前章、問題多発
久しぶりの更新です。感想とか書いちゃってくれたら、めちゃくちゃ嬉しいです。
うん、さてさて、俺が今いる場所は市街地の中心。周りを見渡せば人、人、人だらけ。まずはこの世界についての知識を集めないとダメなのだが、知り合いはいない。いっそ知り合いを作ってしまおうかとも考えたが、人間不信手前の俺には酷だろう。
商売上手な売り子達の声を無視しながら、俺は広い大通りを歩いていく。時々、人にぶつかるがこれだけ人がうじゃうじゃいれば当たり前だ。
さて、整理しよう。この世界にはおそらく、地球のような高度な科学は無い。見た限り、中世よりも少し発展した感じの街並み。家はレンガのものが多く、色使いも違う。多分だけど、ここでは色は一色だけと決まっているのだろう。
そして、科学が無い代わりに魔法染みた力はある。これはもう証明済みで、露店にある実践販売で魔法のような力を使っていた。手からいきなり火が灯り、食材を焼いていくのだ。
どういう原理かは分からない。それも調べなければならないか。魔法を使えなければ生きていけない、そんな気がする。
次に、ここの魔法は使い勝手が悪いらしい。それは、城にいた兵士から読み取れる事で、武器を持っている、という事は魔法だけの戦闘はしない、という事。つまりは、近接戦闘において魔法よりも槍や剣の方が速いのだろう。だけど今は関係無い。
とりあえず、まず第一に確認しなければいけない事は、この世界においての通貨。つまり、金のやり取りはどういう風にしているのか、それを知りたい。
だってさ、基本でしょ。
この前読んだライトノベルでもそうしていた。後は自分の身元についてだが、記憶喪失とするか、または他の方法を取るかだが、あまり記憶喪失にはしたくない。理由は幾つかあるが、一番の理由は不便すぎるからだ。もし嘘をつけば、その嘘を突き通す努力をしなくてはならない。努力という行動が嫌いな俺には、とても耐えられない事だ。
ではどうするか。人に世話になるのはもう確定している。だってさ、人に頼らなきゃ生きてはいけないからさ。まあ、一番ポピュラーなのが異国から来た田舎者って事で身元は片付く。
そうすれば、何かと便利だし。不便な事もあるが、まあ何とか誤魔化せる。記憶喪失って方が胡散臭いし、誤魔化しが半端じゃなく難しい。
身元は、ニホンという極東の島から来た、名前は――なんにしよう。別に後で考えればいいか。年齢は18でいいよな。子供にも見られるし、もしかしたらこの世界では成人しているかもしれないし。
さて、と。身元が決まった事だし、案内所とか無いのかな? ほら、異国の地に初めて足を踏み入れた者をサポートする的な。
ふと、建物の看板を見る。そこで、俺はとんでもない問題に直面してしまった。それは、文字が分からない、という事だ。言葉は通じるのに文字が分からない。ご都合主義で行こうぜ。もういいじゃん。俺を苦しめないでよ。
と、いうことで。更なる問題発生。案内所のような場所があれど、文字が読めないという最悪の事態だ。せめて文法が日本語と同じなら助かるのだけど、そう都合良くいかないか。
こればっかりは誰かに尋ねるしかない。しかし、誰に尋ねればいいのだろうか。そもそも、文字が読めないのに言葉が分かる異国人って何よ? 普通は逆でしょうが。
いやでも待てよ。それはそれでどうにかなる。更に、その事をどこかで活かせるかもしれない。一筋の光が見えたよ。