解析、爆音と灼熱
ゾワッと全身から鳥肌が出る。目に映る線の数々、これは遠隔視もあるが、違うものもある。それは、炎。失態だ……最初、赤を見た時に気づくべきであった。
この魔法、遠隔視はある意味、付属のようなものだ。この目ならば分かる。爆発を兼ね備えた、火系魔法。
「皆、依頼人を馬車から降ろして! 降ろした後に散開! 早く!」
俺はというと、指示を出した後に線の範囲外よりかなり遠い場所に走る。この目はやはり万能だ。戦闘にも役に立つし、他にも使いどころはたくさんある。
馬車の進行方向だった道をひたすら走り、線の範囲外、五十メートルまで離れた。向こうでは戸惑った動作でこちらに来る人影が六つ。
クソ……! 相手は手練れどころではない。達人の域に入る化け物。
線は遠隔視と爆発の両方を持っていた。つまり、情報収集と攻撃を同時にやってしまう奴だ。普通、遠隔視は遠隔視の魔法、爆発は爆発の魔法と分けて使う。いや、そうしなければいけない。魔力をバカ程食うからだ。並の奴なら死んでしまう程の魔力を。それに、技術的にもかなり難しい。
だが相手はいとも簡単にそれをやってのけた。爆発させないのは、おそらくまだ準備が整っていない。俺の目から見ても、まだあの線は不安定であった。
瞬間、爆音が辺りに響いた。視界は真っ赤に染め上げられ、人影はその赤に飲み込まれる。こちらにも熱気のこもった爆風が襲ってくる。
「く……!」
顔を覆うように両手で守り、風をやり過ごす。
目を開け、俺の視界に映ったのは灼熱の地獄であった。