無情なり
サブタイトル、統一性ない。そう思う方もいるでしょうが、ご心配なく。今後はこちらのサブタイトルで統一します。……体たらく、ああ無情なり。
ああ、人生は無情。無情なり。今のは心に響いた。どこもかしこも俺の居場所なんてないんだよなー、あはは。
いやいやいや、笑ってる場合じゃないのよ。どうすんの、この状況どうすんの。これじゃあ、最悪の自体にもなりかねない。引っ捕らえ、牢屋、拷問、打ち首……。
嫌だ嫌だ。死にたくない。生に未練がある訳じゃないけど、人間誰しも痛いのは嫌だ。
だけど、今のかなりヤバイ状況において、最善の行動なんて俺のちっぽけな頭じゃ考え付かん。結果、もうどうにでもなれ。後は順也に任せた。うまく立ち回れよ、勇者様。
もう俺は王様の言葉にも反応しない。出来の良い弟頼みだ。
さあ、何か起死回生の一手を放て、賢弟よ。そう思い、俺は順也の脇腹をつねった。
痛みで目が覚めたのか、順也はビクッと体を震わせ、恨めしげな視線を俺に送りつけた。違うだろう、俺じゃない。目の前の異常にその視線を送ってくれ。俺はアイコンタクトでメッセージを送った。
――頑張れ! いけ、順也!
そう送ったはずなのだが、さすがに物事はうまくいかない。理解出来ていないのか、首を傾げる順也。もうヤダよ。
頼みの綱はなくなった。さあ、もう駒は残されていない。どうする、どうする、考えろ、考えろ、考えて状況打破の一手を思い付くんだ。
そんな無駄な思考をしている時であった。王様は眉をひそめながら静寂を破る。
「マラ、あれは右が勇者なのか?」
「はい。紛れもなき、正真正銘の勇者です。しかし……」
王様の疑問に答えた王妃はチラッと俺に視線をくれる。なんですか、何なんですか。さっきから何見てんだよ。見んじゃねえよ、怖いじゃん。
「しかし?」
「……いや、勇者は混乱しているようです。早く状況を説明してあげては?」
「うむ、そうだな」
どうでもいいけど、俺の存在、王様は完全に無視だね。まあ、そっちの方がありがたいんだけどね、何か寂しいもんがあるよね。
っつーかやっと話が進むのか。待ちくたびれぞ。引っ張りすぎだろ、いい加減にしろよ。……もちろん口には出さない。