の言い分は分かりました。けど、損得で考えればこちらの提示した条件は悪くない。……そうですね、断るならそれこそ『破格』の待遇をしましょうか」


 このアマ……言わせておけばペラペラと余計な事を。ほら、周りの兵士も構えに入ってるじゃないか。綺麗な顔してする事はキツいね。脅しとは。



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