出来損ない、間違いとミス
更新遅くてすみません。次に更新出来る日は後書きに。
思わず息が詰まった。そうだ、俺の本質はどこまで行こうと『でき損ない』なんだ。スラスラと嘘をつく事は容易だが、目の前のじいさんから放たれる不思議な雰囲気は俺を縛ってくる。
心理的な縛りは俺の言葉を詰まらせ、それは相手には伝わる。おそらく、こいつは俺が何を言おうと嘘、と見抜くだろう。
かといって、それを利用し本当の事を言うならば、たちまち詮索される。もう間違いなく俺の思惑は失敗した。
だけど、こんな失敗は取り返す。諦めれば前と同じだ。劣等感に苛まれ、自分の全てを閉ざし、鎖に縛られた毎日。そんなものはうんざりだ。
くそっ……。
心の中で悪態をついた。俺が沈黙してからここまで約五秒程だろう。そろそろ相手もしびれを切らしてくる頃だ。
考えろ、考えろ、思考が俺を保ってきた一つの形じゃないか。考えろ、考えろ、考えろ、考えろ。
自己を裏に引け、偽りの自己を表に出すんだ。そう、これは戦い。この世界に来てから初めての、自分との戦いだ。
折れてはいけない。いつものようにしちゃいけない。心理に穴を作らず、闇と同化させて粘りつくような闇で、自己を保ちすがり付く。まずは、この状況はどうにか……どうにかするんだ……!
プツン。
何かが、外れた。俺の中にある第二の何かが、外れてしまった。
だけど、頭はやけに鮮明だ。回転が早くなり、自分でもこの情報をどう整理していけば分からなくなってくる。 そう、こういう場合は……。
「あんたこそ何者? パッと見る限り、ここは普通の場所じゃない。そこにいるあんたも普通じゃないって事になる。俺に質問するより先に、俺が知りたいあんたを教えろ」
「ほー、はぐらかし方はあまり上手く無いのぅ。この場合は嘘臭い嘘をつくのが正解だ。思いつかなんだか?」
じいさんはこちらの目を見据え、顔の皺をいっぱいに寄せる。
確かにこいつは正しいし、間違ってはいない。だけど、俺のやり方は邪道であるが先を見ている。目先の事だけを見ていれば墓穴を掘るって事を知っているからだ。
俺はいつも失敗してきた。だから、今回はミスだけは出来ない。
変わった――俺は変わったんだ……!
一ヶ月ぶりに自宅へ帰ってきました。次に更新出来るのは、おそらく次の出張を終えたら。三週間〜一ヶ月だと思います。