剣、加護の結界
「分かりました。カイルさん、あなたの情報を解析する目とは?」
「魔法の式、効果、弱点、その他諸々が視覚で読み取れる。魔力自体も視覚で確認できる。さっきの爆発もこれで分かった」
「それはまた規格外な力ですね。では、カイルさんは前衛を。私とアイナさんは後方からの支援。ヤンさんは戦えますか?」
リークは負傷したヤンを気づかい、遠慮がちに聞く。聞かれた本人は、バツの悪い表情で答えた。
「さすがに接近戦は無理だ。訳あって魔力も使えない。そうだな……これをカイルに渡しておこう」
そう言って、ヤンは後ろの腰に手を回す。そこには小太刀のようなものがあった。
それを、俺に渡す。正直困るんですけど。剣の使い方なんて分からない。
「俺は剣術なんて分からないけど……」
「大丈夫。持ってるだけで加護がある。俺の家に伝わる剣だ」
「加護……?」
「ああ、ある程度なら持ち主を魔力的な攻撃から身を守ってくれる。まあ、直接的な攻撃には無力だけどな」
ほう、それは中々物凄く使える剣だ。剣の特殊効果。作った者か、それとも最初の持ち主が何をしたのか分からんが、古い剣には大抵、特殊な力がある。
これはおそらく結界。持ち主を中心とした魔力に効果がある結界を張るのだろう。
「ありがとう」
断る理由もない俺はありがたくもらった。
「さて、最善が逃亡、最悪相手を戦闘不能。方針はこれで、戦います。作戦を練っている暇はありません。戦いながら私が考え、指示を出します」
確かに、向こうからは戦闘の音が聞こえている。後ろに逃げようにも、追っ手が来たら面倒だ。
「では、行きましょう! ヤンさんはここで待機していてください」
「分かった」
リークの声を合図に、俺達は敵のいる場所に向かって走り始めた。