前章、黒い混沌とした何か
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切羽詰まった状況。それこそ今を言うのだろう。今俺は噴水がある広場のような場所で一人、噴水の側にある長いイスに座りながら負のオーラを纏っていた。
空は昼から夜になる間。つまり、夕暮れ時だ。こんな時間まで俺は何をしていたかというと、ズバリ考えていた。これからどうするか、考えていただけで実行はしていない。まさにダメ人間。
そうこうしている内に太陽はオレンジ色に光り輝いてきた。俺の瞳には涙が浮かんでいる。真面目っぽく言ったけど、正直マジに泣きそうだ。
金は無いから食料も宿も確保は出来ない。つまり、ホームレス高校生。しかも異世界での、だ。これを小説にしたら……確実に売れないよな。何かとご都合主義なのが小説で、現実はいつも厳しい。
というか、城を出てから一言も口を開いていない俺。もうどうしたらいいなか分かりません。こうなればいっそ、俺みたいなホームレスが集まる場所に行って、そこのお仲間になりますか。この年で段ボール住まいしちゃいますか。
あー、いや、それは最後の手段に取っておこう。ここで折れれば、俺の目的は成就されない。あくまでも、俺は強くなくちゃならないんだ。
異世界を生き抜き、強くあらなきゃならない。その為には能力が必要だ。世の中、いつも力。強い者は弱い者を糧に生きている。俺のように弱い者は日陰に生き、順也のように強い者は太陽の下で堂々と生きる。
それが人間の世界だろう?
いつだって俺は何にも出来なかった。元の世界で死んでいた俺が、今まさに生きようとしている。順也じゃない、周りの意思は関係無く、俺は俺の脳で弾き出した答えと、増幅された感情で……。
そこで、俺の脳に鋭い鋭利な痛みに襲われる。
「くっ……!」
思わず口から息が出てきた。頭を押さえ、うずくまる。一向に治まらない痛みは、徐々にその鋭さを増していき、金属のようなものが脳をかき回すような痛みに、俺はイスから転げ落ちた。
「グアァァァ!」
情報が頭の中を超スピードで駆け巡る。視界には無数の糸のようなものが出現し、ほとんど何も見えない状況だ。
痛い、痛い、痛い。
生まれて初めて味わう激痛に、俺は死をも覚悟する。
しかし、俺の心にはドロッとした黒い何かが沸き上がってきた。いつもなぜ俺はこんな目に合わなければいけない? 順也はなぜ能力に恵まれ、人に好かれる? いつも――いつもいつもいつもいつも!
なぜ順也ではなく俺なんだ──。
憎い、憎い憎い憎い憎い。
頭の痛みは激しさを増し、更にそれに比例して憎悪も増していく。
歪む、壊れる。俺が何かに侵されていく。
だけどそれはとても心地よく、俺はその混沌とした何かに身を任せた。