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情報交換、嫌悪の名前

最長の部分です。今までは1000文字以内。これは1700いきます。

 青年が駆ける。物凄い速度で敵のいる前方へと。おいおい、その速さは異常でしょ。多分、俺の数倍はある。


 俺も単純な魔力操作で、足に魔力を集める。他の部分から魔力を持ってきたせいで、足以外の力が一気に抜けた。


 構わず俺は前方へと走る。途中、目に入ったのは丸焼きになった貴族の死骸と、下敷きになっている茶髪。もしかして、この茶髪は貴族を盾にしたのか? なんとまあ、大それた事をする。


 茶髪はピクッと動き、うめき声をあげながら貴族を乱暴に押し退けた。


「はあ、最悪ですね」


 自嘲気味に笑い、立ち上がる。俺の存在に気づいたのか、少し苦笑しながら俺に顔を向けた。


「ありがとうございました。あなたの指示が無ければ、今頃私もこの豚のようになってましたよ」


 見かけによらず毒舌だが、確かに恩は感じているよう。俺は肩をすくめて反応する。


「たまたま。しかし、生き残りは三人か……。中々厳しい状況」


「後一人は誰が?」


「白髪の兄ちゃん。さっきヤバいスピードで敵さんに特攻かけてた」


 俺は茶髪の醸し出す雰囲気からか、自然に元の口調に戻っていた。


「そうですか……あの爆発では他の三人はまず死んでる……」


 思案の表情になり、茶髪が呟く。彼の頭の中には色々な計画、作戦、可能性の確率を計算しているのだろう。


「仕方ない。今は生き残る事を最優先事項とします。敵は倒さず、逃げる事を考えましょう。一応、生き残りがいないか確かめましょうか。僅かな可能性でも調べないよりましですから」


 その時、ガラッという音がし、そこから人がぬっと出てきた。出てきたのは刀を持った男と、情報を収集していた女。


 女は艶やかさを失ったボサボサの髪の毛をいじり、刀の男に頭を下げた。


「ありがとうございました。守っていただいて」


 刀の男はそっぽを向き、乱暴にあしらう。


「いいんだよ。同然の事だ。俺の腕一本で人を助けられるなら僥倖ってもんだ」


 照れくさそうだ。おそらく、人の好意に慣れていないのだろう。しかし……男の左腕は肩から下が消滅していた。痛みに耐える男の顔は見るに耐えない。


 ん? と思い、目に魔力を集中させる。男の体からは煙のようなものが立ち込めていた。


 これは多分、魔力が抜けていってるんだ。……いや、代償か?


 そうだ、考えてみれば腕を無くした痛みは尋常ではない。苦痛どころではないのだ。そう考えれば男のリアクションは薄い。


 そうか、男は魔力を代償にして痛みを和らげている。おそらく、過去に誰かと契約を交わしたのだろう。


 契約とは、ギブアンドテイクの関係を結ぶことで、代償の代わりに何かを得る。男の場合は、魔力を相手に支払う事で痛みを和らげているのだ。


 しかし……あれでは死んでしまう。まあ、俺には関係無いけど。


 俺は茶髪に向き、強張った表情をする。


「生き残りが五名、その内一人が完全に戦力外。というか、足手まとい。最悪の一つだ」


「確かに。使える人材は使う。白髪の青年はおそらくまだ戦っているのでしょう。止めを刺しに来ないから。今は戦力の把握が一番です。皆さん、名前と自分の最も得意とする戦術を」


 問いかけ、茶髪は再び話始める。


「私の名前はリーク。風系統の魔法に特化。後方からの支援が得意です」


 リークが手短に紹介を終え、次に女が口を開く。


「名前はアイカです。『六感』の情報収集と、地系の魔法が得意で、戦術タイプはリークさんと同じです」


「俺はヤン。火系の魔法が得意だ。片腕があれば刀を使っての近接戦闘がやれたんだが……正直、今はキツイ」


 そして、俺の番が回ってきた。ここは名前も力も正直に言った方が得策だろう。


「魔法情報を解析する目と、水系の魔法が得意。俺もどちらかというと後衛だが、前衛もなんとかこなせる」


 そこで、リークは疑問の声をあげる。


「お名前は? 知っておかないと、面倒になるので」


 名前はあまり好きじゃない。俺には似合わない、真逆の名前。俺を見捨てた親が付けた名前だから。


「俺は……カイルだ」


 だから、俺は偽名を使った……。

主人公の名前、決まってますが、もう、一つの謎として残しておきます。これを使った伏線も用意しましたし。

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